外国人従業員の住民税はどう対応する?企業が押さえるべき仕組み・免除・帰国時の注意点 - GTN MAGAZINE
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外国人従業員の住民税はどう対応する?企業が押さえるべき仕組み・免除・帰国時の注意点

外国人材を雇用する企業にとって、住民税は「所得税より1年遅れてやってくる」ため、トラブルが起きやすい税金です。

来日1年目は天引きがゼロだったのに、2年目の6月から突然手取りが減る。帰国直前になって未納が判明する。在留期間の更新時に、納税証明書が用意できない。こうした相談は毎年のように繰り返されています。

しかも2026年に入ってからは、特定技能の運用要領と永住許可のガイドラインが相次いで改訂され、納税状況の確認が一段と厳しくなりました。住民税の管理は、もはや経理部門だけの話ではありません。

この記事では、課税される条件から計算方法、優遇制度、企業の徴収義務と罰則、帰国時の納税管理人まで、官公庁の一次情報に基づいて整理します。

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外国人にも住民税はかかる?判定基準は「1月1日時点の住所」

住民税(個人住民税)は、国籍を問わず、その年の1月1日時点で日本国内に住所がある人に課税されます。外国人だから対象外、という区分は制度上まったく存在しません。

ここで最も重要なのが、「1月1日」という賦課期日(ふかきじつ)の考え方です。住民税は前年1月から12月までの所得に対して課税され、納税義務者を1月1日時点の住所地で確定させます。

つまり、1月2日以降に転居しても出国しても、その年の住民税は「1月1日に住んでいた市区町村」に納めます。転出先の自治体に納税義務が移るわけではありません。

判定項目

住民税の考え方

課税の基準日その年の1月1日(賦課期日)
納税先1月1日時点で住民票がある市区町村
課税対象の所得前年1月1日から12月31日までの所得
国籍による区別なし
年の途中で転出・出国した場合納税義務は消えない

出典:総務省|外国人の方の個人住民税について千代田区|外国人の方の個人住民税(外国人従業員・雇用事業者向け情報)

住民税の納税義務者になる条件

納税義務者は大きく3つに分かれます。

1つ目が「均等割と所得割の両方が課される人」。1月1日時点で住所があり、前年に一定以上の所得があった人です。就労系の在留資格でフルタイム勤務している従業員は、ほぼここに入ります。

2つ目が「均等割のみが課される人」。住所はあるものの、前年の所得が所得割の非課税限度額以下だった場合です。年の途中で来日した従業員が該当しやすいパターンです。

3つ目が「家屋敷課税・事業所課税の対象者」。その市区町村に住所はないが事務所・事業所・家屋敷を持つ場合、均等割のみが課税されます。日本を出国した後も国内に住宅を残している元従業員が対象になり得ます。

出典:神戸市|事務所・事業所・家屋敷課税

在留資格の種類そのものは、課税判定に直接影響しません。あくまで「住所の有無」と「前年の所得」で決まります。ただし在留資格によって企業に求められる対応の重さは変わる点は、記事後半で扱います。

所得税の「居住者判定」と混同しないための整理

実務で最も誤解が多いのが、所得税の居住者・非居住者判定との混同です。

所得税では「住所があるか、引き続き1年以上の居所があるか」で判定し、非居住者には原則20.42パーセントの源泉徴収を行います。この「1年以上」が有名なため、住民税にも同じ基準が働くと思い込む担当者が少なくありません。

しかし住民税の判定基準は「1月1日時点の住所」であり、滞在見込み期間が基準になるわけではありません。2025年11月に来日して住民登録を済ませた従業員は、滞在実績が2か月でも納税義務者になります。「短期滞在だから関係ない」という判断は誤りです。

項目

所得税

住民税

判定基準住所または1年以上の居所1月1日時点の住所の有無
課税のタイミングその年の所得にその年に課税前年の所得に翌年度に課税
徴収の開始給与支払時から即日翌年6から
非居住者への課税国内源泉所得に20.42パーセント原則なし(家屋敷課税を除く)

来日1年目は非課税、2年目から課税される「時間差」

外国人従業員から最も多く寄せられる不満が、「2年目の6月から急に手取りが減った」という声です。

住民税は前年の所得をもとに計算され、翌年6月から翌々年5月までの12回に分けて徴収されます。そのため1年目は天引きがなく、2年目の6月給与から突然、月数千円から2万円前後の天引きが始まります

説明が不十分なまま手取りが減ると「給料を勝手に減らされた」という不信感につながり、離職の引き金にもなります。採用時と1年目の年末ごろの2回に分けて、翌年6月から天引きが始まることと金額の目安を伝えておくのが、最も費用対効果の高い予防策です。

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外国人の住民税はいくら?計算の仕組みと2026年度の最新ルール

住民税は、所得に応じて変わる「所得割」と、所得にかかわらず定額の「均等割」で構成されます。ここに2024年度から国税の「森林環境税」が加わりました。

所得割・均等割・森林環境税の内訳

出典:総務省|森林環境税及び森林環境譲与税

所得割の標準税率は合計10パーセント(市区町村民税6パーセント、道府県民税4パーセント)。政令指定都市では配分が異なりますが、合計は同じです。計算式は「(前年の総所得金額 − 所得控除)× 10パーセント − 税額控除」で、社会保険料控除や扶養控除が差し引かれます。

2024年度以降の個人住民税均等割は、標準税率で市区町村民税3,000円、道府県民税1,000円の合計4,000円です。これに国税である森林環境税1,000円が加わり、標準的な年間負担額は合計5,000円となります

区分

2023年度まで

2024年度以降

市区町村民税 均等割3,500円3,000円
道府県民税 均等割1,500円1,000円
森林環境税(国税)なし1,000円
合計5,000円5,000円

 

2023年度まで実施されていた市区町村民税・道府県民税各500円の加算は、東日本大震災を踏まえた防災施策の財源確保を目的とする臨時措置で、2023年度に終了しました。

なお独自の超過課税を行う自治体では均等割が上乗せされ、全国一律ではありません。住民税は勤務地ではなく住民票のある場所、つまり社宅や寮の所在地で課税されるため、寮を移すと納税先の自治体も変わります。

【2026年度改正】非課税ラインが給与収入110万円に

2026年6月から徴収が始まっている2026年度(令和8年度)の住民税では、「年収の壁」に関する改正が適用されています。給与水準が比較的低い人材を受け入れる企業には直接影響します。

改正項目

改正前

2026年度から

給与所得控除の最低保障額55万円65万円
非課税となる給与収入(単身)100万円以下110万円以下
扶養親族の所得要件合計所得48万円以下合計所得58万円以下
勤労学生控除の所得要件合計所得75万円以下合計所得85万円以下
特定親族特別控除なし新設(最大45万円)

 

住民税の基礎控除は43万円のまま据え置きで、所得税(58万円に引き上げ)とは異なります。所得税は非課税でも住民税は課税される「二重の壁」が生じる点は、本人への説明時に混乱しやすいところです。非課税ラインは自治体の級地区分により103万円から110万円の幅があります。

参考までに、単身・扶養なしで社会保険料を給与収入の15パーセントと仮定した年税額の目安は次のとおりです。

前年の給与収入

住民税の年額(目安)

月あたり(目安)

110万円以下0円(非課税)0円
200万円約6万2,000円約5,100円
300万円約11万7,000円約9,700円
400万円約17万6,000円約1万4,600円

さらに令和8年度税制改正により、令和8年中の所得を基礎とする令和9年度の個人住民税では、給与収入190万円以下の場合の給与所得控除額が65万円から74万円へ引き上げられます。給与収入190万円超220万円以下についても控除額が段階的に引き上げられます。

これにより、給与収入のみ・扶養親族なしの場合、横浜市では令和9年度の住民税非課税ラインが119万円となります。ただし、非課税限度額は自治体や本人の状況によって異なります。非課税ラインは今後も動く前提で運用してください。

出典:財務省|令和8年度税制改正の大綱の概要(令和7年12月26日閣議決定)/令和8年度税制改正(さらなる年収の壁への対応)の概要 横浜市令和8年度税制改正(さらなる年収の壁への対応)のよくある質問 横浜市 

外国人にも適用される非課税制度と租税条約とは?

外国人であることや、留学生・技能実習生といった在留資格だけを理由に、住民税が一律に優遇・免除される制度はありません。所得が一定額以下の場合の非課税制度は、国籍を問わず適用されます。

このほか、留学生、事業修習者、教授等については、出身国との租税条約の要件を満たす場合に、一定の所得が免除されることがあります。ただし、対象者、所得の範囲、免除条件は条約ごとに異なるため、在留資格だけで判断することはできません。

出典:大阪市:市民税・府民税における租税条約の適用について (…>市税について>個人市民税) 

 

租税条約による免除は「税務署への届出」だけでは通らない

日本は多くの国・地域と租税条約を結んでおり、教授、留学生、事業修習者などについて一定の条件で課税が免除されます。

ここで極めて重要なのが、所得税の免除届出を税務署に出しただけでは、住民税は免除されないという点です。大阪市は「所得税の免除届出だけでは、市民税・府民税の課税免除の適用は受けられません」と明記しています。

住民税の免除には、市区町村へ「租税条約の規定による住民税の免除に関する届出書」を別途提出する必要があります(大阪市は毎年3月15日が期限。期限や様式は自治体により異なります)。この手続きを失念し、本来免除だった従業員に課税されてしまう事例は少なくありません。

もう一点、森林環境税(年額1,000円)は国税のため、租税条約による免除の対象外です。条約が適用されても1,000円は残ります。

条約の内容は締約国ごとに異なります。中国との条約では留学生が生計・教育のために受け取る所得が免除される一方、ベトナムとの条約では免除が「日本国外から支払われるもの」に限られ、日本でのアルバイト収入は課税対象です。「租税条約があるから一律に免除」という理解は誤りといえます。

出典:財務省|我が国の租税条約等の一覧

減免・徴収猶予制度

災害、失業、病気などで収入が著しく減った場合には、市区町村への申請で住民税の減免や徴収猶予が認められることがあります。要件や減免率は自治体の条例で定められ、全国一律ではありません。

申請の主体はいずれも本人ですが、制度を知らなければ申請そのものができません。「知らせておく」こと自体が、企業にできる実質的な支援になります。

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企業は「特別徴収義務者」|実務フローと怠った場合の罰則

 

外国人従業員についても、企業が給与から天引きして自治体に納付する特別徴収が原則です。日本人従業員と同じ扱いですが、在留資格の更新や帰国の可能性がある分、確認項目は増えます。

特別徴収は法律上の義務。納入を怠れば延滞金と罰則

広島県|個人住民税は原則すべて特別徴収(給与天引き)

特別徴収は企業が選べる制度ではありません。地方税法第321条の4および各市区町村の条例により、所得税の源泉徴収義務がある事業主は「特別徴収義務者」として、毎月の給与から住民税を天引きし、市区町村へ納入する義務を負います

パート・アルバイト・技能実習生も対象です。普通徴収が認められるのは、退職者や5月31日までの退職予定者、給与が少なく天引きできない人、給与が毎月ではない人、他社ですでに天引きされている人などに限られます。「外国人だから」「短期雇用だから」は理由になりません

問題は、天引きした住民税を納入しなかった場合です。地方税である住民税では、国税の延滞税にあたる延滞金が加算され、督促状の発送から10日を経過すると差押えなどの滞納処分の対象になります。従業員本人の完納証明書が発行できず、還付手続きも受けられなくなるという二次被害も生じます。

さらに悪質な場合は刑事罰の対象で、地方税法は10年以下の拘禁刑または200万円以下の罰金、あるいはその併科を定めています。金銭的な負担にとどまらず、納税を適切に行わない企業として社会的な信用を失うリスクもあるため、外国人従業員の税金未払いには慎重な管理が求められます。

住民税の年間スケジュール

住民税の実務は決まったサイクルで動きます。外国人従業員が多い企業ほど、このカレンダーを共有しておくと対応漏れが減ります。

時期

企業が行うこと

1月31日まで給与支払報告書を、従業員の1月1日時点の住所地の市区町村へ提出
3月15日ごろまで租税条約の免除該当者は市区町村へ届出(期限は自治体により異なる)
5月中旬自治体から特別徴収税額の決定通知書が届く。納税義務者用は本人へ交付
6月給与から新年度の天引きを開始。金額が変わるため本人への周知が必要
毎月10日まで前月分の住民税を各自治体へ納入
異動の翌月10日まで給与所得者異動届出書を提出(退職・転勤・出国時)

出典:広島県|個人住民税は原則すべて特別徴収(給与天引き)です大阪市|退職・転勤などがあった場合(給与所得者異動届出書の提出)

特に5月に届く納税義務者用の通知書は、本人に必ず渡してください。日本語のみの様式が多いため、金額と趣旨を口頭で補足すると親切です。

中途入社・転籍時の切替手続き

外国人材は転職の機会も多く、中途入社時の引き継ぎが実務上のポイントになります。前職から「給与所得者異動届出書」を受け取り、自社の情報を記入して市区町村に提出すれば、特別徴収を継続できます。手続き漏れは、住民税未納が発生する典型的な原因です。

入社時のヒアリングに「前職での住民税の徴収方法」「手元に納付書があるか」を加えておくと、リスクを大きく減らせます。

なお、技能実習に代わる育成就労制度が2027年(令和9年)4月1日から運用開始となり、本人の意向による転籍が一定要件のもとで認められます。年度途中の異動届のやりとりは今後さらに増える見込みです。特定技能や育成就労を含む受け入れ実務については、GTNの外国人採用・受け入れ支援サービスのような専門事業者の併用も選択肢になります。

出典:出入国在留管理庁|育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)

退職・帰国時の対応|一括徴収と納税管理人

外国人雇用の住民税で企業が最も注意すべき場面が退職時と帰国時です。ここでの対応を誤ると、本人が未納のまま出国し、企業に自治体からの問い合わせが届きます。

退職日によって変わる一括徴収のルール

住民税は前年の所得に対して課税されるため、年の途中で退職しても納税義務は残ります。残額は最後の給与支給時に一括徴収するのが原則ですが、退職日によって扱いが変わります。

退職・異動の時期

一括徴収の扱い

1月1日から4月30日本人の申出にかかわらず一括徴収(最終給与・退職手当から徴収)
5月1日から5月31日5月分を通常どおり徴収して終了
6月1日から12月31日本人の申出があれば一括徴収。申出がなければ、年4回の納期で納める普通徴収に切替

ただし、6月から12月の退職でも、帰国が予定されている従業員には企業から一括徴収を提案すべきです。出国後に納付書が届いても本人は対応できません。いずれの場合も、異動届出書は異動月の翌月10日までに提出します。

納税管理人の選任と、脱退一時金・所得税還付の手続き

帰国までに納税できない場合は、納税管理人を選定する必要があります。納税管理人とは、本人に代わって納税通知書の受け取りや納付といった納税事務を代行する人のことです。地方税法第300条に基づき、市区町村へ納税管理人の設定に関する申告書を提出して指定します。

  • 日本国内に住所または居所があれば、親族である必要はなく、友人や法人でも指定可能
  • 手続きは本人が居住する市区町村に対して行う
  • 提出期限を定める自治体があり、市によっては国外へ転出する日の10日前まで
  • 届出をしないまま離日すると通知書が届かず、そのまま未納・延滞となる

帰国時に必要な手続きは、住民税だけではありません。年金の脱退一時金や所得税の還付といった、外国人労働者特有の手続きも同時に発生します。

脱退一時金は非居住者への支給時に20.42パーセントが源泉徴収されますが、「退職所得の選択課税による還付のための申告書」を提出すれば還付を受けられる場合があります。その前提として、帰国前に最終の住所地を管轄する税務署へ「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を提出しておく必要があります。

出典:日本年金機構|日本から出国される外国人のみなさまへ(脱退一時金)

つまり税務署への納税管理人と、市区町村への納税管理人は別々の手続きです。退職面談の時点で両方を案内できるかどうかが、本人の手取りにも直結します。

外国人労働者が税金でつまずく理由と、企業ができるサポート

多くの国では税金を個人で納めるのが一般的なため、給与からの天引きシステムそのものに戸惑う外国人労働者は少なくありません。年末調整や確定申告の必要性を理解していないケースも見られます。

天引き・年末調整・確定申告への戸惑い

住民税に関しては、前年の収入にもとづいて金額が決まる仕組みや、給与額が変わっても天引き額が同額であることに疑問を抱く人がいます。「今月は残業が少なかったのに、なぜ引かれる額が同じなのか」という質問は、現場で頻繁に出るものです。

ここに、帰国時の脱退一時金や所得税の還付といった手続きが重なります。いずれも制度が複雑なうえ、書類作成や窓口対応は日本語で行う必要があるため、サポートが欠かせません。言葉の壁や文化の違いから、税務署や市区町村とのやりとりがスムーズに進まないことも珍しくないでしょう。

なお1号特定技能外国人については、支援計画の義務的支援10項目のうち「公的手続等への同行」に「必要に応じ住居地・社会保障・税などの手続の同行、書類作成の補助」が含まれます。特定技能では、税の手続支援は親切心ではなく制度上の要求事項です。

出典:出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について

多言語対応と相談窓口の整備

企業が税金に関する各種手続きを丁寧に説明しサポートすれば、未払いの多くは防げます。有効なのは、多言語での情報提供と、専門家による相談窓口の設置です。母国語または「やさしい日本語」で、住民税の仕組みと帰国前に必要な手続きをまとめた資料を用意しておくと、理解度が大きく変わります。

社内だけで抱えきれない場合は、外部の仕組みも活用できます。厚生労働省は各都道府県労働局に外国人雇用管理アドバイザーを配置しており、適切な雇用管理や労働条件の確保について無料で相談できます。申し込みは最寄りのハローワークです。税務そのものは税理士、労務は社会保険労務士と、相談ルートを事前に確保しておくと判断に迷う場面での対応が早くなります。

出典:厚生労働省|外国人雇用管理アドバイザー

税金の未納は在留資格に響く|更新・永住申請への影響

税金を支払わないことは、本人にとっても大きなデメリットになります。在留資格の申請が通りにくくなるためです。2026年に入って審査基準が相次いで改訂されており、企業として把握しておくべき領域です。

直近2年度分の納税証明書が必須に

2026年3月24日の運用要領改正により、特定技能所属機関が提出する地方税の納税証明書は、初めて特定技能外国人を受け入れる場合を含め、直近2年度分に統一されました。法人の場合は法人住民税、個人事業主の場合は事業主本人の個人住民税が対象です。

項目

改正前

改正後

個人住民税の納税証明書初回受入れは直近1年分、継続は直近2年分直近2年度分に統一
納税緩和措置に係る通知書通知書の写し通知書の写し(猶予期間内のものに限る

出典:出入国在留管理庁|「特定技能外国人受入れに関する運用要領」の一部改正について(令和8年3月24日)

一方、特定技能外国人本人については、原則として直近1年分の個人住民税の課税証明書と、すべての納期が経過した直近1年度の納税証明書を提出します。

所属機関側と外国人本人側では、提出する証明書の対象と期間が異なるため注意してください。

永住許可は納税状況が厳しく審査される

在留期間の更新でも、出入国在留管理庁のガイドラインは「納税義務等を履行していること」を考慮要素とし、履行していない場合は消極的な要素として評価すると明記しています。未納があると在留期間が短縮される、追加資料を求められる、最悪の場合は更新が認められず帰国せざるを得ないといった事態もあり得ます。

出典:出入国在留管理庁|在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン

とりわけ厳しいのが永住申請です。令和8年2月24日に改訂された永住許可のガイドラインは、「納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付並びに出入国管理及び難民認定法に定める届出等の義務」を適正に履行していることを求めています。

見落とせないのが次の一文です。「申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます」。つまり後から払えば挽回できるわけではなく、納期限内に納めていたかどうかが問われます

出典:出入国在留管理庁|永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)

この基準を踏まえると、特別徴収の徹底こそが最も確実なリスク対策だとわかります。毎月の給与から天引きして企業が納入していれば、納期限を過ぎる余地がそもそも生まれないからです。

まとめ

外国人従業員の住民税は、「1月1日時点の住所で課税され、前年の所得に対して翌年6月から徴収される」という後払いの構造を理解することが出発点です。

企業として押さえるべき要点は4つあります。

特別徴収は法律上の義務であり、外国人だからという理由で普通徴収にはできません。納入を怠れば延滞金や滞納処分、悪質なら刑事罰の対象にもなります。

2026年度の改正で非課税ラインが給与収入110万円に引き上げられた点は、給与計算と本人説明の両面に反映が必要です。

退職日による一括徴収ルールと納税管理人を運用に組み込み、帰国前に精算する体制を作ること。税務署と市区町村で手続きが別である点も忘れずに案内しましょう。

そして、納税状況は在留資格の審査に直結します。永住許可では「納期限内に納めていたか」まで見られる以上、特別徴収の徹底が最も確実な備えになります。

制度を正しく理解し、本人にわかりやすく伝える。この積み重ねが、外国人材との信頼関係を育て、長く働き続けてもらえる職場づくりの土台になります。

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