定期借家のデメリット5選|オーナーが契約前に知るべきリスクと対策 - GTN MAGAZINE
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定期借家のデメリット5選|オーナーが契約前に知るべきリスクと対策

定期借家契約のメリット・デメリットについて、普通借家との違いやオーナーが講じるべき対策を解説します。

外国人入居者の受け入れにおける活用法や、空室リスクを抑えながら定期借家を運用する実務的なポイントも紹介します。

定期借家は、すべての物件やオーナーに適した契約形態ではありません。

制度の特徴を正しく理解し、物件の特性や運用方針に応じた最適な契約形態を選ぶための参考としてお役立てください。

目次

定期借家契約とは?普通借家との違い

借地借家法第38条に基づく定期借家契約とは、「契約期間の満了とともに賃貸借関係が終了する」仕組みです。

普通借家契約のように「正当事由」がなければ更新を拒否できないという制約がありません。この違いが、オーナーにとってのメリットにもデメリットにもなります。

定期借家契約の基本的な仕組みと法的根拠

定期借家契約は、借地借家法第38条(定期建物賃貸借)に定められた契約形態です。

大きな特徴は、契約期間の満了により賃貸借が確定的に終了する点です。

普通借家契約では、借主が希望すれば原則として契約が更新されますが、定期借家ではこの更新の概念がありません。

定期借家契約は、書面または電磁的記録により締結する必要があります。

また、賃貸人は契約締結前に、契約書等とは別に、契約の更新がなく期間満了により終了する旨を記載した書面を交付し、または電磁的方法で提供したうえで説明する必要があります。

この事前説明を怠ると、定期借家としての効力が認められず、普通借家契約として扱われるリスクがあります。

定期借家であれば6ヶ月や3ヶ月といった短期間の設定も可能です。

期間満了後も引き続き入居を希望する場合は、「更新」ではなく「再契約」という形を取ります。

出典:借地借家法第38条第1項~第5項

普通借家契約との5つの違いを比較表で確認

定期借家契約と普通借家契約には、契約の根幹に関わる5つの大きな違いがあります。以下の表で整理します。

比較項目普通借家契約定期借家契約
契約の更新借主が希望すれば原則更新される更新なし(期間満了で終了)
契約期間1年以上(1年未満は期間の定めなしと見なされる)制限なし(1年未満も可能)
契約方式法律上は口頭でも成立、実務では契約書を作成することが一般的書面または電磁的記録による締結、書面または電磁的方法による事前説明が必要
中途解約契約書に中途解約条項がある場合は、その条項に従って解約可能原則不可。ただし床面積200㎡未満の居住用はやむを得ない事情で可能
契約終了に関する通知貸主が更新を拒絶する場合、原則として満了の1年前から6か月前までに通知し、正当事由も必要1年以上の契約は満了の1年前〜6ヶ月前に通知が必要

比較から分かるように、定期借家契約はオーナー側に「確実な契約終了」という強力な権利を与える一方、手続きの厳格さと入居者確保の難しさという課題も生じます。

定期借家の5つのデメリット

定期借家契約には明確なメリットがある一方で、オーナーが見落としがちなデメリットも存在します。導入前にこれら5つのリスクを把握しておくことで、適切な判断と事前対策が可能になります。

①入居希望者が減り空室期間が長引く傾向がある

定期借家契約の物件は、入居希望者の母数が減る傾向にあります。不動産ポータルサイトには「定期借家を除く」という検索フィルターが用意されていることもあります。

定期借家物件の割合は増加傾向にあるものの、市場全体では依然として普通借家契約の物件が大半を占めています。

出典:アットホームラボ株式会社「定期借家物件」の募集家賃動向(2025年度)

空室期間が長引けば、その分の家賃収入は失われます。例えば、1か月空室が続くと年間家賃収入の約8.3%に相当する収入減となるため、空室リスクは慎重に見積もる必要があります。

②契約条件が入居者募集で不利になる場合がある

定期借家は、更新のない契約を希望しない入居者から敬遠される場合があります。そのため、物件の立地や設備などの競争力によっては、家賃や初期費用などの募集条件を調整する必要があります。

一方、定期借家だからといって、必ずしも家賃が普通借家より低くなるわけではありません。

2025年度の調査では、定期借家の平均募集家賃はマンション・アパートともに概ね前年度比で上昇し、アパートでは普通借家を上回るエリア・面積帯も増加しています。

③契約満了ごとに再募集の手間とコストが発生する

定期借家では契約更新がないため、入居者が退去すれば再度募集活動を行う必要があります。

再契約を希望する入居者がいても、改めて契約手続きを踏まなければなりません。

再募集にかかるコストとしては、仲介手数料、原状回復費用、空室期間中の機会損失があります。

契約期間を短く設定するほど、このサイクルが頻繁に回ることになります。

再契約の場合でも、新規の契約手続きが必要です。事前説明書面の交付、契約書の作成、保証会社の再審査など、普通借家の更新手続きに比べて手間がかかります。

④通知義務を怠ると契約終了を主張できなくなる

契約期間が1年以上の定期借家では、期間満了の1年前から6ヶ月前までの間に、賃借人に対して契約終了の通知を行う義務があります。この通知を怠ると、期間が満了しても契約の終了を借主に対抗できません。

一方、通知期間内に通知しなかった場合でも、後から終了通知を行うことは可能です。ただし、通知日から6か月を経過するまでは契約終了を借主に対抗できないため、明渡し時期が遅れる可能性があります。

複数の物件を管理しているオーナーほど、通知時期の管理が煩雑になります。1件でも通知漏れがあれば、定期借家にした意味そのものが失われかねません。

出典:「借地借家法」第38条第6項

⑤入居期間が短くなるケースがある

定期借家契約では、契約期間の満了により賃貸借が終了することを前提として入居するため、契約期間を踏まえて住み替えを計画する入居者もいます。

契約満了後に再契約を行わない場合は、新たな入居者を募集する必要があるため、募集費用や空室期間が発生する可能性があります。

また、再契約を前提とする運用であっても、契約時に再契約の条件を明確に示しておくことで、入居者の不安軽減や円滑な契約につながることが期待できます。

定期借家の3つのメリット

デメリットだけを見ると定期借家は不利に思えますが、特定の状況ではデメリットを上回るメリットを発揮することがあります。

①正当事由がなくても契約期間の満了で賃貸借を終了できる

普通借家契約でも、重大な家賃滞納や契約違反によって貸主・借主間の信頼関係が破壊されたと認められる場合は、契約解除を検討できます。

ただし、違反の程度や経緯によって判断が分かれ、任意退去に応じない場合は法的手続きが必要です。

裁判に発展すれば時間とコストがかかり、その間も問題行為が続くリスクがあります。

定期借家であれば、契約期間の満了とともに賃貸借関係が終了します。

再契約を結ばなければ、問題のある入居者を法的に正当な手続きで退去させることができます。

また、再契約の判断材料となるため、ルール遵守を促す効果が期待できます。

②建て替え・大規模修繕の計画が立てやすくなる

建物の老朽化に伴う建て替えや大規模修繕を予定している場合、普通借家では入居者の退去交渉が大きな障壁となり、立退料の支払いが必要になるケースもあります。

定期借家であれば、適法な契約締結と終了通知を行うことで、工事開始時期に合わせて契約の終了時期を設定しやすくなります。ただし、明渡しが予定どおり完了しない可能性も踏まえ、余裕のある工程を組む必要があります。

築年数の古い物件をリノベーション前提で運用する場合、定期借家は特に有効な選択肢です。一定期間の家賃収入を確保しながら、計画的に次のステップへ移行できます。

③外国人入居者の受け入れにおける契約管理に活用できる

外国人入居者を受け入れる際、定期借家契約は契約管理の手段として活用できます。在留資格には有効期間があり、その期間に合わせた契約設定が可能です。

国土交通省は、日本賃貸住宅管理協会と連携し、「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」の中で、定期賃貸住宅標準契約書(事前説明書・終了通知書を含む)の各国語見本を14言語で提供しています。

法人契約で外国人従業員を入居させるケースでは、転勤や帰国に伴う入居者の入れ替わりが定期的に発生します。

定期借家契約はこうした運用形態と相性がよく、契約期間と在留期間の整合性を取りやすい利点があります。

定期借家と外国人入居でトラブルを防ぐ運用のポイント

外国人入居者に定期借家契約を適用する場合、日本人入居者とは異なる配慮が求められます。言語の壁や文化の違いを踏まえた運用を行うことで、トラブルを未然に防ぐことができます。

在留資格の有効期間を参考に契約期間を設定する

入居予定期間や就労・在学予定を確認したうえで、当事者双方の合意により契約期間を設定する方法があります。

在留期間は参考情報の一つになりますが、外国人であることのみを理由に一律の契約期間を設定せず、更新申請や在留資格変更の可能性も考慮する必要があります。

在留資格が更新される場合は、新たな在留期間に合わせて再契約を結ぶ形が実務的です。在留カードの有効期限を確認し、契約期間を設定することで、契約期間を管理しやすくなります。

留学生の場合は在学期間、技能実習生の場合は実習計画の期間を基準にすることも一つの方法です。

入居者の在留資格・在留期間に応じた柔軟な期間設定が、定期借家ならではの強みです。

多言語での契約説明がトラブルを防ぐ

定期借家契約では、「更新がなく期間満了で契約が終了する」旨の事前説明が法律上の要件です。

日本語が十分に理解できない外国人入居者に対して、この説明を形式的に行うだけでは不十分です。

法律上、母語での説明が一律に義務付けられているわけではありませんが、契約内容を十分理解してもらうため、外国語版書式や通訳、多言語対応サービスを活用することが望まれます。

「契約が終了する」という概念の理解が不足していると、退去時に大きなトラブルに発展する可能性があります。

多言語対応が可能な保証会社や管理サポートサービスを利用することで、契約時の説明だけでなく、入居中のコミュニケーションや退去時の手続きもスムーズに進められます。

再契約の判断基準を明確にしておく

定期借家契約の満了後に再契約を行う場合は、貸主と借主双方の合意が必要です。しかし、外国人入居者から「なぜ再契約してもらえないのか」と問われた際に、合理的な説明ができなければトラブルの種になります。

再契約の判断基準としては、家賃の支払い実績、生活ルールの遵守状況、近隣住民との関係、在留資格の有効性などが挙げられます。

これらの基準を契約時に書面で共有しておくと、期間満了時の判断がスムーズです。

基準を事前に明示することは、入居者にとっても安心材料になります。「ルールを守っていれば再契約される」という見通しが立てば、物件への愛着やルール遵守の意識が高まり、結果として長期的な安定運用につながります。

定期借家のデメリットを減らすための対策

定期借家のデメリットは、適切な対策を講じることで大幅に軽減できます。家賃設定、契約条件の工夫、外部サービスの活用という3つの軸で、実務的な対策を解説します。

家賃設定と契約期間の最適なバランスを見つける

立地や設備に競争力があれば、普通借家と同等の家賃水準を維持できるケースもあります。

契約期間は、建て替え予定、入居者の希望、物件の用途、再契約方針などを踏まえて個別に設定します。2〜3年とする例もありますが、法律上の標準期間はありません。

1年未満の短期間にすると入居者が集まりにくく、長期間の契約では、短期運用に比べて契約終了時期を細かく調整しにくくなりますが、将来の建て替えや自己使用時期が決まっている場合などは、5年以上でも定期借家を利用する意義があります。

物件の立地や入居者層に応じて、最適な期間を検討することが求められます。

再契約を前提とした「再契約型定期借家」という運用方法もあります。入居者に「再契約の可能性がある」ことを事前に伝えることで、入居のハードルを下げつつ、オーナー側の裁量権を確保できます。

再契約条件を事前に明示して入居者の不安を減らす

定期借家で入居者が集まりにくい原因の一つは「期間満了後にどうなるか分からない」という不安です。

この不安を解消するために、再契約の条件を募集段階から明示しておく方法が効果的です。

具体的には「家賃滞納がなく、生活ルールを遵守している場合は再契約を行う」といった条件を提示します。

入居者にとっての予測可能性が高まるため、定期借家への心理的な抵抗感が薄れます。

再契約条件の明示は、募集時の物件情報や内見時の説明に組み込むのが理想的です。不動産会社や管理会社と連携し、一貫したメッセージを伝えることで、入居率の改善が見込めます。

保証会社と管理サポートで運用の手間を削減する

定期借家の運用で増える手間、つまり再契約手続き、通知管理、入居者対応などは、外部サービスで効率化できます。

保証会社を活用すれば、家賃滞納リスクのカバーに加えて、契約管理の負担も軽減されます。

外国人入居者を受け入れる場合、多言語対応の保証会社や管理サポートの利用が特に有効です。

オーナー自身がすべてを管理するのではなく、仕組みとして手間を減らす発想が、定期借家を成功させるポイントです。

定期借家を活用すべきオーナーと避けるべきオーナーの判断基準

定期借家はすべてのオーナーに適した契約形態ではありません。物件の特性、運用方針、入居者層によって、定期借家が有利に働く場合と、普通借家のほうが合理的な場合があります。

定期借家が向いている物件タイプと運用スタイル

定期借家が有効に機能するのは、以下のような物件や運用スタイルです。

物件タイプ・状況定期借家が有効な理由
建て替え・大規模修繕を予定している物件退去時期を確定できるため、工事スケジュールに合わせた運用が可能
転勤者・法人契約が中心の物件一定期間の入居需要と定期借家の仕組みが合致する
外国人入居者を受け入れる物件在留資格の期間に合わせた契約設定が可能
過去にトラブル入居者で苦労した経験がある物件契約満了を区切りとして、再契約の可否を適切に判断できる
短期賃貸やマンスリー運用を検討している物件1年未満の契約期間設定が可能

これらに共通するのは「入居期間のコントロール」を重視する運用方針です。定期借家の本質的な価値は、契約期間の確実性にあります。

普通借家のほうが有利になるケースの見極め方

長期安定収入を最優先するオーナーには、普通借家のほうが適しています。入居者の定着率が高く、空室リスクや再募集コストを抑えられるためです。

立地の競争力が低い物件も、普通借家のほうが有利になる傾向があります。

駅から遠い、築年数が古い、設備が標準的といった物件では、定期借家の条件がさらなるハンデになり、入居者確保が一層困難になります。

建て替えや売却の予定がなく、現状の運用を10年以上継続する方針であれば、あえて定期借家を選ぶメリットは限定的です。

物件の将来計画と照らし合わせて、契約形態を選択することが合理的な判断につながります。

まとめ|定期借家のデメリットを理解した上で判断するために

定期借家契約のデメリットを整理すると、空室リスクの増加、家賃水準の低下、再募集の手間、通知義務の管理負担、入居者との関係構築の難しさの5点に集約されます。

一方で、問題入居者への対応力、建て替え・修繕計画との親和性、外国人入居者への契約管理といったメリットは、特定の状況では大きな価値を持ちます。

デメリットを減らすためには、再契約型の運用設計、適切な家賃設定、通知管理の仕組み化が不可欠です。

特に外国人入居者を受け入れる場合は、多言語対応の保証サービスや管理サポートを活用することで、言語や文化の違いから生じる課題を仕組みで解決できます。

定期借家を導入すべきかどうかは、物件の特性と運用方針次第です。判断に迷う場合は、外国人入居支援や定期借家の運用実績を持つ専門サービスに相談することで、物件に合った最適な契約形態が見えてきます。

まずは保証会社やサポートサービスの内容を確認し、自身の物件に適した運用方法を検討するところから始めてみてはいかがでしょうか。

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