ミャンマー人の雇用|特徴・仕事観・求人募集のフローと雇用メリットを最新データで解説 - GTN MAGAZINE
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ミャンマー人の雇用|特徴・仕事観・求人募集のフローと雇用メリットを最新データで解説

人手不足が構造化するなかで、ミャンマー人の雇用は外国人採用の中心テーマになりつつあります。国籍別の伸び率は主要国でトップ、特定技能ではベトナム・インドネシアに次ぐ第3位という規模まで拡大しました。

一方で、ミャンマーは本国側の出国手続や政治情勢が他国と大きく異なります。「内定は出したのに入国が半年ずれた」「稼働開始月が読めない」といった現場トラブルは、制度の理解不足から生まれるケースがほとんどです。

この記事では、出入国在留管理庁・厚生労働省・外務省・ジェトロなどの一次情報をもとに、ミャンマー人の特徴と仕事観、雇用メリット、求人募集から配属までのフロー、コストと違反リスクまでを、社内説明にそのまま使える形で整理します。

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データで見るミャンマー人の雇用|なぜ今これほど増えているのか

ミャンマー人材の採用を検討するとき、最初に押さえたいのが「どれくらいの規模で、どの制度を使って働いているのか」という事実関係です。感覚論ではなく統計で語れると、社内稟議の通り方が変わります。

結論から言えば、ミャンマー人労働者は増加率で主要国トップ、絶対数でも十数万人規模に到達しました。そのなかでも、特定技能や技能実習など、就労を目的とする在留資格で在留する人が一定数を占めています。ここが「一時的な流行」ではなく「構造的な受け入れ拡大」と言える根拠になります。

増加率は主要国で1位、労働者数は16万人規模に

厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人、外国人を雇用する事業所数は371,215所でした。このうちミャンマー国籍の労働者は163,311人で、対前年増加率は42.5%と主要国のなかで最も高い伸びを示しています。

出典:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況【概要版】(令和7年10月末時点)

在留者ベースでも同じ傾向です。2025年末時点の在留外国人数は4,125,395人と初めて400万人を超えましたが、ミャンマーは182,567人(前年末比+47,993人)で国籍別第8位につけています。1年で約4万8,000人という増加幅は、上位国のなかでも突出したペースです。

出典:出入国在留管理庁|令和7年末現在における在留外国人数について

注目したいのは、在留者数と労働者数の差が小さい点です。就労目的での来日比率が高く、企業から見れば「働き手として計算できる母集団」が厚いことを意味します。

特定技能では第3位、技能実習でも第4位

制度別に見ると、ミャンマー人材の存在感はさらに際立ちます。2025年12月末時点の特定技能在留外国人数は390,296人。国籍別ではベトナム164,352人(42.1%)、インドネシア86,955人(22.3%)に次いで、ミャンマーが44,523人(11.4%)で第3位です。

出典:出入国在留管理庁|特定技能制度運用状況(特定技能在留外国人数の推移)

技能実習でも上位です。外国人技能実習機構の業務統計では、2024年度(令和6年度)の技能実習計画認定件数318,572件のうち、ミャンマーは29,199件(9.2%)で第4位でした。

出典:外国人技能実習機構|令和6年度外国人技能実習機構業務統計 概要

つまり、特定技能でも育成型の制度でも、ミャンマーはすでに「主要送り出し国」の一角です。介護、飲食料品製造業、外食業、建設といった人手不足分野で、ミャンマー人材を前提にした採用計画が増えているのはこのためです。

送り出し側で起きていること

急増の背景には、ミャンマー国内の厳しい雇用環境があります。ジェトロの分析レポートによれば、2021年の政変以降、外国直接投資の認可額は大幅に減少しました。経済の回復も鈍く、IMFの推計では2024年の経済成長率はマイナス1.12%でした。通貨チャットは政変前と比べて大きく下落し、電気料金の上昇や物価高も重なっています。

さらに、2024年2月10日に運用開始が発表された兵役法により、満18歳から35歳の男性、満18歳から27歳の女性が徴兵の対象とされました。若年層が国外就労を強く志向する要因になっています。

出典:ジェトロ|地域・分析レポート「外国に向かうミャンマー人若年層」(2025年5月21日 /2024年の経済成長率はマイナスに(ミャンマー) | ビジネス短信 ―ジェトロの海外ニュース - ジェトロ 

政治面では、2021年2月のクーデター後初となる総選挙が実施され、日本政府は2026年1月30日の外務大臣談話で、被拘束者の解放や当事者間の対話といった政治的進展が実現しないまま選挙に至ったことに遺憾の意を表明しています。情勢が短期間で正常化する前提を置かないのが、実務上の安全な構えです。

出典:外務省|ミャンマーにおける総選挙(外務大臣談話)

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ミャンマー人の特徴と仕事観|現場で何が起きるか

「ミャンマー人は真面目で優しい」という評価はよく聞きますが、社内説明の材料としては弱すぎます。重要なのは、その気質がどんな文化的背景から来ていて、現場のどの場面でプラスに働き、どの場面で摩擦になるのかを言語化しておくことです。

ここでは宗教・家族観・上下関係という3つの軸から仕事観を整理します。個人差は大きく、以下はあくまで傾向です。属性で人を決めつけないこと自体が、定着率を上げる最大のコツでもあります。

価値観の土台にある上座部仏教と家族観

外務省の基礎データによると、ミャンマーは仏教が90%を占め、ビルマ族が約70%、公用語はミャンマー語です(人口は2019年時点で5,114万人)。国民の多数が上座部仏教を信仰し、寄付や徳を積む行い(ダーナ)が日常に根づいています。

出典:外務省|ミャンマー連邦共和国 基礎データ

この背景は職場でも見えます。他者への気配りが自然で、困っている同僚に手を貸すことをためらわない傾向は、チーム作業や介護・サービス業と相性が良い部分です。食事のタブーはイスラム教ほど厳格ではなく、豚肉や酒を一律に禁じる戒律もないため、社員食堂や懇親会の運用で困る場面は比較的少なめです。

一方で、仏教行事や家族の事情を大切にする点は理解が必要です。4月の水かけ祭り(ティンジャン)は日本の正月に近い位置づけで、この時期に帰省希望が集中します。シフトを組む側が事前に把握していれば、「休みたがる人」ではなく「計画的に調整できる人」として扱えます。

家族への仕送りを前提に働く人も多く、収入の安定性が定着の最大要因になりやすいのも特徴です。残業や賞与の考え方は、入社前に数字で説明しておくほうがトラブルを防げます。

仕事観に見られる3つの傾向

第1に、年長者・上位者への敬意が強い傾向です。指示系統が明確な組織では立ち上がりが早く報連相も定着しやすい一方、「自分で判断して動く」ことを過度に求めると固まる場面があります。裁量の範囲を明示するのが有効です。

第2に、面子(メンツ)を重んじ、人前での叱責に極端に弱い傾向です。日本人同士では許容される強めの指導が、退職の直接原因になることがあります。指摘は個別に、事実ベースで、改善方法とセットで伝える。この原則を現場リーダーに徹底させるだけで、離職率は変わります。

第3に、否定や不都合をその場で口に出しにくい傾向があります。「分かりました」と答えていても理解していないことがあるため、復唱させる・実演させる・チェックリストで確認するという3段構えが安全です。特に安全衛生や機械操作の指示では、口頭確認だけで済ませないことが事故防止に直結します。

これらは「ミャンマー人だから」というより、日本語がまだ十分でない外国人材全般に共通する課題です。厚生労働省の令和6年外国人雇用実態調査でも、雇用にあたっての問題点として「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が43.9%と最も高く挙がっています。

出典:厚生労働省|令和6年外国人雇用実態調査の概況

日本語習得のしやすさと学習熱

ミャンマー語は日本語と同じく主語・目的語・述語の語順(SOV)をとり、助詞に近い働きをする語を使うため、文法面での学習ハードルが比較的低いと言われます。実際、日本語学習の熱量は数字にも表れています。

2025年12月の日本語能力試験(JLPT)は応募者数が1,049,597人と1回の試験として過去最多を記録し、海外の実施国・地域別では中国187,836人、韓国88,042人に次いでミャンマーが85,188人で第3位でした。人口規模を考えると、極めて高い比率です。

出典:日本語能力試験|2025年12月試験 実施概要

ただし、同じ資料でミャンマーの応募者数は前年同月比10.7%減となっています。学習需要は巨大だが、本国側の事情で受験環境が揺れているという読み方が妥当です。採用計画では「日本語人材が無尽蔵にいる」と考えず、確保したN4・N3レベルの人材をどう定着させるかに重心を置くほうが現実的です。

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ミャンマー人を雇用する5つのメリット

ミャンマー人材の採用メリットは、単に「人が採れる」ことにとどまりません。採用競合が集中しやすい国と比べ、母集団形成のしやすさと定着期待値のバランスが良いことが実務上の価値です。主なメリットは次のとおりです。

メリット

内容

現場へのインパクト

若年層が厚い若者が雇用を外国に求める傾向が根強い体力を要する工程や長期育成を前提とした配置がしやすい
日本語の伸びが期待できる語順が日本語に近く、JLPT応募者数は海外3位入社後の教育コストを抑えやすい
制度の受け皿が整備済特定技能・技能実習ともに主要送り出し国過去事例が蓄積され、社内手続を標準化しやすい
対日感情が良好日本での就労を長期的な選択肢と考える人が多い更新・移行を前提としたキャリア設計を提示しやすい
チーム適応力年長者を立て、協調を重んじる傾向既存社員との軋轢が生じにくく、多国籍化の初手に向く

なかでも実務上のインパクトが大きいのは、特定技能1号から2号への移行を見据えた長期戦略が描けることです。2号に移行できれば在留期間の更新上限がなくなり、家族帯同も可能になります。「3年で帰る人材」ではなく「10年在籍する幹部候補」として設計できるかどうかで、教育投資の判断は変わります。

また、厚生労働省の令和7年外国人雇用実態調査によると、外国人労働者を雇用する理由(複数回答・事業所割合)は「労働力不足の解消・緩和のため」が68.2%、「日本人と同等またはそれ以上の活躍を期待して」が56.2%でした。人手の補充ではなく戦力としての期待が半数を超えている点も、社内説明に使いやすいデータです。

出典:厚生労働省|令和7年外国人雇用実態調査の結果外国に向かうミャンマー人若年層 | 地域・分析レポート - 海外ビジネス情報 - ジェトロビルマ語 - 大阪大学外国語学部ビルマ語専攻日本語能力試験 2025年12月試験 実施概要 

ミャンマー特有の「緊急避難措置」を理解する

ミャンマー人採用で必ず押さえたいのが、本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置です。これは2021年2月のクーデター後に導入された運用で、ミャンマー国籍を持つ方などが情勢不安を理由に日本での在留を希望する場合、原則として「特定活動(1年・就労可)」への在留資格変更が認められるというものです。情勢が改善されていないと認められる間は、在留期間更新許可申請を経て在留を継続できます。

出典:出入国在留管理庁|本国情勢を踏まえた在留ミャンマー人への緊急避難措置

企業側の視点では、この措置は「日本国内にすでにいるミャンマー人材」の層を厚くしているという意味を持ちます。技能実習を修了した人や留学を終えた人が国内にとどまっているため、海外から呼び寄せるより短いリードタイムで採用できる可能性があります。

ただし、指定される活動内容は個別に決まります。採用前に在留カードの記載と指定書(パスポートに添付される書面)の両方を必ず確認してください。「特定活動」は資格名だけでは就労の可否が判断できず、確認を怠れば後述する不法就労助長罪のリスクに直結します。

2027年4月スタートの育成就労制度で何が変わるか

技能実習制度は育成就労制度へ切り替わります。出入国在留管理庁の資料によれば、育成就労制度は2027年(令和9年)4月1日から運用開始です。目的が「国際貢献」から「人手不足分野における人材の育成・確保」へ転換され、3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成する建て付けになります。

主な変更点は次のとおりです。就労開始時に日本語能力A1相当以上の試験合格または相当する講習の受講が求められること、本人意向による転籍が一定要件の下で認められること、監理団体に代わる監理支援機関が許可制となり基準が厳格化されること、対象が17分野に整理されることなどです。

出典:出入国在留管理庁|育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)

ミャンマー人材の採用計画に当てはめると、2026年から2027年前半は制度の端境期にあたります。技能実習で受け入れてきた企業は、監理団体が監理支援機関の許可を取得できるかを早めに確認し、転籍が認められる前提で「選ばれ続ける職場」に転換することが実務課題です。賃金だけでなく住環境や日本語学習支援の有無が比較される、と考えておくのが安全です。

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ミャンマー人の求人募集から配属までのフロー

ミャンマー人採用でもっとも事故が起きやすいのが手続きです。海外から呼び寄せる場合と日本国内在住者を採用する場合で、必要な手続きがまったく異なります。この違いを理解していないと、稼働開始時期の見積もりが数か月単位で狂います。

なお、日本とミャンマーは特定技能に関する協力覚書(MOC)を2019年3月28日に署名・交換し、2024年3月29日に2024年4月1日から5年間の継続が確認されています。ミャンマー政府認定の送出機関リストは出入国在留管理庁のサイトで公開されており、認定を無効とされた機関の一覧も併せて確認できます

出典:出入国在留管理庁|ミャンマーに関する情報(特定技能)

海外から新規に呼び寄せる場合の6ステップ

出入国在留管理庁が公開する手続の解説によると、海外から特定技能外国人としてミャンマー人を受け入れる場合の流れは次のとおりです。

  1. 求人票(デマンドレター)の許可取得:受入機関が認定送出機関を通じて、ミャンマー労働・入国管理・人口省に求人票を提出し、許可を得る
  2. 募集・面接・雇用契約の締結:認定送出機関が候補者を募集し、受入機関と採用者が雇用契約を結ぶ
  3. 在留資格認定証明書の交付申請:地方出入国在留管理官署に対して申請する
  4. OWIC(海外労働身分証明カード)の申請:ミャンマー労働・入国管理・人口省に対して行う
  5. 査証(ビザ)申請:在ミャンマー日本国大使館に在留資格認定証明書を提示して申請する
  6. 入国・上陸審査:要件を満たせば「特定技能」の在留資格が付与される

出典:出入国在留管理庁|ミャンマー 特定技能に係る手続の解説

ポイントは、日本側の在留資格認定証明書だけでは入国できないことです。ミャンマー側の求人票許可とOWIC発給という2つの関門があり、いずれも日本企業がコントロールできません。内定から入社までは最短で4か月から6か月、余裕を見て半年以上と見積もるのが実務的な感覚です。

なお、在留諸申請でミャンマー側の手続を証明する書類の提出は求められていません。裏を返せば、日本側の審査が通っていてもミャンマー側で止まっている状態が起こり得るということです。進捗は送出機関と登録支援機関に定期確認してください。

日本国内在住のミャンマー人を採用する場合の3ステップ

一方、すでに日本にいるミャンマー人を採用する場合は大幅に簡略化されます。

  1. 直接採用・雇用契約の締結:送出機関を通す必要はなく、受入機関が直接採用活動を行える
  2. パスポートの申請・更新:在日本ミャンマー大使館で手続する
  3. 在留資格変更許可申請:地方出入国在留管理官署に「特定技能」への変更を申請する

技能実習を修了した人材、留学生、緊急避難措置で在留している人材などが対象です。送出手数料が発生せず、入国待ちのリスクもないため、稼働開始時期を読みやすいのが最大の利点になります。募集チャネルは、ハローワークや人材紹介に加え、コミュニティの結びつきが強いことから知人紹介(リファラル)とSNS経由の応募が有効です。

「まず国内在住者を1人採用して受け入れ体制を作り、その実績をもとに海外からの呼び寄せへ広げる」という順序は、初めてミャンマー人を雇用する企業にとって現実的です。

2025年以降の送り出し規制とリードタイムの読み方

ミャンマー採用で最大の不確実性は、本国側の運用変更です。ジェトロによれば、2025年1月末にミャンマーの労働大臣が交代して海外就労政策の見直しが始まり、OWIC(スマートカード)の発給が一時停止されました。さらに2025年3月23日には日本向けの送り出しを制限する方針が示され、同月25日から送出機関1社あたり月15人という上限が適用されています。加えて2025年3月28日の地震で労働省庁舎を含む政府施設が被災し、行政手続の遅延が重なりました。

出典:ジェトロ|ミャンマー人の高度人材の送り出しを制限(2025年4月28日)

これらの措置は運用ベースで変動するため、採用計画を立てる時点で必ず最新状況を送出機関・登録支援機関に確認してください。実務上の備えとしては、次の3点が効果的です。

  • 入社月を1か月単位で固定せず、四半期単位のレンジで社内合意を取る
  • 海外からの呼び寄せと国内在住者採用を並行して走らせ、片方が遅れても穴が空かないようにする
  • 内定者との連絡を送出機関任せにせず、日本語学習の進捗確認を兼ねて自社でも接点を持つ

コスト・リードタイム・法令リスクを社内説明できる形にする

ミャンマー人の雇用を稟議に上げる際、必ず問われるのが「いくらかかるか」「いつから働けるか」「違反リスクはないか」の3点です。ここを数字と条文で説明できるかが決裁のスピードを左右します。

典型的な失敗は、日本側の審査期間だけを見て稼働開始月を約束してしまうことです。人員計画では、入社月を確定値ではなく幅で置くのが安全です。

コンプライアンス面も同様で、「在留資格を持っているから働ける」とは限りません。在留カードの記載と指定書を確認しないまま就労させれば、企業側が処罰の対象になります。以下では賃金水準・審査期間・法令上の義務の3点を、社内資料にそのまま転記できる形で整理します。

賃金水準と審査期間の目安

厚生労働省の令和7年賃金構造基本統計調査によると、外国人労働者の賃金は月額254.3千円でした。在留資格区分別では、専門的・技術的分野(特定技能を除く)が313.2千円、身分に基づくものが311.1千円、特定技能が221.4千円、技能実習が190.3千円、その他が228.3千円となっています。

出典:厚生労働省|令和7年賃金構造基本統計調査 結果の概況(在留資格区分別にみた賃金)

ここに登録支援機関への委託費、住居の初期費用、渡航費、日本語教育費などが加わります。「賃金が安いから採用する」という発想は、支援コストを含めた総額では成立しにくいのが実情です。戦力化と定着を前提に、投資回収期間で判断するほうが妥当でしょう。

リードタイムの目安としては、出入国在留管理庁が公表する在留審査処理期間が参考になります。2026年6月許可分では、特定技能1号の在留資格認定証明書交付が平均68.2日、在留資格変更許可が平均63.0日、技術・人文知識・国際業務はそれぞれ51.4日、56.8日でした。

出典:出入国在留管理庁|在留審査処理期間(令和8年6月)

この日数は日本側の審査のみで、海外から呼び寄せる場合はミャンマー側の求人票許可・OWIC発給・査証発給の期間が上乗せされます。社内説明では「日本の審査で約2か月+現地手続で数か月」と分解して伝えると、認識のズレが起きにくくなります。

在留カードの確認義務と不法就労助長罪

外国人を雇用する事業主には、就労可否の確認義務があります。出入国在留管理庁の案内では、在留カード表面の「就労制限の有無」欄を確認し、「就労不可」の場合は裏面の「資格外活動許可欄」を確認することが求められています。在留カードの失効情報は同庁のウェブサイトで照会できます。

不法就労させた事業主は、不法就労助長罪として処罰の対象となります。法定刑は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金で、不法就労であることを知らなかった場合でも、在留カードを確認していないなどの過失があれば処罰を免れません。また、ハローワークへの外国人雇用状況の届出を怠った場合は30万円以下の罰金の対象です。なお、この届出は特別永住者と在留資格「外交」「公用」の方は対象外です。

出典:出入国在留管理庁|外国人を雇用する事業主の皆様へ

さらに、令和6年の入管法等改正により、不法就労助長罪の法定刑は「5年以下の拘禁刑」「500万円以下の罰金」に引き上げられます。施行は公布の日から原則3年以内とされており、育成就労制度の運用開始と同時期になる見込みです。「知らなかった」が通用しない前提はいっそう強まると考えるべきでしょう。

出典:出入国在留管理庁|改正法の概要(育成就労制度の創設等)

実務上は、採用時・在留期間更新時・配置転換時の3タイミングで在留カードと指定書を確認し、コピーを保管する運用を社内規程に落とし込むのが確実です。ミャンマー人材は「特定活動」で在留する人が一定数いるため、資格名だけで判断しない運用が欠かせません。

定着率を高める受け入れ体制の作り方

採用の成否は入社後3か月から6か月で決まります。ミャンマー人材は在留資格の上限まで働き続ける意欲を持つ人が多い一方、住まいや生活面のつまずきが早期離職につながりやすいのも事実です。制度対応と生活支援は車の両輪です。

前掲の令和6年外国人雇用実態調査では、雇用の問題点として「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」が24.7%、「在留資格によっては在留期間の上限がある」が21.5%、「文化、価値観、生活習慣等の違いによるトラブルがある」が20.9%と続きます。いずれも体制づくりで軽減できる課題です。

入社前後で押さえるべき生活立ち上げ支援

来日直後に直面するのは、住居の確保、銀行口座の開設、携帯電話の契約、住民登録といった生活基盤の手続です。特に賃貸契約は保証人や審査のハードルが高く、住まいが決まらないことが配属遅延の原因になります。

実務では、次の準備を採用決定と同時に走らせると安全です。

  • 住居:社宅または外国人受け入れ実績のある物件を事前に確保する
  • 送金:本国への送金手段を早期に案内する(仕送りは定着の前提条件になりやすい)
  • 医療:近隣の医療機関と、緊急時に通訳を介せる窓口を一覧化しておく
  • 相談窓口:業務外の悩みを母語で相談できる経路を用意する

こうした生活支援や在留資格手続を外部に委ねる選択肢もあります。GTNの企業向け受け入れ支援生活支援サービスのように、住まいの確保から在留手続、入社後の生活サポートまでを一括で扱う仕組みも整備されています。自社で抱え込むか外部に出すかを最初に決めておくと、現場の負担が読みやすくなります。

現場マネジメントで効く5つの実践

第1に、指示は短く具体的に、否定形ではなく肯定形で伝えること。「走らないで」より「歩いてください」のほうが伝わります。第2に、理解確認は復唱と実演で行うこと。うなずきを理解のサインと受け取らない習慣を、現場リーダー全員で共有します。第3に、叱責は必ず個別に行うこと。人前での指導は面子を損ないます。

第4に、日本語学習の時間を業務として確保すること。月数時間でも会社が用意すると継続率が変わります。第5に、キャリアパスを数字で示すことです。移行要件、賃金がいくら上がるのか、いつ試験を受けるのかを入社時に提示できると、「この会社にいる理由」が明確になります。転籍が認められる育成就労の時代には、この差がそのまま定着率の差になります。

なお、政治や民族に関する話題は、本人が話し始めない限り職場から持ち出さないのが原則です。本国に家族を残している人にとって、情勢の話題は極めてセンシティブであり、配慮の有無は必ず伝わります。

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