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賃貸物件の空室率が高い原因と対策|外国人入居で稼働率を上げる方法も紹介

賃貸物件を所有するオーナーや管理会社にとって、空室率の上昇は収益を直接圧迫する深刻な経営課題です。

全国には約443万戸の賃貸用空き家が存在しており、人口減少が進む日本では今後さらに入居者の獲得競争が激化すると考えられます。

空室を埋めるためには、まず自分の物件の空室率を正しく把握し、原因を特定したうえで適切な対策を打つことが欠かせません。

加えて、近年は在留外国人の増加を背景に、外国人入居を空室対策に活かすオーナーも増えています。

この記事では、空室率の計算方法から全国データの読み解き方、原因分析、具体的な改善策、さらに外国人入居を活用したリスクを抑えた空室対策まで解説します。

目次

賃貸経営における空室率とは|3つの計算方法と使い分け

空室率は賃貸経営の健全性を測る基本指標ですが、計算方法によって数値の意味が異なります。

目的に応じて使い分けることで、物件の収益状況をより正確に判断できます。

時点空室率の計算式と活用場面

時点空室率は、ある時点における空室の割合を示すシンプルな指標です。

計算式は「空室数 ÷ 全室数 × 100」で求められます。

例えば10室のアパートで2室が空いている場合、時点空室率は20%です。

物件の現時点での稼働状況を手軽に確認できるため、定期的な空室チェックや物件購入時の簡易判断に適しています。

ただし、この計算はあくまでも瞬間的なスナップショットに過ぎません。

退去から次の入居までの期間や、季節による変動は反映されないため、経営判断の唯一の根拠にするには不十分です。

稼働空室率で年間の収益ロスを正確に把握する

稼働空室率は、年間を通じてどれだけ空室が発生していたかを示す指標です。

計算式は「(空室数 × 空室日数)÷(全室数 × 365日)× 100」となります。

10室のアパートで1室が60日間、別の1室が90日間空いていた場合、稼働空室率は(1×60 + 1×90)÷(10×365)× 100 = 約4.1%です。

この指標を使えば、入退去のタイミングや空室期間の長さを含めた実態が見えてきます。

年間の収支計画を立てる際や、管理会社の募集力を評価する場面で特に役立ちます。

賃料ベース空室率で実際の収入減を数値化する

賃料ベース空室率は、満室時の想定賃料収入に対して実際にどれだけの損失が出ているかを示します。

計算式は「(満室時の年間想定賃料 − 実際の年間賃料収入)÷ 満室時の年間想定賃料 × 100」です。

同じ物件内でも部屋ごとに家賃が異なるケースでは、室数ベースの空室率よりも実態に近い数値が得られます。

家賃の高い部屋が空いている場合は、室数の割に収益への影響が大きくなるため、この指標で把握することが有効です。

計算方法計算式適した活用場面
時点空室率空室数 ÷ 全室数 × 100物件購入時の簡易判断、定期チェック
稼働空室率(空室数×空室日数)÷(全室数×365日)×100年間収支計画、管理会社の評価
賃料ベース空室率(想定賃料−実際の賃料)÷ 想定賃料×100収益インパクトの正確な把握

全国の空き家率・賃貸用空き家データ

令和5年住宅・土地統計調査によると、全国の空き家率は13.8%で、空き家数は約900万戸と過去最多となりました。

このうち賃貸用の空き家は約443万戸です。

出典・参考:総務省「住宅・土地統計調査」

都市部と地方での違い

東京都や大阪府、福岡県など、就業機会や教育機関が集中するエリアでは、入居者の母数が多いため空室が埋まりやすい傾向にあります。

一方、地方では人口流出と新規供給のバランスが崩れやすく、物件によっては空室率が高くなることもあります。

特に工場や大学の移転があったエリアでは、急激に需要が減少するケースもあります。

自分の物件がある地域の人口動態や、周辺の新規供給状況を定期的に確認することが、空室リスクの早期発見につながります。

築年数・物件タイプ

築年数が浅い物件ほど入居者から選ばれやすい傾向があります。

特に築10年以内の物件は、設備の新しさや耐震性能などが評価されやすく、築20年を超える物件では空室期間が長期化することもあります。

物件構造別では、RC造(鉄筋コンクリート造)のマンションは遮音性や耐久性で人気が高い傾向にありますが、木造でもリノベーション済みの物件やデザイン性の高い物件は競争力を維持することもできます。

築古物件のオーナーにとっては、設備の刷新や入居者ターゲットの見直しが空室改善につながる重要な要素となります。

空室率が高くなる5つの原因|自分の物件に当てはまるかチェック

空室率が高止まりしている場合、その背景には複数の要因が絡んでいます。

ここでは代表的な5つの原因を整理します。自分の物件に該当する項目がないか確認してみてください。

①賃料設定が周辺相場と合っていない

空室が続く原因の一つに、賃料の相場ズレがあります。

周辺の類似物件と比較して賃料が高すぎると、内見すら入らないケースも珍しくありません。

特に築年数が経過した物件で、新築時の賃料をそのまま維持しているケースが見受けられます。

周辺に新築物件が供給されれば、相対的な競争力は低下します。

定期的にポータルサイトで周辺の類似物件の賃料を確認し、築年数や設備の違いを考慮したうえで適正価格を検討することが第一歩です。

②物件の設備・内装が入居者ニーズに追いついていない

入居者が物件を選ぶ際に重視する設備は年々変化しています。

現在はインターネット無料、独立洗面台、宅配ボックス、モニター付きインターホンなどが人気の設備として挙がります。

これらの設備がない物件は、同じ賃料帯の競合物件に比べて不利になります。

特にインターネット環境は、単身者やリモートワーク層にとって選択の決め手になることが増えています。

すべてを一度に導入する必要はありません。

投資対効果の高いものから優先的に対応することで、限られた予算でも空室改善が見込めます。

③募集条件を狭く設定しすぎている

「日本人のみ」「法人契約のみ」「単身者のみ」など、入居者の条件を厳しく絞りすぎると、それだけ入居候補者の母数が減ります。

特に人口減少が進むエリアでは、条件の厳しさがそのまま空室の長期化に直結します。

もちろん、物件の特性や周辺環境に応じた合理的な条件設定は必要です。

しかし、過去のトラブル経験や先入観だけで対象を狭めてしまうと、本来入居できるはずの優良な入居者を逃すことにもなります。

条件を見直す際には、リスクを「排除」するのではなく「仕組みで管理する」という発想が有効です。

④管理会社の募集力・対応力が不足している

管理会社によって、募集力には差が生じるケースがあります。

掲載するポータルサイトの数、物件写真のクオリティ、問い合わせへの対応スピードなど、入居者獲得に直結する要素は管理会社の力量に左右されます。

管理委託料が安くても、空室が長引けばトータルの収支はマイナスになることもあります。

そのため、管理会社の実績や得意分野を確認し、必要に応じて複数社に募集を依頼することも検討しましょう。

⑤エリアの人口動態や需要構造が変化している

大学の移転、工場の閉鎖、新駅の開業など、エリアの需要構造は数年単位で変化します。

以前は入居率が高かった地域でも、周辺環境の変化によって急速に空室が増えるケースがあります。

自治体が公表している人口推計や転入・転出データを定期的に確認し、エリアの将来性を見極めることが長期的な空室対策のポイントとなります。

需要が減少傾向にあるエリアでは、ターゲットの見直しや用途変更の検討も選択肢に入ります。

空室率を下げる実践的な5つの対策

原因の特定ができたら、次は具体的な対策です。

ここでは費用対効果を意識しながら、すぐに取り組める5つの実践策を紹介します。

①賃料の適正化と初期費用の見直し

まず取り組むべきは、賃料が相場から乖離していないかの確認です。

周辺の類似物件(築年数・間取り・設備が近いもの)と比較し、差がある場合は適正価格への調整を検討します。

賃料を下げることに抵抗がある場合は、初期費用の軽減が効果的です。

敷金・礼金をゼロにする、フリーレント(1〜2か月の家賃無料)を設定するなどの方法があります。

これらは賃料そのものを下げるよりも長期的な収益への影響が小さく、入居のハードルを下げる効果が期待できます。

②費用対効果の高いリフォーム・設備投資

全面的なリノベーションが難しい場合でも、ピンポイントの設備投資で競争力を高められます。

対策費用目安期待効果
インターネット無料化月額数千円〜1万円/戸単身者を中心に訴求力の向上が期待できる
モニター付きインターホン設置3万円~/戸セキュリティ面の安心感を訴求できる
宅配ボックス設置20万円~/棟不在時の利便性向上で差別化につながる
水回りの部分リフォーム20万円~/戸内見時の印象向上が期待できる

※費用目安は一般的な工事価格の一例であり、施工範囲や物件の規模、地域、設備の仕様などによって異なります。

※効果は物件の立地や築年数、競合状況、募集条件などにより異なり、入居率の向上を保証するものではありません。

投資額と想定される家賃アップ分や空室期間の短縮効果を比較し、回収見込みのある対策から優先的に実施することが賢明です。

③募集チャネルの拡大と物件情報の改善

不動産情報サイトは、住まい探しにおける主要な情報収集手段の一つです。

複数の大手ポータルサイトに掲載されているか、写真や物件情報が魅力的に整備されているかを確認してみてください。

暗い室内写真や情報不足の物件ページでは、内見の申し込みにつながりません。

明るい時間帯に撮影した写真、周辺環境の情報、おすすめポイントの記載など、入居者目線での情報発信が空室期間の短縮に直結します。

④外国人入居者の受け入れ

在留外国人数は2025年末に412万5,395人となり、初めて400万人を突破して過去最多を更新しました。

国籍別では、中国が約93万人で最多となり、次いでベトナム約68.1万人、韓国約40.7万人、フィリピン約35.6万人と、アジア地域出身者が大きな割合を占めています。

在留資格別では、永住者が約94.7万人と最も多く、次いで技術・人文知識・国際業務が約47.6万人、留学が約46.5万人、技能実習が約45.7万人の順となっています。

出典:出入国在留管理庁「在留外国人について」

外国人入居を受け入れることで、それまで対象外だった層が入居候補に加わります。

特に日本人の応募が少ないエリアや物件では、外国人入居が空室解消の突破口となるケースもあります。

高齢者やペット飼育希望者など、従来は敬遠されがちだった層の受け入れも、入居候補者を増やす有効な手段です。

保証会社の利用や入居ルールの整備など、リスクを管理する仕組みを整えることで、ターゲット層を広げる空室対策につながります。

 

⑤管理会社の変更・複数社への募集依頼

管理会社の募集力に不満がある場合、他の管理会社への変更や、複数の仲介会社に募集を依頼する「一般媒介」への切り替えも選択肢です。

管理会社を選ぶ際は、入居率の実績、対応エリアの強み、入居者トラブルへの対応力を確認します。

外国人入居者にも対応できる管理会社であれば、募集対象を広げやすくなり、空室改善につながる可能性があります。

外国人入居で空室率を改善する方法|メリットとリスク対策

在留外国人の増加は、賃貸市場における新たな需要層の拡大を意味します。

ここでは、外国人入居を空室対策として活用するメリットと、オーナーが気になるリスクへの対処法を具体的に解説します。

外国人の賃貸需要が増えている背景

増加の背景には、深刻な人手不足を受けた特定技能制度など受け入れ政策の拡充、留学生の増加など複数の要因があります。

今後は技能実習制度に代わる育成就労制度(2027年施行予定)の開始により、さらなる受け入れ拡大が見込まれています。

一方で、外国人の入居に慎重な物件も依然として少なくないとされています。

つまり、外国人入居を受け入れる体制を整えることで、供給が比較的少ない市場へアプローチできる可能性があります。

出典:出入国在留管理庁「在留外国人数について」

外国人入居を受け入れるメリット|口コミ紹介と長期入居の傾向

外国人入居者を受け入れることには、空室率の改善以外にもいくつかのメリットがあります。

まず、外国人コミュニティ内での口コミ効果です。

物件に満足した入居者が、同じ国籍や職場の知人に物件を紹介するケースもあります。

次に、長期入居の傾向です。

日本語での物件探しにハードルがあるため、一度入居すると引っ越しを避ける傾向があり、結果として入居期間が長くなりやすいです。

長期入居につながれば、退去に伴う原状回復費用や空室期間の発生を抑えられる可能性があります。

外国人向け賃貸物件の供給が限られている地域では、相場水準の賃料でも入居につながるケースがあります。

オーナーが懸念する3つのリスクと具体的な防止策

外国人入居に対するオーナーの主な懸念は、家賃滞納、生活ルールの違いによるトラブル、言語の壁の3つに集約されます。

これらはいずれも、事前の対策で発生リスクを抑えることが可能です。

懸念事項発生しやすい場面具体的な防止策
家賃滞納収入が不安定な場合や帰国時外国人対応の保証会社を利用し滞納リスクをカバー
生活ルールの違いゴミ出し、騒音、共用部の使い方入居時に母国語で生活ルールを説明、多言語の案内書を配布
言語の壁契約内容の理解不足、トラブル時の連絡多言語対応の管理サポートを活用し意思疎通を円滑化

家賃滞納や騒音トラブルは、外国人入居者に限らず、日本人入居者でも起こり得ます。

そのため、属性で一律に判断するのではなく、保証会社・契約説明・生活ルールの共有など、仕組みで管理する視点が重要です。

保証会社・多言語サポートの活用で手間とリスクを仕組みで抑える

外国人入居のリスクを管理するうえで、外国人対応に特化した保証会社の利用は効果的な方法の一つです。

保証会社が家賃の支払いを保証するため、オーナーの金銭的な負担を軽減できます。

連帯保証人を日本国内で見つけられない外国人でも、保証会社を利用すれば契約が可能になります。

これにより、連帯保証人不在を理由に入居を断る必要がなくなり、入居候補者の幅が広がります。

空室率の改善に向けた取り組みのポイント

空室率を安定的に低く維持しているオーナーには、いくつかの共通した行動パターンがあります。

データに基づいた賃料設定と定期的な見直し

成果を出しているオーナーは、感覚ではなくデータで賃料を設定しています。

周辺の成約賃料や空室期間のデータを定期的に収集し、市場の変化に応じて柔軟に対応しています。

年に1回は周辺相場を確認し、自分の物件の競争力を客観的に評価する習慣が、長期的な空室率の低下につながります。

入居者層を限定しすぎず柔軟に判断する

空室が長引くオーナーほど、入居者の条件を厳しく設定している傾向があります。

一方で、空室率が低いオーナーは「リスクを排除する」のではなく「リスクを管理できる仕組みがあるか」で判断しています。

外国人、高齢者、ペット飼育希望者など、従来は敬遠されがちだった層にも門戸を開くことで、入居候補者の母数が増え、空室期間の短縮につながる可能性があります。

専門サービスを活用して管理負担を減らす

すべてのリスク管理を自力で行うのは現実的ではありません。

保証会社、多言語サポート、外国人専門の管理サービスなど、専門的な仕組みを活用することで、オーナーの負担を抑えながら入居者層を広げることが可能です。

空室率の改善は、単発の施策ではなく、賃料設定・設備投資・ターゲット拡大・管理体制の見直しを組み合わせた総合的なアプローチが大切です。

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