外国人の入居拒否にリスクはある?|オーナーが知るべき注意点と受け入れ対策 - GTN MAGAZINE
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外国人の入居拒否にリスクはある?|オーナーが知るべき注意点と受け入れ対策

「外国人の入居希望が来たが、トラブルが心配…」賃貸オーナーや管理会社の間で、こうした声は少なくありません。

家賃滞納や騒音、ごみ出しルールの違反、言語面での対応などに不安を感じるケースがあります。

こうした不安から、外国人というだけで入居を断るケースは存在します。

しかし、国籍だけを理由に一律に入居を断ると、法的責任を問われる可能性があるほか、募集対象が狭まり、空室の長期化や仲介会社からの信頼低下につながる場合があります。

この記事では、外国人の入居拒否がオーナーにもたらすリスクを整理したうえで、拒否せずにトラブルを防ぐ具体的な実務対策を解説します。

受け入れで得られるメリットや、手間を最小限に抑える仕組みについても紹介します。

目次

外国人の入居拒否がオーナーにもたらす3つのリスク

外国人の入居を断ること自体にリスクがあると認識しているオーナーは、まだ多くありません。

ここでは法的・経済的・社会的な3つの観点から整理します。

法的リスク|合理的な理由のない入居拒否は損害賠償につながる可能性がある

国籍を理由に賃貸借契約を拒否した場合、不法行為として損害賠償責任を負う可能性があります。

実際に京都地裁では、法人を借主、韓国籍の従業員を入居予定者として契約手続を進めていた事案で、国籍を理由に契約締結を拒否した貸主に対し、合計110万円の支払いが命じられました。

日本は1995年に人種差別撤廃条約に加入しています(1996年発効)。

国土交通省は「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」などを公開し、多言語の入居申込書や重要事項説明書、契約書の見本を提供しています。

自治体でも差別解消に向けた条例が設けられています。

川崎市住宅基本条例は、正当な理由なく外国人等の入居機会を制約することを認めておらず、世田谷区の多文化共生に関する条例も、国籍・民族等の違いによる不当な差別的取扱いをしないよう配慮を求めています。

出典・参考:京都地方裁判所 平成19年10月2日判決/川崎市住宅基本条例/世田谷区多様性を認め合い男女共同参画と多文化共生を推進する条例

空室リスク|外国人の入居を一律に断ると募集対象が狭まる

在留外国人数は2025年末に412万5,395人となり、初めて400万人を突破して過去最多を更新しました。

国籍別では、中国が約93万人で最多となり、次いでベトナム約68.1万人、韓国約40.7万人、フィリピン約35.6万人と、アジア地域出身者が大きな割合を占めています。

在留資格別では、永住者が約94.7万人と最も多く、次いで技術・人文知識・国際業務が約47.6万人、留学が約46.5万人、技能実習が約45.7万人の順となっています。

出典:出入国在留管理庁「在留外国人について」

日本では人口減少により、中長期的には地域によって入居者の獲得競争が強まる可能性があります。

そのようななか、外国人からの申し込みを国籍だけで一律に断ると、募集対象を狭めることになります。

外国人入居者の受け入れ体制を整えることは、地域や物件によっては、競合物件との差別化や空室対策につながります。

もし外国人からの申し込みを一律に断った結果、空室期間が長引けば、その間の機会損失が、多言語案内や生活サポートなどの受け入れ体制を整える費用を上回る可能性もあります。

出典・参考:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会「外国人入居受入れに係る実態調査報告書」

評判リスク|SNSでの情報共有や仲介機会への影響

入居を断られた体験が、SNSで共有されるケースもあります。

特定の物件や管理会社が「差別的」と受け取られた場合、SNSや口コミを通じて情報が広がる可能性があります。

また、外国人からの申し込みを一律に断る物件は、外国人顧客を扱う仲介会社にとって紹介しにくくなり、その結果、外国人入居希望者への物件紹介の機会が減少してしまう可能性もあります。

なぜオーナーは外国人の入居を拒否してしまうのか

入居拒否の背景には、実際のトラブル経験だけでなく、漠然とした不安や先入観が影響している場合もあります。

家賃滞納への不安|実際の滞納率はどの程度か

東京圏の民間賃貸住宅市場を分析した、東京大学空間情報科学研究センターの研究によると、入居した世帯のうち深刻な家賃滞納(2か月分以上)に至った割合は、外国籍で2.1%、日本国籍で1.6%と大きな差はありませんでした。

さらに同研究では、収入などの条件をそろえて比較すると、国籍による滞納率の統計的に有意な差は確認されていません。

家賃保証会社を利用している場合、契約上の保証範囲や手続要件を満たせば、滞納家賃の代位弁済を受けられる場合があります。

出典・参考:東京大学空間情報科学研究センター「民間賃貸住宅市場における入居審査と家賃滞納」

騒音・ゴミ出しトラブルへの懸念|ルールの共有不足が原因になることもある

騒音やゴミ出しのトラブルは、外国人に限った問題ではありません。

ただし、外国人入居者の場合、日本の生活ルールを十分に把握していないことが、トラブルの一因になるケースもあります。

日本のゴミ出しルールは自治体によって異なり、収集曜日や分別方法、粗大ゴミの申請手続き、指定袋の有無などを確認する必要があります。

騒音についても、生活習慣や住環境の違いから、これまで問題にならなかった生活音が近隣からの苦情につながる場合があります。

トラブルの背景には、悪意ではなく、生活ルールに対する認識の違いがあるケースもあります。入居時に理解できる言語で具体的なルールを説明することで、認識の違いによるトラブルの予防につながります。

言語の壁による対応コスト|多言語サポートを活用する

「日本語が通じないため、入居後の対応が難しい」と不安を感じるオーナーもいます。

多言語対応の保証会社や生活サポートサービスを活用することで、オーナーや管理会社の外国語対応の負担を軽減できる場合があります。

外国人向けの家賃保証サービスのなかには、入居者との多言語コミュニケーションをサポートするサービスもあります。

また、サービスによっては、生活相談や通訳・翻訳などの多言語サポートを提供しています。

対応言語やサポート範囲を確認したうえで活用することで、オーナーや管理会社の対応負担の軽減が期待できます。

入居拒否をしなくてもリスクを抑える5つの実務対策

外国人入居者を受け入れる際は、言語面や生活ルールの共有、家賃保証などの体制を整えることが重要です。

以下の5つの対策を講じることで、トラブルの発生リスクを抑えやすくなります。

家賃保証会社を活用して家賃回収リスクを抑える

家賃滞納リスクへの対策として、家賃保証会社の活用が挙げられます。

滞納が発生した場合、契約上の保証範囲や手続要件を満たせば、代位弁済を受けられる場合があります。

外国人向けの保証会社のなかには、在留資格や収入状況の確認、多言語での本人確認に対応する会社もあります。

保証会社の審査を通じて、申込時点の収入状況や在留状況などを確認できます。

保証料は入居者負担とする契約が多く見られますが、負担者や料金体系は契約によって異なります。

保証料を入居者負担とする契約では、オーナーの費用負担を抑えながら、家賃回収リスクの軽減が期待できます。

多言語の入居ルール説明書を用意してトラブルを未然に防ぐ

生活ルールのトラブルを防ぐには、入居時の説明は重要な対策の一つです。

ゴミ出しルール、騒音への配慮、共用部分の使い方など、基本的なルールを多言語でまとめた説明書を用意します。

国土交通省は、外国人の民間賃貸住宅への入居円滑化に関するガイドラインや、多言語の契約関連資料を公開しています。

公開資料を活用することで、翻訳や資料作成の負担を軽減できる場合があります。

入居時にルールを説明し、理解を確認するプロセスを設けると、トラブル対策につながります。

入居前にルールを共有することは、比較的取り組みやすい予防策です。

在留資格と収入証明の確認で入居審査の精度を上げる

外国人の入居審査では、在留カードの確認が基本です。

在留資格の種類や在留期間を確認することで、契約期間との整合性を判断する材料になります。

収入証明としては、在職証明書や給与明細が一般的です。

就労系の在留資格を持つ申込者については、在職証明書や給与明細などで収入状況を確認できる場合があります。

留学生の場合は、奨学金受給証明書や親族からの送金・経済支援に関する資料が、支払能力を確認する資料として扱われる場合があります。

また、保証会社の審査と組み合わせることで、支払能力や契約継続性を複数の観点から確認できます。

定期借家契約を利用する場合は法定手続を確認する

定期借家契約は、契約期間満了により更新なく終了する契約です。

ただし、契約前の説明や書面作成、期間満了前の通知など、法定の手続を適切に行う必要があります。

また、国籍を理由に契約形態を変えるのではなく、物件の運用方針として合理的・一貫した基準を設けることが重要です。

出典・参考:国土交通省「定期建物賃貸借Q&A」

緊急連絡先と通訳サポートの確保で対応負荷を下げる

本人の同意を得たうえで、緊急時に連絡可能な窓口を確認しておきます。

通訳が必要な場合は、緊急連絡先に依存せず、多言語対応の管理会社や専門サービスを利用する方法があります。

保証会社や管理会社が通訳サポートを提供している場合は、そのサービスを契約に含めておきます。

水漏れや火災報知器の作動など、緊急時には状況を正確に伝えることが難しくなる場合があります。

入居者が理解できる言語で対応できる窓口を設けることは、状況把握や初動対応を円滑にするうえで役立ちます。

多言語対応の管理会社や専門サービスを利用すれば、オーナー自身が外国語で対応する負担を減らせます。

外国人入居の受け入れで得られるオーナー側のメリット

リスク対策を整えたうえで外国人を受け入れると、オーナーにとって、募集対象の拡大などのメリットが期待できます。

空室対策や賃貸経営の安定化につながる可能性がある要素を整理します。

空室対策につながる可能性|募集対象を広げられる

前述の通り、在留外国人数は増加しており、技能実習、特定技能、留学など、さまざまな在留資格の人が日本で生活しています。

そこで、外国人入居者を受け入れることで、入居希望者の母数が広がり、空室率の改善につながる可能性があります。

外国人が入居できる物件が限られているエリアでは、外国人対応を明示することで問い合わせにつながるケースもあります。

安定した入居につながる可能性|在留状況や就業状況を確認する

外国人入居者の中には、一度住み始めると長く住み続ける人もいます。

日本で賃貸物件を探す際は、言語や保証人などのハードルがあるため、住環境に問題がなければ継続して居住するケースも見られます。

長期入居が続けば、入退去に伴う原状回復や募集の頻度が下がり、空室期間の発生を抑えられる可能性があります。

外国人入居トラブルの主な例と防止策

外国人入居で実際に発生するトラブルと、その防止策を対応表で整理します。

「起きたらどうしよう」ではなく、「起きる前に何をすべきか」を具体的に示します。

家賃滞納が発生したケースと保証会社の対応フロー

外国人入居者の家賃滞納が発生した場合、家賃保証会社を利用していれば、契約内容に応じたサポートを受けられる場合があります。

滞納発生後は、保証会社が契約上の保証範囲や手続きに基づいて滞納家賃を代位弁済し、入居者への督促を行います。

外国人向けの保証会社では、多言語での督促に対応している場合もあります。

家賃滞納に関する督促業務の一部を保証会社に委ねられるため、オーナーの対応負担を軽減できる場合があります。

騒音クレームが出たケースと多言語対応の効果

深夜の生活音や友人を招いた際の騒音について、近隣住民からクレームが入るケースがあります。

トラブルの背景には、生活習慣や騒音に対する認識の違いなどがあると考えられます。

トラブル内容防止策
深夜の生活音入居時に静粛時間帯を多言語で説明
友人の訪問時の騒音注意事項を書面で配布
楽器・音楽の使用楽器使用ルールを契約書に明記

多言語で具体的なルールを伝えることは、認識のずれによる騒音トラブルの予防に役立ちます。

事前に具体的なルールを共有することが、トラブル予防の重要なポイントです。

退去時の原状回復で揉めたケースと事前説明の有効性

退去時の原状回復費用をめぐるトラブルは、日本人入居者との間でも発生する問題です。

外国人の場合、日本の原状回復ルールになじみがなく、敷金精算について認識のずれが生じる場合があります。

2020年4月の民法改正により、通常損耗と経年変化については借主に原状回復義務がないことが明文化されました(民法621条)。

負担者内容具体例
貸主(大家さん)負担普通に生活していて生じる汚れや傷(経年変化)壁紙の日焼け、家具の設置による床のへこみ
借主(入居者)負担故意や不注意でつけた傷や汚れタバコのヤニ汚れ、壁の釘穴、飲み物のシミ

国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に基づいて負担区分が判断されます。判断に迷う場合は、このガイドラインを参考にできます。

入居時に原状回復の基準を多言語で説明し、写真付きのチェックリストを作成しておくことが有効です。

入居時と退去時の状態を記録しておくことで、退去時の負担区分を確認しやすくなります。

自力対応の限界と「仕組みで解決する」という選択肢

ここまで紹介した対策を、すべてオーナー単独で実施するのは現実的でしょうか。

多言語対応、入居ルールの作成、保証管理、緊急時の通訳。

これらを自力で対応する場合、一定の時間やコストがかかる可能性があります。

オーナー単独での多言語対応・保証管理にかかる手間

多言語の入居ルール説明書を自分で作成し、契約書の翻訳を手配し、滞納時に外国語で督促する。

これらをオーナーがすべて単独で行うことは、負担が大きくなる場合があります。

管理会社に任せるとしても、外国人対応の経験や体制によって、対応できる範囲に差が生じる場合があります。

言語の壁が原因で対応が後手に回り、トラブルが長期化するケースもあります。

外国人入居を検討する際は、受け入れの可否だけでなく、どのような体制で対応するかも重要です。

適切なサポート体制を整えることで、オーナーの対応負担を抑えられる可能性があります。

外国人入居支援の専門サービスを活用するメリット

外国人入居支援を専門とするサービスでは、入居審査の支援から入居後の生活サポートまでを一括で提供している場合があります。

水漏れや設備故障といった緊急事態でも、入居者向けの窓口を設けることで、深夜の問い合わせなど、オーナーへの直接連絡を減らせる場合があります。

その結果、オーナーが対応に費やす時間を抑えやすくなり、賃貸経営に集中できる環境が整いやすくなります。

まとめ

外国人入居を「受け入れるか断るか」の二択で考えると、どうしても不安が先に立ちます。

まずは、どのような保証やサポートが利用できるのかを確認することから始めると、判断材料が具体的になります。

保証会社ごとに対応言語、保証範囲、サポート内容は異なります。

複数のサービスを比較し、所有物件の立地や入居者層に合った選択をすることが、リスクを抑えるうえで大切です。

外国人入居のリスクを抑えた運用方法については、専門サービスの保証内容やサポート範囲を確認しておくと判断しやすくなります。

受け入れ体制を整えることは、募集対象を広げ、安定した賃貸経営を目指すための選択肢の一つになります。

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