外国人起業家の賃貸契約|審査対策と必要書類を解説 - GTN MAGAZINE

外国人起業家の賃貸契約|審査対策と必要書類を解説

日本で起業した外国人にとって、住む場所の確保は最初の大きな壁です。会社員と違い、起業家は収入が安定していないと見なされやすく、入居審査のハードルが高くなる場合があります。「経営・管理」の在留資格で日本に滞在している場合、事務所と住居の関係も考慮しなければなりません。

この記事では、外国人起業家が日本で賃貸物件を借りるために必要な書類、審査をスムーズに進めるための具体的な対策、そして事務所兼住居の探し方まで、実践的な情報をまとめています。

法人設立直後で収入証明が出せない場合の対処法も取り上げているので、これから部屋探しを始める起業家の方は参考にしてください。

外国人起業家が日本で賃貸契約する際の基本条件

外国人が日本で賃貸物件を借りるには、在留資格の確認と入居審査の通過が必要です。起業家の場合、会社員とは異なる審査基準が適用されるケースが多いため、事前に仕組みを理解しておくことが大切です。

「経営・管理」の在留資格と賃貸審査の関係

日本で起業する外国人が取得する代表的な在留資格の一つが「経営・管理」です。この在留資格は、日本で事業を経営または管理する活動を行うために付与されます。賃貸審査において、在留資格の種類は重要な判断材料のひとつです。

「経営・管理」の在留資格は、就労系の在留資格の中でも審査側から慎重に見られることがあります。理由は、会社員のように毎月の給与が保証されていないためです。特に法人設立直後は、事業実績がなく継続的な収入の見通しが立ちにくいと判断されやすくなります。

ただし、在留資格だけを理由に審査結果が決まるものではありません。在留期間や事業の継続性、家賃の支払い能力などを確認される場合があるため、必要書類を事前に準備しておくとよいでしょう。

起業家が入居審査で見られるポイント

不動産会社や保証会社が入居審査で確認するのは、主に「家賃を安定して支払えるかどうか」です。起業家の場合、以下のポイントが重点的にチェックされます。

審査項目確認内容起業家への影響
在留資格・在留期間在留カードの種類と残りの在留期間在留期間の残存期間を確認される場合がある
収入の安定性直近の収入証明・確定申告書設立直後は証明が難しい
勤務先・事業内容登記事項証明書(履歴事項全部証明書)事業の実態があるかを確認される
預貯金銀行残高証明書収入証明の代わりに評価される場合がある
連帯保証人日本在住の保証人の有無外国人は保証人確保が難しいため保証会社利用が一般的

会社員との審査基準の違い

会社員の場合、勤務先の企業名と年収が審査の中心になります。

一方、起業家は「事業の安定性」と「資産状況」が重視されます。毎月の固定給がないため、預金残高や事業計画書で支払い能力を証明する必要があります。

入居審査の基準や必要書類は、物件、貸主、管理会社、保証会社などによって大きく異なります。申込み前に、不動産会社へ必要書類や利用する保証会社を確認しておくことが重要です。

外国人起業家が賃貸契約で必要な書類一覧

賃貸契約に必要な書類は、会社員とは一部異なります。起業家特有の書類を事前に準備しておくことで、審査をスムーズに進められます。

基本書類(パスポート・在留カード・登記事項証明書)

外国人起業家が賃貸契約で提出する基本書類は以下のとおりです。

書類名日本語名備考
Passportパスポート本人確認書類として必須
Residence Card在留カード在留状況の確認
Certificate of Registered Matters登記事項証明書(履歴事項全部証明書)法人の存在と代表者を証明
Certificate of Tax Payment納税証明書法人として納税している証明(設立2年目以降)
Bank Statement銀行残高証明書支払い能力の証明として求められる場合がある

登記事項証明書は法務局で取得できます。賃貸契約では、貸主や管理会社、保証会社などから提出を求められることがあり、発行から一定期間以内のものを指定される場合もあります。必要書類や有効期限は提出先によって異なるため、取得前に確認しておくと安心です。

収入証明の代わりに提出できる書類

法人設立直後は確定申告を行っていないため、個人の収入証明書や源泉徴収票を提出できません。その場合、以下の書類で支払い能力を示すことができます。

収入証明を提出できない場合、銀行残高証明書を支払い能力の補足資料として求められることがあります。必要な残高水準は保証会社や貸主によって異なるため、事前に確認しましょう。

事業計画書も有効です。今後の売上見込みや資金計画を具体的にまとめた書類があれば、事業の継続性をアピールできます。

設立2期目以降であれば、法人の決算書(損益計算書・貸借対照表)を提出できます。決算内容が審査の重要な判断材料となる場合があります。

法人設立直後に用意すべき追加書類

設立1年未満の法人代表者が賃貸契約を申し込む場合、通常の書類に加えて以下を用意しておくと審査がスムーズに進みます。

法人の印鑑証明書は、法人の実在性を証明する公的書類です。法務局で取得でき、登記事項証明書と併せて提出することで信頼性が高まります。

会社案内やWebサイトのURLも、事業内容を具体的に伝える材料になります。審査担当者が事業の実態を確認しやすいよう、事業概要を日本語でまとめた資料を用意しておくと効果的です。

また、日本語でのコミュニケーションが難しい場合は、不動産会社への連絡窓口となる日本語話者(社員や知人)を紹介できるようにしておくと、手続きを進めやすくなります。

入居審査のための具体的な対策

起業家は会社員と比べ、審査において提出書類が多く、手続きが煩雑な印象を持たれがちですが、事前の準備と物件選びの工夫で審査をスムーズに進めることができます。

事業計画書や銀行残高証明の活用方法

審査で特に重視されるのは「家賃を継続的に支払えるか」という点です。収入証明がない場合、銀行残高証明書は説得力のある代替書類になります。

収入証明を提出できない場合、銀行残高証明書を支払い能力の補足資料として求められることがあります。必要な残高水準は保証会社や貸主によって異なるため、事前に確認しましょう。

事業計画書を提出する場合は、売上計画・資金繰り表・主要取引先の情報を含めた具体的な内容にすることが重要です。抽象的な計画ではなく、数字に基づいた現実的な見通しを示すことで、審査担当者に事業の信頼性を伝えられます。

保証会社の選び方と特徴

外国人起業家が賃貸契約を結ぶ際、多くのケースで保証会社の利用が必要になります。保証会社にはいくつかの種類があります。

保証会社の区分例特徴
信販系クレジットカード等の信用情報を審査に用いる
LICC加盟会社(一般社団法人全国賃貸保証業協会)独自の審査基準で外国人対応を行う加盟会社もある
独立系審査基準は各社で異なる

保証会社は物件ごとに指定されている場合があり、申込者が自由に選べないこともあります。利用する保証会社の審査基準や必要書類について、不動産会社に確認しておきましょう。信販系の保証会社は個人のクレジットヒストリーを重視するため、日本での信用履歴が短い外国人起業家には適さない場合があります。

外国人向けのサービスを提供している保証会社の中には、多言語での案内や手続きに対応している会社もあります。ただし、審査基準は保証会社によって異なり、在留資格の種類や在留期間などを確認される場合があります。

外国人の起業家が賃貸物件を借りる際は、不動産会社に自分の在留資格や事業状況を伝えたうえで、利用できる保証会社について相談するとよいでしょう。

前払い・敷金の増額で審査を申し込む方法

収入証明が出せない場合の手段として、家賃の前払いがあります。数か月分の家賃をまとめて支払う提案をすることで、「支払い意思と資金力がある」ことを示せます。

敷金を通常より多く預けることも効果的です。通常の敷金は家賃1か月分程度が目安とされることが多いですが、2〜3か月分の敷金を提案すると、大家さんにとってのリスクが軽減されるため、審査がスムーズに進む可能性が高まります。

法人名義で契約することも検討材料になります。法人契約の場合、会社の資本金や事業規模が評価対象になるため、個人契約よりも信用力が高いと判断されるケースがあります。ただし、法人契約に対応していない物件もあるため、事前に確認が必要です。

外国人起業家が知っておくべき賃貸費用

日本の賃貸契約では、毎月の家賃に加えて多額の初期費用が発生します。起業家として資金計画を立てるうえで、費用の全体像を把握しておくことが重要です。

初期費用の内訳と起業家特有の注意点

日本の賃貸契約では、入居時に家賃の数か月分の初期費用がかかります。主な内訳は以下のとおりです。

項目金額のイメージ(例)一般的な目安返還の有無説明
敷金0~8万円家賃0~1か月分(非課税)未払賃料や借主負担となる原状回復費用等を差し引いた額を返還賃料や修繕費等の債務を担保するための金銭
礼金0~8万円家賃0~1か月分(非課税)返還なし貸主への謝礼
仲介手数料最大8.8万円家賃1か月分+税(上限のケース)返還なし不動産会社への報酬
前家賃8万円家賃1か月分程度(非課税)返還なし入居月の日割り家賃(契約時期によっては、翌月分の家賃もあわせて支払い)
保証料4~8万円家賃0.5~1か月分(非課税)返還なし保証会社利用料
火災保険料1.5~2万円1.5~2万円(非課税)返還なし火災等に備える保険(補償内容は契約により異なる)
鍵交換費用1.5~3万円1.5~3万円返還なしセキュリティ対策
合計(例):23.8~45.8万円   

※敷金と礼金は、高級物件やペット可は2か月又はそれ以上に設定される場合があります。

※上記の金額例は家賃が8万円と想定した場合の算出になります。

※居住用建物の仲介手数料は不動産会社に払う手数料であり、法律で決まっている上限は貸主と借主から受け取る合計で家賃1か月分+税です。借主が払う金額は、契約の条件によって異なります。
 

起業家や法人設立直後など、収入や事業実績を確認しにくい場合には、貸主や管理会社から通常より多くの敷金を求められるなど、契約条件が異なることがあります。追加の敷金を支払うことで契約条件を調整するケースもありますが、審査基準や必要な敷金額は物件や貸主、保証会社によって異なります。

そのため、家賃だけでなく、敷金・礼金・仲介手数料・保証料・火災保険料などを含めた初期費用を事前に確認し、余裕を持った資金計画を立てておくことが大切です。

費用を抑えるための具体的な方法

起業直後は事業資金を優先したい時期です。賃貸の費用を抑えるために、いくつかの方法を検討するとよいでしょう。

礼金なし・敷金なしの物件(いわゆるゼロゼロ物件)を探す方法があります。初期費用を抑えられますが、その分、退去時の費用が高くなるケースもあるため、契約条件をよく確認することが重要です。

フリーレント付きの物件も選択肢のひとつです。入居から一定期間分の家賃が無料になる物件があり、初期の出費を抑えることができます。

住むエリアを見直すことも効果的です。東京23区内でも、エリアによって家賃相場は大きく異なります。事業の拠点から少し離れたエリアを検討するだけで、月々の家賃を抑えられる場合があります。

「経営・管理」の在留資格で求められる事務所要件とは

「経営・管理」の在留資格を持つ起業家にとって、事務所の確保は在留資格の維持にも直結する重要な課題です。特に、住居と事務所を兼ねるSOHO物件やレンタルオフィスを利用する場合は、賃貸契約の内容だけでなく、事業所として認められる条件を確認することが重要です。

「経営・管理」の在留資格で求められる事務所要件

「経営・管理」の在留資格を取得・更新するためには、独立した事務所を確保していることが条件のひとつです。出入国在留管理庁の基準では、以下の要件を満たす必要があります。

賃貸借契約の使用目的が「事業用」「事務所」等の事業目的であること。賃貸借契約の契約者についても、事業主体となる法人等の名義とすること。住居とは明確に分離された独立したスペースであること。これらの条件を満たさない場合、在留資格の審査がスムーズに進まない可能性があります。

2025年10月16日から「経営・管理」の在留資格に関する基準が改正され、事業所の確保に加えて、原則として3,000万円以上の資本金等、1人以上の常勤職員の雇用などが要件として定められました。また、申請者本人についても、一定の日本語能力や、経営・管理等に関する修士相当以上の学位または3年以上の経営・管理経験などが求められます。

事業所については、事業を行うための独立したスペースを確保することが基本となり、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められていません。そのため、SOHO可の物件やレンタルオフィスであれば、必ず「経営・管理」の事業所要件を満たせるとは限りません。なお、改正後は事業規模や資金要件について詳細な基準が定められています。

出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』に係る上陸基準省令等の改正について」

SOHO物件を事業所として利用することを検討している場合は、賃貸契約上の利用条件だけでなく、出入国在留管理庁が定める「経営・管理」の要件を満たしているかを、契約前に確認することが重要です。

住居と事務所を分ける場合の選択肢

改正後の基準では、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないため、原則として自宅とは別に事業所を確保する必要があります。事務所を確保する方法の一つとして、レンタルオフィスを利用する方法があります。ただし、レンタルオフィスであれば「経営・管理」の在留資格に必要な事業所要件を必ず満たせるわけではありません。

利用するレンタルオフィスについて、事業を継続的に行えるスペースが確保されているか、賃貸借契約の使用目的が事業用・事務所などになっているか、法人名義で契約できるかなどを事前に確認することが重要です。

外国人起業家の賃貸トラブルと対処法

賃貸契約後も、起業家ならではのリスクや注意点があります。事前に対処法を知っておくことで、トラブルを未然に防げます。

在留資格の更新時期と賃貸契約への影響

「経営・管理」の在留期間は、5年、3年、1年、6か月、4か月、3か月のいずれかの期間で付与されます。

出典:出入国在留管理庁「在留資格『経営・管理』」

在留期間が満了する前に更新手続きを行う必要がありますが、更新が認められなかった場合、日本に滞在する法的根拠がなくなり、賃貸契約にも影響が出ます。

在留資格の更新時期が近づいたら、更新申請の受付証明書を貸主や管理会社に提示しておくと安心です。更新手続き中であることを事前に伝えておくことで、無用な不安を与えずに済みます。

賃貸契約の更新時期と在留資格の更新時期が重なる場合は、早めに管理会社に相談しておきましょう。在留資格の更新が完了してから賃貸契約を更新するスケジュールを組めると理想的です。

事業不振時の家賃支払いリスクへの備え

起業家は事業の状況によって収入が大きく変動します。売上が落ち込んだ時期に家賃の支払いが困難になるリスクは、常に想定しておく必要があります。

対策として、最低でも家賃6か月分程度の緊急資金を別途確保しておくことをおすすめします。事業資金と生活費を完全に分けて管理し、家賃用の口座に一定額を常にプールしておく方法が効果的です。

万が一、家賃の支払いが難しくなった場合は、滞納する前に早めに貸主や管理会社に相談してください。事前に連絡を入れることで、支払いスケジュールの調整に応じてもらえる場合があります。家賃を滞納すると、保証会社などの審査に影響する可能性があるため、支払いが難しくなった場合は早めに管理会社や保証会社へ相談しましょう。

退去時の原状回復で注意すべきポイント

賃貸物件を退去する際には、原状回復の費用が発生することがあります。原状回復の負担区分は、契約内容や民法、国土交通省のガイドライン等に基づいて判断されます。

2020年4月の民法改正により、通常損耗と経年変化については借主に原状回復義務がないことが明文化されました(民法621条)。

負担者内容具体例
貸主(大家さん)負担通常の使用による損耗や経年変化壁紙の日焼け、家具の設置による床のへこみ、画びょうやピンの小さな穴
借主(入居者)負担故意や不注意でつけた傷や汚れタバコのヤニ汚れ、重い物をかけるためにあけた壁の穴(下地ボードの張り替えが必要なもの)、飲み物をこぼしたあと手入れをしなかったシミ

出典:国土交通省「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」(再改訂版・別表1)

判断に迷う場合は、このガイドラインを参考にできます。

ただし、損傷の程度・原因や有効な特約の内容などによっては、上記ガイドラインでは貸主負担の内容であっても借主の負担となる場合があります。

SOHO可物件を事業用途で使っていた場合、契約内容によっては通常の使用と異なる原状回復条件が設定されることがあります。壁や床の損耗の負担区分は契約書の定めに基づいて判断されるため、入居時の状態を写真で記録し、契約内容を事前に確認しておきましょう。

外国人起業家が活用できる賃貸サポートサービス

外国人の賃貸契約をサポートする専門サービスを活用すると、言語や制度の壁を乗り越えやすくなります。起業家特有の事情にも対応してくれるサービスを紹介します。

多言語対応の相談窓口と物件検索サイト

部屋探しの段階から多言語でサポートを受けられるサービスを活用すると、契約手続きがスムーズに進みます。

GTNのBEST-ESTATE.JPは、外国人向けの賃貸物件検索サイトとして多言語に対応しています。物件情報が多言語で掲載されているため、日本語が理解できなくても条件に合った物件を探すことができます。

外国人の方が日本で賃貸物件を借りる際は、国土交通省の「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」も参考になります。主に不動産事業者向けに作成された資料ですが、入居申込書や重要事項説明書、賃貸住宅標準契約書などの多言語版が掲載されており、契約前に日本の賃貸借契約の仕組みや確認事項を把握するために役立ちます。

BEST-ESTATE.JP

BEST-ESTATE.JPは、外国籍の方に特化した賃貸プラットフォームです。

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外国人可の物件のみを厳選し、保証人不要プランや24時間チャットを提供しています(※)。

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※一部サポート業務は年末年始を除く

まとめ

外国人起業家が日本で賃貸物件を借りる際のポイントを整理します。

起業家は収入の不安定さから審査で不利になりやすいですが、銀行残高証明書や事業計画書を活用することで支払い能力を証明できます。敷金の増額や家賃の前払いを提案する方法も効果的です。

「経営・管理」の在留資格を持つ方は、2025年10月からの事務所要件の厳格化に注意が必要です。住居と事務所は原則として分離が求められるため、住居用の賃貸契約と事務所用のレンタルオフィス契約を別々に進めるのが安全な方法です。

まずはGTNのBEST-ESTATE.JPで、外国人起業家が入居可能な物件を探してみてください。多言語対応のサポートを活用することで、言語の壁を気にせず効率よく部屋探しを進められます。

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