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家賃収入の手取りはどれくらい?経費・税金・空室を踏まえた考え方を解説

家賃収入が毎月入っていても、その全額が手元に残るわけではありません。賃貸経営では、管理費や修繕費、固定資産税などの支出が発生するため、実際に得られる収益は家賃収入よりも少なくなります。

また、空室が続けば収入そのものが減少し、家賃滞納などのトラブルが発生する可能性もあります。安定した賃貸経営を続けるためには、「いくら家賃が入るか」だけでなく、「いくら手元に残るのか」を把握することが大切です。

この記事では、家賃収入の手取り額の計算方法や差し引かれる主な費用、収益を圧迫するリスクへの対策についてわかりやすく解説します。

家賃収入の仕組みと手取り額の関係

家賃収入から差し引かれる経費と税金の内訳

家賃収入の手取り額を考える際は、まず「不動産所得」を理解することが大切です。

不動産所得とは、家賃や礼金、更新料などの収入から、固定資産税や管理委託費、修繕費などの必要経費を差し引いた金額を指します。所得税や住民税は、この不動産所得をもとに計算されます。

つまり、家賃収入がそのまま手元に残るわけではなく、経費や税金を差し引いた後の金額が実際の収益となります。

主な必要経費は以下の通りです。

経費項目内容目安
固定資産税・都市計画税毎年課される不動産保有税固定資産税評価額に基づいて課税
(固定資産税1.4%、都市計画税は最大0.3%)
減価償却費建物部分の取得費を耐用年数に応じて経費計上構造により異なる
管理委託費管理会社への業務委託料家賃収入の3~5%程度
修繕費設備の修理・交換費用物件の築年数や設備状況によって異なる
ローン金利借入金の利息部分借入残高により変動
火災保険・地震保険建物にかける保険料物件規模や補償内容によって異なる
広告費入居者募集にかかる費用入居募集条件や地域によって異なる
(家賃の0.5~2か月分程度が目安)

※上記は一般的な目安であり、実際の経費は物件の所在地や築年数、建物構造、管理方式、借入状況などによって異なります。

※修繕費や広告費は発生しない年もあれば、一時的に大きな支出となる場合もあります。

※火災保険料や地震保険料は物件規模や補償内容によって大きく変動します。

※減価償却費は現金支出を伴わない経費であり、建物部分の取得費や法定耐用年数によって計上額が異なります。

※具体的な税額は個別事情により異なるため、税理士または税務署にご確認ください。

これらの経費を差し引いた不動産所得に対して、所得税と住民税が課されます。所得税は5%から45%までの累進課税方式で、住民税は原則として一律10%です。

年間収支シミュレーション(満室想定)

実際の年間収支は、物件タイプや立地、築年数、管理方法などによって大きく異なります。以下は、満室経営を前提とした年間収支の目安です。

物件タイプ年間家賃収入想定経費率想定年間収益(税引前)
区分マンション(1室)約96万円(月8万円)約30%約67万円
一棟アパート(6室)約360万円(月5万円×6)約35%約234万円
一棟マンション(10室)約960万円(月8万円×10)約40%約576万円

※上記は一般的な条件をもとにした概算です。実際の収支は物件の所在地や築年数、管理状況、家賃水準などによって異なります。

※想定年間収益(税引前)は、年間家賃収入から想定経費を差し引いて算出しています。所得税や住民税などの税金は考慮していません。

不動産投資の手取り額は、家賃収入から管理費や修繕費、固定資産税などの経費を差し引いたうえで、さらに空室損失やローン返済額、税金の影響を受けます。

そのため、同じ家賃収入でも物件条件によって手取り額は大きく異なります。上記は満室経営を前提とした目安であり、実際の投資判断では手元に残る収益をシミュレーションすることが大切です。

家賃収入にかかる税金の種類と確定申告の実務

家賃収入に関わる税金は複数あります。正しく申告し、必要経費を適切に計上することで、実際に手元に残る収益を把握しやすくなります。

所得税・住民税・事業税の計算方法

家賃収入にかかる主な税金は、所得税、住民税、個人事業税の3種類です。

所得税は不動産所得を含む総所得金額に対して課されます。給与所得がある場合は合算されるため、税率が上がる可能性があります。

課税所得金額税率控除額
195万円未満5%0円
195万円〜330万円未満10%97,500円
330万円〜695万円未満20%427,500円
695万円〜900万円未満23%636,000円
900万円〜1,800万円未満33%1,536,000円
1,800万円〜4,000万円未満40%2,796,000円
4,000万円以上45%4,796,000円

出典:国税庁「所得税の税率」

住民税は所得金額に対して原則一律10%が課されます。

個人事業税は、不動産貸付業として事業的規模(目安は5棟10室以上)に該当する場合に、不動産所得から事業主控除(290万円)を差し引いた金額の5%が課されます

必要経費として認められる項目と節税のポイント

手取り額を増やすうえで、必要経費の正確な計上は欠かせません。見落としやすい経費項目として、物件視察の交通費、不動産関連書籍の購入費、税理士への報酬などがあります。

節税の実務ポイントは以下の3点です。

1点目は、青色申告の活用です。青色申告特別控除は、一定の要件を満たす場合に最大65万円の控除を受けられます。

一般的には事業的規模での賃貸経営に加え、複式簿記による記帳やe-Tax申告などの要件を満たす必要があります。事業的規模に該当しない場合でも、条件に応じて10万円の控除を受けられます。

2点目は、減価償却費の適切な計上です。建物の取得費を法定耐用年数に応じて毎年経費化でき、実際の支出を伴わない経費として手取り額の改善に貢献します。

3点目は、損益通算の活用です。不動産所得が赤字になった場合、給与所得など他の所得と相殺することで所得税を軽減できます。ただし、土地取得に係るローン金利は損益通算の対象外です。

家賃収入を減らす主なリスクとその対策

安定した家賃収入を維持するうえで、オーナーが対処すべきリスクは大きく3つに分類されます。それぞれのリスクの実態と、具体的な対策を整理します。

空室リスクへの具体的な対応策

空室はオーナーの収益を直接圧迫します。家賃8万円の物件で1か月の空室が発生すると、年間収入96万円に対して8万円の損失です。2か月以上続くと、物件によっては収支に大きな影響を与える可能性があります。

空室対策として効果が高い施策は以下の通りです。

まず、募集条件の見直しです。敷金・礼金の引き下げ、フリーレントの導入など、初期費用の負担を軽減することで入居希望者の母数を増やせます。

次に、入居者ターゲットの拡大です。日本人に限定した募集では、人口減少と高齢化の影響で年々入居者の確保が難しくなっています。外国人入居者の受け入れは、入居者の母数を大幅に広げる有効な手段です。

さらに、設備のアップデートも検討すべきポイントです。インターネット無料、宅配ボックスの設置、モニター付きインターホンなど、費用対効果の高い設備投資は入居率の改善につながります。

家賃滞納リスクと保証会社の活用方法

日本賃貸住宅管理協会の調査によると、全国の1か月滞納率は1%前後で推移しています。

近年では保証会社の加入を入居条件とするケースが一般的になっており、滞納が発生した場合でも代位弁済によりオーナーへの家賃支払いが保証されます。

保証会社を選ぶ際は、代位弁済のスピード、対応できる入居者属性(外国人対応の有無)、保証範囲(原状回復費用を含むか)などを比較検討することが望ましいです。

出典:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会 日管協総合研究所「賃貸住宅市場景況感調査」2024年11月

家賃下落を防ぐ物件価値の維持戦略

築年数の経過に伴い、家賃は下落する傾向があります。ただし、下落幅は立地や周辺環境、物件の管理状態などによって大きく異なります。

家賃水準を維持するためには、計画的な修繕や設備更新が重要です。特にキッチンや浴室、トイレなどの水回り設備は入居者満足度に影響しやすいため、状況に応じてリニューアルを検討するとよいでしょう。

また、外国人入居者の中には築年数だけでなく、立地や利便性、居住スペースの広さを重視する人もいます。築古物件であっても、ターゲットに合わせた募集戦略によって入居需要を確保できる可能性があります。

入居者層の拡大で空室率を下げるには

日本の賃貸市場では人口減少が進む一方、在留外国人数は増加を続けています。入居者層を拡大することが、空室率を下げて家賃収入を安定させる現実的な選択肢になっています。

外国人入居者の受け入れが空室対策につながる理由

外国人入居者の受け入れには、空室対策として複数のメリットがあります。

第一に、入居希望者の母数が拡大します。在留外国人は年々増加しており、特に都市部では住居の需要が供給を上回る傾向にあります。日本人のみを対象にした募集では反応がなかった物件でも、外国人向けに募集を広げることで早期に成約するケースが報告されています。

第二に、空室期間の短縮につながる可能性があります。外国人コミュニティ内で物件情報が共有されるケースもあり、結果として入居者募集の効率化や広告費の抑制につながる場合があります。

第三に、家賃水準を保ちながら満室経営を目指せる可能性が高まります。外国人入居者の中には、築年数よりも家賃の手ごろさや立地条件を優先するケースもあるため、築古物件のオーナーにとっては家賃水準を保ちながら満室経営を目指せる可能性が高まります。

受け入れ時のトラブルリスクと仕組みで解決する方法

外国人入居者の受け入れで懸念されるのが、文化や習慣の違いから生じるトラブルです。ゴミ出しルールの不理解、騒音問題、退去時の原状回復に関するトラブルなどが代表例として挙げられます。

しかし、これらのトラブルの多くは「事前の情報共有不足」が原因です。入居時に生活ルールを母国語で説明する仕組みを整えることで、発生率を大幅に抑えることが可能です。

家賃滞納については保証会社を活用することで、国籍を問わず家賃滞納リスクの低減が期待できます。

トラブル対応を仕組み化するには、多言語対応が可能な管理体制の構築がカギとなります。自社で対応が難しい場合は、外国人入居者の支援を専門とするサービスの活用が選択肢に入ります。

家賃収入を安定させる賃貸経営の運用体制

家賃収入を長期的に安定させるには、物件管理の体制を整え、オーナー自身の管理負担を適切に抑えることが大切です。

管理会社の選び方と委託範囲の決め方

管理会社の選定は、家賃収入の安定性を左右する重要な判断です。管理委託費は家賃の5%前後が相場ですが、委託範囲によって費用は変動します。

管理会社に委託できる業務は、入居者募集、契約手続き、家賃集金、クレーム対応、退去立ち会い、修繕手配など多岐にわたります。すべてを委託する「全部委託」と、一部のみ委託する「部分委託」があり、物件数やオーナーの時間的余裕に応じて選択します。

管理会社を選ぶ際のチェックポイントは、入居率の実績、対応のスピード、外国人入居者への対応体制、報告頻度の4点です。特に外国人入居者を受け入れる場合は、多言語対応の可否や外国人入居者への対応実績を確認しておくと安心です。

入居者対応の手間を減らすサポート体制

賃貸経営でオーナーの負担が大きくなるのは、入居者からの問い合わせやトラブル対応です。特に外国人入居者を受け入れる場合、言語の壁が対応のハードルを上げる要因になります。

この課題を解決するのが、入居者サポートの外部委託です。外国人の生活支援に特化したサービスでは、多言語での問い合わせ対応、生活ルールの説明、緊急時の通訳サポートなどを提供しています。

外国人入居者の受け入れを検討するオーナーにとって、こうした専門サービスを活用することで、自社の管理負担を増やすことなく入居者層を拡大できます。言語対応や生活ルールの説明などをサービス側が代行するため、オーナー自身が対応する業務を大幅に減らせる可能性があります。

まとめ|家賃収入を守るために今すぐ見直すべき3つのポイント

家賃収入を安定させるためにオーナーが取り組むべきポイントを整理します。

1つ目は、手取り額の正確な把握です。必要経費を適切に計上し、青色申告や減価償却を活用することで、手元に残る収益を把握しやすくなります。

2つ目は、空室リスクへの先手対応です。人口減少が進む中、入居者ターゲットの拡大は避けて通れません。外国人入居者の受け入れは、入居者層を広げる有効な選択肢の一つです。

3つ目は、管理体制の最適化です。保証会社の活用で滞納リスクを管理し、多言語対応が可能なサポート体制を整えることで、手間を増やさずに入居者層を広げることが可能になります。

外国人入居のリスクを抑えた運用方法は、専門サービスで確認できます。まずはサポート内容を把握しておくと、空室対策の判断がしやすくなります。

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