多文化共生の取り組みで空室対策|賃貸オーナーが実践すべき5つの施策 - GTN MAGAZINE
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多文化共生の取り組みで空室対策|賃貸オーナーが実践すべき5つの施策

在留外国人は2025年末に412万人を超え、過去最高を更新し続けています。一方、朝日新聞の報道によると、エイブルホールディングスが2024年7月時点で取り扱っていた約17万5,000件のうち、外国人が入居可能な物件は約15%でした。空室を抱えるオーナーにとっては大きな市場機会が眠っている状況です。

ただし、外国人入居者の受け入れには「ゴミ出しルールが守られない」「騒音トラブルが起きる」といった不安がつきまといます。こうした課題の多くは、文化や生活習慣の違いから生じるコミュニケーション不足が原因です。つまり、多文化共生の取り組みを正しく導入すれば、トラブルを抑えながら空室率の改善が見込めます。

この記事では、賃貸オーナーや管理会社が実践できる多文化共生の取り組みを、実務レベルで解説します。

多文化共生とは何か|賃貸経営における意味と背景

多文化共生の定義と国が推進する基本方針

多文化共生とは、総務省が定義する「国籍や民族などの 異なる人々が、互いの文化的ちがいを認め合い、対等な関係を築こうとしながら、 地域社会の構成員として共に生きていくこと」を指します。

総務省は2006年に「地域における多文化共生推進プラン」を策定し、2020年9月に改訂しました。改訂の背景には、外国人住民の増加と多国籍化、在留資格「特定技能」の創設、多様性のある社会実現への動きがあります。

この方針は自治体だけでなく、民間の不動産事業者にも影響を及ぼしています。国土交通省は「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」や「外国人の受入れガイド」を公開し、大家や不動産会社に向けた対応指針を示しています。外国人は住宅確保要配慮者に該当する場合があり、国籍のみを理由とした一律の入居拒否は、人権侵害や差別とみなされるリスクがあるという認識が社会的に高まっています。

外国人入居者数の増加と賃貸市場への影響

在留外国人数は2025年末に412万5,395人となり、初めて400万人を突破して過去最多を更新しました。

国籍別では、中国が約93万人で最多となり、次いでベトナム約68.1万人、韓国約40.7万人、フィリピン約35.6万人と、アジア地域出身者が大きな割合を占めています。

在留資格別では、永住者が約94.7万人と最も多く、次いで技術・人文知識・国際業務が約47.6万人、留学が約46.5万人、技能実習が約45.7万人の順となっています。

出典:出入国在留管理庁「令和7年末現在における在留外国人数について」

にもかかわらず、エイブルホールディングスによると全国で取り扱う17万5千件の賃貸住宅のうち、貸し手の事情などで外国人が入れる物件は約15%(2024年7月時点)に留まっています。この需給ギャップは、受け入れ体制を整えたオーナーにとって競争優位の源泉となります。

出典:エイブルホールディングス調査(朝日新聞報道)

多文化共生に取り組まない賃貸物件が抱えるリスク

生活ルールの認識差から生じるトラブル事例

外国人入居者との間で生じるトラブルには、一定の傾向があります。AlbaLinkが男女500人を対象に実施した「外国人入居者とトラブルになりやすいこと」の調査では、71.4%が「騒音」、33.0%が「ゴミ出しルール違反」を挙げました。

出典:AlbaLink「外国人入居者とのトラブルに関する意識調査」

しかし、これらのトラブルの多くは悪意によるものではないと考えられます。日本のゴミ分別ルールは世界的に見ても非常に細かい傾向にあります。騒音についても、夜間に洗濯機を使う習慣がある国は少なくありません。文化的な背景を理解した上で対策を講じることが、トラブル防止の出発点になります。

入居拒否による機会損失と空室長期化の実態

LIFULL HOME'S PRESSが引用する調査によると、「外国籍」であることを理由に不平等さを感じたという当事者の回答は40.5%に上ります。これは、依然として多くの外国人が住まい探しにおいて困難に直面している現状を示しています。

出典:LIFULL HOME'S PRESS「『外国人の入居お断り』の実態は?門前払い、保証人…体験者が語る隠れたハードル」

一方で、空室に悩むオーナーは増え続けています。総務省の住宅・土地統計調査によると、全国の空き家率は上昇傾向にあり、地方都市では10%を超える地域も珍しくありません。

在留外国のうち、永住者や就労者など安定した収入基盤を持つ層は多く存在します。この層への入居拒否は、月々の家賃収入を逃し続けることと同義です。たとえば家賃8万円の物件で空室が1年間続いた場合、96万円の家賃収入を得られない計算になります。物件条件や地域によって金額は異なりますが、受け入れ体制を整えることで空室期間の短縮が見込めます。

賃貸オーナーが実践すべき多文化共生の取り組み5選

多文化共生の取り組みは大がかりな投資を必要としません。日常の管理業務に組み込める実務的な施策を5つ紹介します。

① 多言語での生活ルール案内書の整備

トラブル防止策として最も有効とされるのが「しっかりルールを説明する」ことで、調査では55%がこの方法を支持しています。さらに28%が「多言語対応」を挙げました。

出典:AlbaLink社「外国人入居者とのトラブルに関する意識調査」

具体的には、ゴミの分別方法、出す曜日と時間帯、騒音に関する注意事項、共用部分の使い方を網羅した案内書を、入居者の母語で作成します。英語、中国語、ベトナム語、ネパール語、韓国語の5言語をカバーすれば、在留外国人の多くに対応できます。

国土交通省が公開している「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」には、多言語の生活ルール案内のひな形が掲載されています。これをベースに物件固有のルールを追加することで、費用を抑えながら実用的な案内書を整備できます。

➁ ゴミ出し・騒音ルールのビジュアル化と掲示

文字だけの案内では、日本語が十分に読めない入居者には伝わりません。ゴミの種類ごとにイラストや写真を使った掲示物を作成し、ゴミ置き場や共用部分に設置することで、言語に依存しない伝達が可能になります。

自治体の多くがゴミ分別のイラスト付き資料を多言語で配布しています。物件の所在する自治体のウェブサイトからダウンロードし、共用部分に貼り出すだけでも効果があります。

騒音については「洗濯機の使用は朝8時から夜9時まで」「楽器演奏は禁止」など、具体的な時間帯とルールをピクトグラムで示すと理解されやすくなります。

➂ 入居前オリエンテーションの実施方法

契約時に書面を渡すだけでは、ルールの理解度にばらつきが生じます。入居前に30分程度のオリエンテーションを実施し、生活ルールを一つずつ口頭で説明した上で、チェックリストに署名をもらう方法が効果的です。

チェックリストの項目例としては、ゴミの分別と収集日、深夜の騒音禁止、共用部分への私物放置禁止、無断同居の禁止、退去時の原状回復義務などが挙げられます。

オリエンテーションは管理会社や保証会社に委託することも可能です。外国人入居支援に特化したサービスでは、入居者の母語で説明を行い、理解を確認した上で承諾書を取得する仕組みが整っています。

④ 既存入居者への事前説明と理解促進

多文化共生の取り組みは、外国人入居者だけでなく既存の日本人入居者への配慮も欠かせません。外国人が入居することを事前に告知し、管理体制やトラブル時の連絡先を共有しておくことで、不安を軽減できます。

掲示板や配布物で「多言語サポート体制を導入しました」「生活ルールの多言語案内を整備しました」と周知するだけでも、管理がしっかりしている物件だという印象を与えられます。

既存入居者からクレームが入った場合の対応フローも事前に決めておくことで、トラブルの拡大を防げます。管理会社が窓口となり、通訳を介して双方の意見を聞く体制が望ましいです。

➄ 緊急時・トラブル時の多言語連絡体制の構築

設備の故障、水漏れ、近隣トラブルなどが発生した際に、入居者が母語で相談できる連絡先を用意しておくことは、問題の早期解決に直結します。

自社で多言語対応が難しい場合は、外国人専門のコールセンターサービスを利用する方法があります。月額の委託費用は発生しますが、トラブルの長期化による退去や原状回復費用の増大と比較すれば、合理的な投資といえます。

緊急連絡先は入居時に配布するルール案内書に明記し、玄関ドアの裏に貼るステッカーとしても配布すると、いざという時に迷わず連絡できます。

管理会社が導入すべき多文化共生の運用体制

契約書・重要事項説明の多言語対応

契約手続きの円滑化は、管理会社にとって業務効率化の観点からも取り組む価値があります。

重要事項説明書や賃貸借契約書の多言語版を用意することで、入居者の理解度が上がり、契約後のトラブルを減らせます。多言語対応の重要事項説明動画を活用している管理会社も増えています。

基本的な必要書類一覧

外国人の方が日本で賃貸契約を結ぶ際には、日本人とは異なる書類が求められます。スムーズに契約を進めるために、事前に必要な書類を準備しておきましょう。

書類名日本語名備考
Passportパスポート身分証明書として
Residence Card在留カード合法的滞在の証明
Certificate of Employment在職証明書勤務先からの発行
Income Certificate収入証明書給与明細3ヶ月分等
Bank Account銀行口座家賃引き落とし用

※日本ですでに就職(就労)している外国人の場合

 

学生の場合の追加書類

留学生特有の必要書類

  • 学生証(Student ID)
  • 入学許可証(Admission Letter)
  • 学費支払い証明書
  • 親族からの経済支援証明書
  • 奨学金受給証明書(該当者のみ)

 

留学生の場合、収入が少ないため追加の書類を求められることがあります。親族からの仕送り証明や奨学金の受給証明書があると、入居審査がスムーズに進みやすくなります。

書類準備のコツ

翻訳について

  • 重要書類は公証翻訳が推奨される
  • 不動産会社によっては英訳版で対応可能
  • 翻訳費用も初期費用に含めて計算しておくと安心

文化差を考慮した入居審査基準の設計

外国人入居者の審査では、日本人と同じ基準をそのまま適用すると、連帯保証人の確保が困難であることなどから不必要に門前払いしてしまうケースがあります。

連帯保証人とは、借主が家賃の支払いや契約上の義務を果たせなくなった場合に、借主と同等の責任を負う人です。家賃の滞納分、原状回復費用、損害賠償まで責任範囲は広く、外国人にとって日本国内で連帯保証人を見つけることは容易ではありません。

この課題に対しては、外国人に対応した家賃保証会社の活用が現実的な解決策です。保証会社が連帯保証人の代わりとなることで、オーナーの滞納リスクを軽減しながら、外国人入居者の受け入れ間口を広げられます。

審査基準として「在留資格の種類と残存期間」「月収が家賃の3倍以上」「保証会社の審査通過」の3点を軸にすれば、国籍に関わらず公平かつ合理的な判断ができます。

定期巡回とコミュニケーション機会の確保

無断同居や又貸しは、外国人入居者に関するトラブルの中でも深刻度が高い問題です。契約書の特約に明記するだけでなく、定期的な物件巡回で実態を把握することが防止策として有効です。

月1回程度の巡回で共用部分の状態を確認し、異変があれば早期に対応する体制を整えます。巡回時に入居者と顔を合わせる機会を作ることで、小さな困りごとが大きなトラブルに発展する前に対処できます。

管理会社によっては、入居者向けのアプリやSNSグループを活用して、日常的な情報共有を行うケースもあります。季節ごとのゴミ出しルールの変更や、設備点検のお知らせなどを多言語で配信すれば、コミュニケーションの質が向上します。

多文化共生の取り組みを効率化する方法

自力対応の限界と管理コストの現実

多文化共生の取り組みを自力で進める場合、多言語資料の作成、通訳の手配、トラブル対応の窓口設置など、管理コストと業務負担が増加します。特に個人オーナーにとっては、本業との両立が難しくなる場面も少なくありません。

外国人入居者の対応言語は中国語、ベトナム語、ネパール語、英語、韓国語と多岐にわたります。自社スタッフだけで全言語に対応することは現実的ではなく、翻訳サービスの外注費用も積み重なります。

深夜や休日に発生する水漏れや設備故障への対応も課題です。言語の壁がある状態で緊急対応を行うことは、問題の長期化や二次トラブルにつながるリスクがあります。

外国人入居支援サービスを活用した仕組み化

こうした課題を解決する方法として、外国人入居者の受け入れに特化した支援サービスの活用があります。入居審査から契約手続き、入居後のサポートまでを一括で委託できるサービスを利用すれば、オーナーや管理会社の業務負担を大幅に軽減できます。

支援サービスの主な機能は、家賃保証(連帯保証人不要で審査可能)、多言語での契約手続き支援、入居後の生活サポート、トラブル発生時の多言語コールセンターです。

GTNは外国人入居支援に20年の実績を持ち、最大25言語での対応が可能です。提携不動産会社は43,000社以上、累計契約数は約55万件に達しています。最大24時間365日(一部サポート業務は年末年始を除く)のサポートにより、月内解決率は約97%を維持しています。

まずはサポート内容を確認しておくと、外国人受け入れの判断材料として活用できます。

まとめ|多文化共生の取り組みは賃貸経営の競争力になる

多文化共生の取り組みは、単なる社会貢献ではなく、賃貸経営における実務的な空室対策です。この記事のポイントを整理します。

  • 在留外国人は約412万人を超え、賃貸住宅への需要は拡大し続けている
  • 外国人入居可能物件は約15%にとどまり、受け入れ体制を整えた物件に需要が集中する
  • トラブルの大半はコミュニケーション不足が原因であり、多言語ルール案内と入居前オリエンテーションで防止できる
  • 自力での多言語対応には限界があり、外国人入居支援サービスの活用で管理コストを抑えながら受け入れ体制を構築できる
  • 家賃保証と多言語サポートを組み合わせることで、滞納リスクとトラブル対応の手間を同時に解消できる

外国人入居者の受け入れに踏み出すかどうかは、物件の立地や経営方針によって判断が分かれます。ただし、空室対策の選択肢として多文化共生の取り組みを検討しておくことは、今後の賃貸市場を見据えた合理的な判断といえます。外国人入居のリスクを抑えた運用方法は、専門サービスで確認できます。

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