入居者募集がうまくいかない原因は?外国人入居者を含めた空室対策を解説 - GTN MAGAZINE
日本語
日本語
English

入居者募集がうまくいかない原因は?外国人入居者を含めた空室対策を解説

賃貸経営では、空室期間の長期化が収益に大きく影響します。

「募集を出しても反響がない」「内見は入るのに成約につながらない」といった悩みを抱えるオーナーも多いのではないでしょうか。

そうした状況が続くと、家賃の値下げやリフォームを検討するケースも少なくありません。

しかし、入居者募集がうまくいかない原因は、物件そのものではなく「届ける相手」にある場合もあります。近年は在留外国人数が増加しており、地域によっては外国人の賃貸住宅需要も見込まれます。

これまで十分にアプローチできていなかった層に目を向けることが、空室対策の新たな選択肢になるかもしれません。

この記事では、入居者募集の改善ポイントをはじめ、外国人入居者の受け入れ方法、トラブル防止策、管理負担を軽減する工夫まで分かりやすく解説します。

入居者募集で空室が埋まらない3つの原因

空室が続く物件には共通するパターンがあります。募集方法や条件設定を見直すことで、反響が改善するケースは珍しくありません。

募集条件の設定が市場とずれている

空室が埋まらない原因の一つは、家賃や初期費用の設定が周辺相場と合っていないことです。オーナー自身の希望収益から逆算して家賃を決めているケースでは、入居希望者の予算感と乖離しやすくなります。

特に初期費用は入居者にとって大きなハードルです。敷金・礼金などの初期費用が周辺の類似物件より高い場合は、比較検討の段階で選ばれにくくなる可能性があります。

周辺の類似物件の募集条件をポータルサイトで定期的に確認し、家賃だけでなく初期費用の総額で比較することが、反響を得やすくなります。

募集媒体が限られている

管理会社へ委託していても、掲載媒体や他社への客付け状況によっては、十分な露出を確保できていない場合があります。

入居希望者が物件を探すルートは多様化しており、大手ポータルサイトのほか、SNSや地域密着型の不動産会社などを活用した募集方法もあります。

管理委託契約や募集条件を確認したうえで、複数の仲介会社への客付け依頼を検討する方法など、管理委託契約の内容によっては、オーナー自身で追加の仲介依頼が可能です。

物件写真の質も反響に直結します。暗い室内写真や情報量の少ない掲載内容は、ポータルサイト上でスルーされやすいため、明るく清潔感のある写真と具体的な設備情報を揃えることが有効です。

ターゲット層を日本人に限定している

入居者募集のターゲットを日本人に限定している物件は、市場全体の一部にしかアプローチできていません。

外国人入居者は、言語対応や保証人の確保などを理由に、物件探しが難航する場合があります。

そのため、外国人の受け入れを可能にするだけでも、問い合わせや入居機会の拡大につながる場合があります。

一方で、「外国語の対応が難しそう」「入居後のトラブルが不安」といった理由から、受け入れに慎重なオーナーも少なくありません。しかし、こうした理由だけで募集対象を限定してしまうと、拡大している外国人市場を取りこぼしてしまう可能性があります。

技能実習生や特定技能外国人を受け入れる企業がある地域では、外国人向け住宅の需要が生じている場合があります。

実際に、人手不足を背景に外国人雇用を進める企業も増えており、住居ニーズは今後も拡大が見込まれます。

日本人の人口減少が進むなか、従来の募集対象だけでは空室改善が難しくなるケースもあります。そのため、外国人入居者を受け入れることは、空室対策の選択肢のひとつとして注目されています。

入居者募集の基本戦略|反響を増やすための実務ポイント

入居者募集の反響を増やすには、物件の見せ方と条件設定の最適化が欠かせません。ここでは、すぐに実践できる改善策を整理します。

物件写真と間取り情報の見直しで反響率を上げる

ポータルサイトでの反響率は、物件写真の質に大きく左右されます。自然光が入る時間帯に撮影した明るい室内写真、水回りの清潔感が伝わるアングル、収納スペースの広さがわかるカットなど、入居者が気にするポイントを押さえた写真が有効です。

間取り図は正確なサイズ表記と家具配置のイメージがあると、内見前の段階で入居希望者の関心を引きやすくなります。最寄り駅からの距離、周辺のコンビニやスーパーの情報も掲載することで、反響の増加が期待できます。

家賃設定と初期費用の適正化で問い合わせを増やす

家賃は、エリア、間取り、築年数、駅からの距離、設備などが近い競合物件と比較して設定します。

相場より高い家賃設定が続くと、問い合わせを得られないまま空室期間が長期化する可能性があります。

初期費用の負担を軽減する方法も検討に値します。礼金をゼロにする、フリーレント1か月を設定するなどの施策は、短期的な収入減よりも空室期間の短縮による収益面でのプラスが期待できます。

施策期待できる効果注意点
礼金ゼロ初期費用を抑えられる礼金収入が減少する
フリーレント1か月入居時の負担を抑えられる無料期間と解約条件を契約書に明記する
家賃の見直し競合物件との価格差を縮められる収支や既存契約への影響を確認する

複数の募集媒体を活用してリーチを広げる

大手ポータルサイトへの掲載は基本ですが、それだけでは物件の露出は限定的です。地域の仲介会社にも並行して募集を依頼すると、地元で部屋を探している層にもアプローチできます。

外国人入居者をターゲットに含める場合は、外国人向けの物件検索サイトへの掲載も効果的です。英語や中国語など多言語で物件情報を発信できるプラットフォームを活用すると、日本語での検索が難しい層にもリーチが広がります。

外国人入居者の受け入れが空室対策になる理由

外国人入居者を募集対象に加えることで、物件や地域によっては入居機会を広げられる可能性があります。

在留外国人数の増加

在留外国人数は2025年末に412万5,395人となり、初めて400万人を突破して過去最多を更新しました。

国籍別では、中国が約93万人で最多となり、次いでベトナム約68.1万人、韓国約40.7万人、フィリピン約35.6万人と、アジア地域出身者が大きな割合を占めています。

在留資格別では、永住者が約94.7万人と最も多く、次いで技術・人文知識・国際業務が約47.6万人、留学が約46.5万人、技能実習が約45.7万人の順となっています。

出典:出入国在留管理庁「在留外国人について」

入居者層を広げることで空室改善につながる可能性

外国人入居者を募集対象に加えることで、これまでアプローチできていなかった層から問い合わせを得られる場合があります。

外国人の入居実績を積み、地域の企業や学校、支援団体との募集経路を構築できれば、入居希望者の紹介につながる場合があります。

外国人を募集対象に加えて入居機会を広げる

人口が減少している地域では、従来と同じ層だけを対象に募集を続けても、入居者を確保しにくくなる可能性があります。

外国人入居者を募集対象に加えることは、これまで接点のなかった層へ物件情報を届け、入居機会を広げる方法のひとつです。

ただし、外国人入居者であれば、築年数が経過した物件や駅から離れた物件を選ぶとは限りません。勤務先や学校への通いやすさ、賃料、初期費用、間取り、保証人の要否など、重視する条件は入居希望者によって異なります。

受け入れを検討する際は、周辺の外国人雇用企業や学校、交通環境などを調べ、物件と地域の需要が合っているかを確認することが大切です。

外国人入居で起きやすいトラブルと具体的な防止策

外国人入居者の受け入れに不安を感じるオーナーは少なくありません。ここでは、実際に発生しやすいトラブルの内訳と、それぞれの防止策をデータに基づいて整理します。

家賃滞納リスクは国籍だけでは判断できない 

外国人入居者を受け入れる際、家賃滞納を懸念するオーナーもいます。

しかし、国籍だけを理由に滞納リスクが高いと判断することは適切ではありません。

東京圏の民間賃貸住宅市場を分析した東京大学空間情報科学研究センターの研究によると、入居世帯のうち2か月分以上の家賃滞納に至った割合は、外国籍世帯で2.1%、日本国籍世帯で1.6%でした。

さらに、収入などの条件をそろえて分析した結果、国籍による統計的に有意な差は確認されていません。

家賃滞納への備えとしては、入居審査で収入や雇用状況などを適切に確認したうえで、家賃債務保証会社を利用する方法があります。

ただし、保証される費用や期間、免責事項、代位弁済の請求期限・手続きは保証会社や契約プランによって異なります。利用前に保証範囲と請求条件を確認しておきましょう。

出典:東京大学空間情報科学研究センター「民間賃貸住宅市場における入居審査と家賃滞納」

生活ルールの違いは契約前の多言語説明で防ぐ

外国人入居者のトラブルの一つに、ごみ出しルールの違反があります。

これは、ごみの分別方法や収集日時への理解不足が、ルール違反の一因となる場合があります。

入居者が理解できる言語や、やさしい日本語、イラストを用いて説明することで、認識のずれを減らしやすくなります。

契約前の重要事項説明の際に、外国語の参考資料や通訳、やさしい日本語を活用し、入居者の理解を補助することも有効です。

契約内容、退去時の原状回復ルール、禁止事項などを入居者が理解できる言語で伝えることで、認識の齟齬によるトラブルを防ぎます。

国土交通省が公開している「外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン」や多言語の契約書ひな形を活用すれば、オーナーや管理会社の負担を抑えながら対応できます。

騒音・ゴミ出し問題は入居時のルール共有で減らせる

騒音トラブルは、生活習慣の違いから発生することがあります。日本の集合住宅では夜間の生活音に敏感な傾向がありますが、この感覚は国によって異なります。

入居時に管理規約や使用細則に基づき、夜間・早朝の生活音や洗濯機の使用に関するルールを具体的に説明します。

トラブルが発生した場合の相談窓口を事前に伝えておくことも有効です。入居者が困ったときにすぐ相談できる体制があれば、問題が大きくなる前に対処できます。

外国人入居者の募集から契約までの流れ

外国人入居者を受け入れると決めた場合、通常の募集フローに加えていくつかの確認事項が発生します。ここでは、募集から契約完了までの流れを整理します。

入居審査で確認すべき書類と在留資格のチェックポイント

外国人入居者の入居審査では、日本人と同様の収入証明に加えて、在留資格の確認が必要です。

在留カードの表裏を確認し、在留資格、住居地、在留期間の満了日などを確認します。

2026年6月14日以降に交付された新様式の在留カードでは、在留期間や許可の種類など一部の情報が券面に記載されておらず、ICチップに記録されています。

必要に応じて、出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」でICチップを読み取り、登録情報やカードの有効性を確認しましょう。

あわせて、収入、雇用・就学状況、入居予定期間、保証会社の審査結果などを総合的に判断します。

書類名日本語名重要度備考
Passportパスポート必須身分証明書として
Residence Card在留カード必須合法的滞在の証明
Certificate of Employment在職証明書必須勤務先からの発行
Income Certificate収入証明書必須給与明細3ヶ月分等、または源泉徴収票
Bank Account銀行口座必須家賃引き落とし用口座情報

※日本ですでに就職(就労)している外国人の場合

在留資格が「技術・人文知識・国際業務」「技能実習」「特定技能」「留学」などの場合、それぞれ在留期間や就労条件が異なります。

多言語対応の契約書と重要事項説明の準備

外国人入居者との契約では、契約書と重要事項説明書の内容を入居者が理解できる形で提供する必要があります。

日本語の契約書に加え、必要に応じて外国語の参考訳やチェックシート、通訳を活用し、契約内容を理解できているか確認します。日本語版と翻訳版の位置づけも明確にしておきましょう。

国土交通省は外国語対応の賃貸借契約書のひな形を公開しており、英語・中国語・韓国語・ベトナム語・ネパール語などに対応しています。これらを活用すれば、翻訳コストを抑えながら適切な契約手続きが可能です。

契約時には、退去時の原状回復の費用負担ルールを丁寧に説明することが特に大切です。日本特有の敷金・礼金の仕組みや、退去時に発生する費用の目安を具体的に伝えると、退去時のトラブルを減らせます。

入居後のサポート体制を整えてトラブルを未然に防ぐ

入居後に発生するトラブルの多くは、初期の段階で適切な対応をすれば深刻化を防げます。入居者が困ったときに相談できる窓口を設け、できれば多言語で対応できる体制を整えておくことが望ましいです。

設備の不具合や近隣住民との行き違いなど、日常的に発生しうる問題に対して、連絡先と対応手順を入居時に書面で渡しておくと、入居者側も安心して生活できます。

自社で多言語対応が難しい場合は、外国人入居者向けのサポートサービスを活用する方法があります。

24時間窓口を備えたサービスもありますが、対応言語、受付内容、現地対応の有無などは事業者によって異なります。

オーナーの手間を増やさずに外国人入居者を受け入れる方法

外国人入居者の受け入れに踏み切れない理由の一つに「手間が増える」ことが挙げられます。しかし、専門サービスを活用すれば、オーナーの業務負担を抑えながら受け入れ体制を構築できます。

保証・多言語対応・トラブル対応を一括で委託する仕組み

外国人入居者を受け入れる際に必要となる業務は、大きく分けて「審査・保証」「多言語での契約対応」「入居後のトラブル対応」の3つです。

これらを個別に手配すると手間とコストがかかりますが、一括で対応できるサービスを利用すれば負担を減らせます。

例えば、家賃保証、多言語での連絡支援、生活ルールの案内などを組み合わせて提供するサービスもありますが、対応範囲や追加料金は事業者によって異なるため、契約前の確認が必要です。

オーナーが直接外国語で対応する必要はなく、従来の日本人入居者と同じ管理フローで運用できるのが、こうした一括サービスの利点です。

まとめ|入居者募集の幅を広げて空室リスクを下げる

入居者募集を続けても空室が埋まらない場合は、募集条件や掲載媒体を見直すだけでなく、募集対象そのものを広げることも重要です。近年は在留外国人の増加に伴い、外国人向け賃貸の需要も拡大しています。

そのため、これまで日本人に限定していた募集条件を見直し、外国人入居者の受け入れを検討することは、空室対策の選択肢のひとつといえるでしょう。

  • 外国人入居者のなかには、長期入居につながるケースがある
  • トラブルの多くは、事前説明で防げる可能性がある
  • 専門サービスを活用すれば、管理負担を抑えながら受け入れやすくなる
     

外国人入居のリスクを適切に管理する方法については、専門サービスの内容を確認しておくと、受け入れの判断材料になります。まずはサポート体制や保証内容を把握することから始めましょう。

関連記事

おすすめ記事