外国人の賃貸契約が難しいと感じる理由は?礼金など初期費用の説明方法も解説 - GTN MAGAZINE
日本語
日本語
English

外国人の賃貸契約が難しいと感じる理由は?礼金など初期費用の説明方法も解説

外国人のお客様への説明に、思った以上に時間がかかった経験はないでしょうか。契約条件が十分に伝わらないまま話が進み、外国人の賃貸契約を「難しい」と感じる担当者も少なくありません。

 

その難しさは、語学力だけでなく、日本の賃貸制度・習慣、保証人、緊急時の連絡といった複数の要因が重なって生まれています。外国人の賃貸が難しいとされる理由を要因ごとに分けて捉えれば、つまずきやすい場面に合わせて説明の型を用意でき、接客時間や認識のずれを減らしやすくなります。

 

この記事では、外国人の賃貸契約が難しいとされる理由を整理したうえで、最初の関門になりやすい初期費用の説明方法を、礼金や敷金の言い換え方から限られた時間で伝えるコツまで具体的にまとめます。

外国人の賃貸契約が「難しい」と感じる4つの理由

外国人にとって日本での賃貸契約は、言葉だけでなく、日本特有の制度や契約の進め方が分かりにくさにつながることがあります。

理由背景現場で起きること
賃貸制度・習慣敷金・礼金・更新料と同様の仕組みが母国にない場合がある費用の理由が伝わらず、申込判断に影響する
言語日常会話と契約書の語彙が別契約内容が十分に伝わらないまま契約日を迎える
保証人日本国内に連帯保証人を頼める人がいない審査手続きが進みにくい
連絡緊急時や帰国時に連絡が取りにくい貸主が連絡体制に不安を感じる

【理由1】敷金・礼金・更新料などの仕組みの違い

敷金・礼金・更新料などは、国や地域によって同様の仕組みや支払い習慣がない場合があります。国土交通省などのガイドでも、この点について説明されています。

 

国土交通省が発行する『大家さん、不動産事業者のための外国人の受入れガイド』には、「外国では、敷金・礼金・更新料等の費用を支払う習慣がなく、原状回復の習慣がない場合もあります。そのため、これらについて、入居前に理解してもらうことが大切です」と記されています。

 

対応する概念が母国にない場合は、単に言葉を翻訳するだけでは、費用の目的まで十分に伝わらないことがあります。同ガイドでは、入居希望者への対応として、専門用語をできるだけ使わず、やさしい日本語で説明することや、可能であれば入居希望者の母国語でコミュニケーションを取ることが推奨されています。

 

たとえば「礼金」を別の言語に置き換えるだけでなく、「誰に払うのか」「何のためのお金なのか」「返ってくるのか」まで補足することで、費用の意味を理解してもらいやすくなります。

【理由2】日常会話と契約用語の語彙の違い

日常会話が流暢なお客様でも、契約書の語彙は理解しにくいことがあります。

「敷金」「償却」「原状回復」「連帯保証人」「保証委託契約」などは、いずれも日常生活ではあまり使わない、不動産契約特有の言葉です。

日本語学校や職場で日本語を身につけ、ビジネス用語や生活に必要な語彙を十分に理解していても、賃貸契約で使われる言葉に触れる機会が少ないまま生活している方もいます。

会話が滞りなく進むぶん、「日本語が話せるから契約内容も理解できている」と判断してしまい、説明が先に進みやすい場面でもあります。

在留外国人は2025年末時点で412万5,395人となり、初めて400万人を超えました。

在留外国人が増加するなか、不動産の契約現場でも、専門用語や日本独自の制度を分かりやすく伝える重要性は、さらに高まっていくと考えられます。

【理由3】日本国内における連帯保証人の確保

保証人の確保は、外国人のお客様自身にとっても身近な困りごとのひとつです。

出入国在留管理庁の「令和7年度 在留外国人に対する基礎調査-調査の概要-」では、「家を借りるときの保証人について」を生活上の困りごととして挙げた人は19.3%で、約5人に1人でした。

具体的な困りごとの項目では、「就職先(進学先)について」22.1%、「自分自身の悩みについて」20.2%、「お金に困ったときの援助について」19.4%に続いており、4番目に高い項目となっています。

来日して間もない方など、日本国内で保証人を依頼できる相手が見つからないケースも考えられます。

この場面で利用されるのが家賃保証会社ですが、母国に同様の仕組みがない場合には、「なぜ保証会社が必要なのか」「保証料は何のために払うのか」といった保証会社の位置づけそのものが伝わりにくいという別の課題も生じます。

この点については、後段の「保証料」の項目で詳しく説明します。

【理由4】緊急時や一時帰国の連絡体制

貸主が連絡体制に不安を感じる理由のひとつとして挙げられるのが、入居者との連絡の取りにくさです。

母国の家族の事情で急に帰国した、電話番号が変わった、普段利用している連絡手段が異なるなど、さまざまな事情によって、必要なときに連絡が届きにくくなることがあります。

GTNの生活サポートに寄せられた依頼では、「伝達」に関する依頼が27.6%で第1位となっています※¹。

これは全体の4件に1件以上にあたり、2位の「解約関連」11.8%と比べても2倍以上です。

設備トラブルや騒音といった個別の問題ではなく、管理会社からのお知らせや生活ルール、修繕・点検の日程など、「必要な情報を正しく届けること」そのものが最も多い依頼となっています。

こうしたデータからも、外国人入居者への対応では、単に連絡先を把握するだけでなく、情報を確実に伝えられる体制を整えておくことが重要だと考えられます。

契約前に確認しておきたい、初期費用の説明方法

4つの観点のうち、特に賃貸制度・習慣と言語の違いは、契約前の初期費用説明で表れやすい課題です。

説明が十分に伝わらない場合、費用に対する不安や疑問が残り、申込判断に影響する可能性もあります。

賃貸契約の初期費用は、一般的に家賃の2〜6か月分程度が目安とされています※²。

総額だけを見ると負担が大きく感じられることもあります。特に、日本の賃貸制度に馴染みがない場合は、敷金の返金条件や各費用の目的が分からず、なかなか成約につながらないケースも考えられます。

そこで、初期費用は「名称」だけではなく、「返ってくるか」「いつ払うか」「誰に払うか」「なぜ払うか」という視点で整理して説明すると分かりやすくなります。

【敷金・礼金】「返る・返らない」を先に伝える

敷金と礼金は、「返る可能性があるか、返らないか」を先に分けて説明する方法があります。

たとえば、敷金は、

「退去時の原状回復費用などを差し引き、残額が返金される場合があるお金」

礼金は、

「貸主に支払う、原則として返金されないお金」

と説明すると、違いを示しやすくなります。

礼金について納得しにくい場合は、礼金ゼロの物件を選択肢として案内する方法もあります。

なお、「償却」や「敷引き」の特約がある物件では、敷金の一部または全部が返還されない場合があることを契約前に説明しておくことも大切です。

契約条件によって返金額が変わることをあらかじめ伝えておくことで、退去時の認識のずれを避けることにもつながります。

【保証料】「保証人の代わりに利用するサービス」と説明する

保証料を説明する際は、連帯保証人の制度や保証会社の役割から補足する必要がある場合があります。

母国に同様の制度がない場合、「家賃保証会社」という名称だけでは、何のための会社なのかイメージしにくいためです。

ひとつの方法は、名称ではなく機能から説明することです。

たとえば、

「物件によっては、賃貸契約の際に連帯保証人や家賃保証会社の利用を求められることがあります。家賃保証会社は、契約者が家賃を支払えない場合などに、契約内容に基づいて貸主への支払いを保証するサービスです。保証料は、その保証サービスを利用するための費用です」

といった形です。

ここまで伝えたうえで、初回保証料や更新料がある場合は、それぞれの金額や支払時期を補足します。

あわせて、審査に必要な書類を早めに提示しておくと、その後の手続きを整理しやすくなります。

GTN 家賃保証サービス

GTNの家賃保証サービスは、日本で賃貸契約をする外国人向けの保証・サポートサービスです。

連帯保証人がいなくても契約が可能で、言語の壁や生活上の不安を解消する多言語サポートを提供し、入居者と貸主双方に安心を届けます。

入居前から退去まで幅広い支援を行っています。

※一部お申込みプランにおいて連帯保証人(代表者)が必要になります。

 

 

運営会社 株式会社グローバルトラストネットワークス(Global Trust Networks Co., Ltd.)
公式HP https://www.gtn.co.jp/business/realestate/rent-guarantor

【前家賃・仲介手数料ほか】「いつ」「誰に」払うかで分ける

契約時に翌月分の家賃を先に支払う仕組みは、家賃の後払いが一般的な国から来たお客様にとって、分かりにくい場合があります。

「今月分と来月分を両方払うのか」と質問された場合は、支払う対象期間を確認しながら説明するとよいでしょう。

たとえばカレンダーを見せながら、

  • 「入居日から月末までの日割家賃」
  • 「翌月1か月分の前家賃」

と分けて示せば、支払時期を視覚的に整理できます。

仲介手数料、鍵交換代、火災保険料についても、「誰に」「何のために」支払うお金なのかを分けて説明すると理解してもらいやすくなります。

仲介手数料については、宅地建物取引業者が貸主・借主双方から受け取ることができる報酬額について、国土交通省の告示で上限が定められています※³。

初期費用の説明を整理する2ステップ

初期費用は、一度にすべてを説明するのではなく、内見前に共有する情報と、申込後にフォローする情報を分けておくと、案内の流れを整理しやすくなります。

【ステップ1】内見前に総額を1枚で送る

事前に初期費用の総額と内訳を共有しておけば、お客様自身が内容を確認したり、必要に応じて家族や友人に相談したりする時間を確保できます。

物件ごとに金額を入れ替えられるテンプレートを用意しておけば、担当者側の案内もしやすくなります。

その際は、それぞれの費用について、

  • 返ってくるか
  • いつ払うか
  • 誰に払うか
  • なぜ払うか

の4点で整理しておくと、費用ごとの違いも伝わりやすくなります。

【ステップ2】審査中こそ、連絡を切らさない

申込から契約までの間は、審査結果を待つため、連絡が途切れやすい場面でもあります。

審査にかかる日数や次の連絡タイミングが分からないと、結果が出ていないことよりも、「連絡がないこと」そのものを不安に感じる場合があります。

申込を受けた時点で、

  • 「いつ頃までに結果が分かる予定か」
  • 「次にいつ連絡するか」

を伝えておき、結果がまだ出ていない場合でも中間連絡を入れることで、現在の状況を把握してもらいやすくなります。

また、電話だけでなく、メールなど複数の連絡手段を確認しておくことも重要です。

外国人入居者との連絡方法や、連絡がつかない場合の対応については、以下の記事でも詳しく紹介しています。

関連記事:外国人入居者に連絡がつかない!管理会社・オーナーが知っておきたい対応方法

説明工数を減らす、多言語ツールの使い分け

外国人のお客様向けの資料をすべて自社で翻訳して用意する必要はありません。

まずは、公的機関などが公開している多言語資料を活用できないか確認してみるのもひとつの方法です。

国土交通省では、外国人の民間賃貸住宅への円滑な入居を支援するため、多言語の契約関連資料や住まいに関する資料を公開しています。

ツール提供元内容
外国人の民間賃貸住宅入居円滑化ガイドライン国土交通省14言語。入居申込書、重要事項説明書、賃貸住宅標準契約書等のひな形を収録
賃貸住宅を退去する時の原状回復のポイント・入退去時の物件状況及び原状回復確認リスト(例)国土交通省14言語。賃貸住宅でトラブルになりやすい原状回復の考え方をまとめた資料・入居時・退去時の物件状況を確認するためのチェックリスト例

 

GTNでも、外国人向けの賃貸住宅入居ガイドを、わかりやすい動画形式で10言語にて公開しています。

 

 

多言語版をすべて自社で作成すると、翻訳だけでなく、制度やルールが変更された際の更新にも工数がかかります。

公的資料を案内先として活用し、自社では物件固有の情報や、やさしい日本語の資料を用意するなど、役割を分ける方法もあります。

契約用語を「やさしい日本語」に言い換える

契約用語は、短くかみくだいて説明すると伝わりやすくなります。

  • 敷金:あずける おかね。かえってくることがあります
  • 礼金:おおやさんに はらう おかね。かえってきません
  • 保証料:ほしょうがいしゃに はらう おかね
  • 前家賃:つぎの つきの やちんを、さきに はらいます
  • 原状回復:でていく ときに、へやを もとに もどすこと
  • 連帯保証人:あなたが はらえない ときに、かわりに はらう ひと

やさしい日本語は、一文を短くし、難しい言葉を減らして、情報をシンプルに伝える方法です。

母語ごとにすべての資料を作り分けるのではなく、共通して案内できる方法のひとつとして活用できます。

必要に応じて、文字だけではなく、図やカレンダー、動画などを組み合わせることも有効です。

自社だけで抱え込まない、外国人客付けの選択肢

ここまでご覧いただいたように、外国人の賃貸契約が難しいとされる背景には、制度・言語・保証人・連絡といった複数の要因が重なっています。

初期費用の説明についても、単純に外国語へ翻訳するだけではなく、制度そのものを説明したり、やさしい日本語へ言い換えたりと、現場での工夫や時間が必要になる場面があります。

こうした説明や外国人のお客様への対応を、専門チームに任せるという選択肢もあります。

 

 

GTNが運営する外国人専門の賃貸物件情報サイト「BEST-ESTATE.JP」では、物件提案や問い合わせ対応から、オンライン内見、家賃保証との連携、入居申込、契約締結までを一貫してサポートしています。

空室情報を専門サイトに掲載し、敷金・礼金といった制度の違いや契約用語の説明も専門チームが担うことで、自社で説明資料を用意する工数を抑えながら、外国人客付けの体制を整える選択肢のひとつとして活用できます。

まとめ

外国人の賃貸契約で課題になりやすい点は、賃貸制度・習慣、言語、保証人、緊急時の連絡という4つの観点から整理できます。

外国人のお客様への対応が難しく感じられる背景には、語学力だけでなく、日本の賃貸制度や契約の前提そのものが共有されていないことも関係しています。

なかでも、契約の早い段階でぶつかりやすいのが初期費用の説明です。

敷金・礼金・保証料といった言葉を外国語に置き換えるだけでなく、

  • 「返ってくるか」
  • 「いつ払うか」
  • 「誰に払うか」
  • 「なぜ払うか」

という視点から整理することで、費用の意味を理解してもらいやすくなります。

また、申込後も連絡を切らさず、多言語資料ややさしい日本語、図・動画などを組み合わせることで、契約内容や今後の手続きを理解してもらいやすくなります。

 

初期費用の説明以外にも、外国人対応の現場ではさまざまな課題が生じます。

GTN Magazine for Bizでは今後も、外国人入居者への対応や賃貸管理の現場で活用できる具体的な工夫・ポイントをお届けしていきます。日々の業務の参考として、ぜひ今後の記事もご覧ください。

出典一覧

*制度・サービスの内容は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

 

関連記事

おすすめ記事