外国人入居者への防災案内、できていますか?管理会社が今からできる備え - GTN MAGAZINE
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外国人入居者への防災案内、できていますか?管理会社が今からできる備え

日本では近年、地震や大雨などの災害が各地で発生しています。毎年8月30日から9月5日は「防災週間」ですが、賃貸物件の防災対策は外国人入居者にも十分届いているでしょうか。

 

地震発生時に情報が伝わらず、外国人入居者が戸惑ったりパニックになったりすると、管理会社への問い合わせが増えることも考えられます。一方、入居時や契約更新など日頃の防災の取り組みに案内を組み込んでおけば、新たな体制を整えなくても対応の手間を減らしやすくなります。

 

この記事では、その組み込み方と、災害時に外国人入居者が困ることへの備えを、実務で使えるチェックリストとともに紹介します。

なぜいま、外国人入居者への防災案内を見直したいのか

外国人入居者を受け入れる機会が増えてきた今、日頃の入居者対応とあわせて、災害時の情報の伝え方についても一度見直しておくと安心です。

在留外国人の増加と防災案内の必要性

出入国在留管理庁の発表によると、2025年末時点の在留外国人数は初めて400万人を超えました。

外国人入居者が増えるなか、管理会社にとって、防災情報をどのように伝えるかも備えておきたいテーマのひとつです。

災害が起きてから個別に対応するだけでなく、日頃の管理業務の中で案内方法や連絡手段を整理しておくことで、いざというときにも対応しやすくなります。

日常会話と災害時における言葉の違い

日常会話を問題なく話せる入居者でも、災害時に使われる言葉には馴染みがない場合があります。

「避難指示」「土砂災害警戒情報」「震度6弱」「罹災証明書」などの言葉に加え、「高台に避難する」といった防災特有の言い回しも、日常会話にはあまり出てきません。

2026年7月28日に発生した令和8年熊本地震では、マグニチュード7.1、最大震度7を観測しました。出入国在留管理庁は令和8年熊本地震の特設ページを開設し、地震に伴う在留諸申請の取扱いについて21言語で案内しています。

こうした多言語の情報提供も活用しながら、管理会社からの案内もできるだけわかりやすい言葉で伝えることが大切です。

外国人入居者に防災情報を伝えるときに意識したいポイント

防災情報をわかりやすく伝えるためには、言語だけでなく、災害の経験や日本の制度への理解なども含めて考えることが大切です。主なポイントを4つに整理します。

ポイント内容案内するときの注意点
言語防災用語に馴染みがない場合がある難しい言葉を言い換え、必要に応じて多言語でも案内する
経験地震や台風、避難訓練を経験したことがない場合がある訓練の映像や図を使い、行動をイメージしてもらう
制度避難所や罹災証明、支援制度などを知らない場合がある「誰が利用できるか」「どこで手続きするか」まで伝える
生活習慣食事やプライバシーなど、避難生活で気になる点は人によって異なる在宅避難という選択肢も含め、必要な情報や相談先をあわせて案内する

多言語での案内は言葉の壁を小さくするうえで役立ちますが、翻訳するだけでは日本の避難行動や支援制度まで伝わらないこともあります。

「何をすればよいか」「どこへ行けばよいか」「どのような支援を利用できるか」もあわせて伝えることで、いざというときに行動につなげやすくなります。ここでは、特につまずきやすい「言語」と「制度」を詳しく見ていきます。

言語のポイント|日常生活で使わない防災用語への配慮

「直ちに避難してください」の「直ちに」や、「浸水想定区域」の「想定」など、防災情報には、日常生活ではあまり使わない言葉や漢字が多く含まれていることが少なくありません。

緊急速報メールが届いても、言葉の意味がわからなければ「どのくらい危険なのか」「今すぐ避難する必要があるのか」を判断しにくくなります。日頃の案内では、簡単な言葉に置き換えたり、多言語の情報源をあわせて案内したりすることがポイントです。

制度のポイント|避難所や支援制度の利用方法の案内

日本の避難所や災害時の支援制度について、利用方法に馴染みがない入居者もいます。

避難所の場所を案内するだけでなく、「外国人も利用できる」「費用はかからない」といった基本的な情報もあわせて伝えておくと、入居者の不安を減らしやすくなります。

また、罹災証明書や自治体の支援制度についても、必要になったときの相談先を案内しておくと安心です。

平常時にやること|管理業務のどこに防災案内を組み込むか

防災案内は、新しい業務として追加するだけでなく、契約や鍵渡し、更新など、普段の管理業務の中に取り入れる方法もあります。既存の対応とあわせて案内することで、継続して実施しやすくなります。

管理業務のタイミング組み込む防災アクション
申込・入居審査緊急連絡先と、本人が使える連絡手段(言語・アプリ)を確認
経契約・重要事項説明ハザードマップで物件の位置や災害リスクを説明
鍵渡し・入居時防災案内を渡し、最寄りの避難場所を地図で案内
入居中(年1回)防災週間などにあわせて案内を再送し、連絡先を確認
更新時連絡先や同居人、利用している連絡手段の変更を確認

契約・重要事項説明時におけるハザードマップの確認

水害ハザードマップにおける物件所在地の説明は、2020年8月の宅地建物取引業法施行規則改正により、重要事項説明の対象となっています※¹。地図を示すだけでなく、物件の位置や周辺の災害リスクを一緒に確認することで、内容をよりイメージしやすくなります。

たとえば、色分けされた地図を示しながら「この物件はここです」「この色の場所は、浸水する可能性があります」と簡単な言葉で説明し、最寄りの避難場所にも印をつけておくと、入居後に見返しやすく、災害時の行動にもつなげやすくなります。

鍵渡し・入居時における防災案内の提供

入居時は、生活に必要な情報をまとめて伝えられるため、防災案内を行いやすいタイミングの一つです。渡す内容を次の6点程度に整理しておくと、管理会社側の負担を抑えながら案内しやすくなります。

渡すもの組み込む防災アクション
最寄りの避難場所(地図に印)外国人も利用でき、基本的に無料であることをあわせて案内する
多言語防災アプリの案内アプリの特徴とダウンロード先を案内する
緊急時の連絡先(管理会社・119番・110番)管理会社への連絡方法と、119番・110番の使い分けを簡単な言葉で伝える
揺れたときの基本行動揺れている間はまず身を守り、揺れが収まってから周囲の安全を確認する
在宅避難に備えた備蓄水や食料など、必要なものを日頃から準備しておくよう案内する
停電・断水時の連絡方法電話がつながりにくい場合に備え、ほかの連絡手段も確認しておく

 

入居時はゴミ出しや騒音などの生活ルールを説明することも多いため、防災案内も「生活オリエンテーション」の一部として、まとめて伝える方法があります。

入居中・更新時における情報の定期更新

入居後は、携帯番号や緊急連絡先、利用している連絡アプリなどが変わることもあります。こうした情報を定期的に確認しておくことで、災害時にも連絡を取りやすい状態を保つことにつながります。

毎年の防災週間は、情報を見直すきっかけのひとつになります。防災案内を再送する際に緊急連絡先や現在の連絡手段もあわせて確認し、更新時の書類確認にも連絡先の確認項目を加えておけば、普段の管理業務の中で情報を見直しやすくなります。

入居者に案内したい多言語の防災ツール

外国人入居者への防災案内には、自社で一から翻訳資料を用意するだけでなく、公的機関が無料で提供している多言語の防災ツールを活用する方法もあります。すでに利用できる情報を上手に取り入れることで、入居者への案内にも活用しやすくなります。

ツール提供元内容
Safety tips観光庁監修15言語対応の防災アプリ。緊急地震速報、気象警報、避難情報などをプッシュ通知
外国人のための減災のポイント内閣府15言語対応のポスター。A3・A2のPDFで配布でき、QRコードで言語が切り替わる
多言語防災情報気象庁6言語で気象・地震・津波・火山の情報を提供
災害時に役立つ情報出入国在留管理庁外国人向けの防災ガイドブックと動画。やさしい日本語を含む多言語で公開
ハザードマップ各自治体多言語版を用意している地域もある

 

これらのツールは、入居時にインストール方法や通知設定まであわせて案内しておくと、必要なときに使いやすくなります。災害用伝言ダイヤル(171)や災害用伝言板(web171)の使い方も、事前に伝えておくと連絡手段の一つとして活用できます。

すべての案内を多言語化するのが難しい場合は、難しい言葉を避け、一文を短くする「やさしい日本語」を取り入れる方法もあります。母語ごとに資料を用意しなくても、共通の案内として幅広い入居者に使える点がメリットです。

発災時にやること|安否確認と情報提供の方法を決めておく

災害が発生してから連絡方法や確認事項を決めるのではなく、平常時に整理しておくと、いざというときにも対応しやすくなります。特に入居者への連絡手段は、事前に確認しておきたいポイントです。

入居時における連絡手段の確認

災害時は回線の混雑で電話がつながりにくくなることがあり、日本語のSMSだけでは内容を十分に理解できない入居者もいます。日常的に使う連絡アプリも人によって異なり、LINEのほかWhatsApp、WeChat、Zalo、KakaoTalkなどを利用している場合もあります。入居時に普段使っている連絡手段を確認しておくことで、災害時にも状況に応じた方法で連絡しやすくなります。

確認しておきたい項目は、たとえば次の3つです。

  • 本人が日常的に利用している連絡手段
  • 日本国内で連絡できる緊急連絡先(勤務先・学校・友人など)
  • 案内を受け取りやすい言語
     

なお、入居者と連絡がつかない状況は、災害時以外にも起こることがあります。平常時の対応については、関連記事の外国人入居者に連絡がつかない!管理会社・オーナーが知っておきたい対応方法でも詳しく紹介しています。

安否確認時における4つの確認項目

災害時の安否確認では、確認する内容をあらかじめ整理しておくと、やり取りを進めやすくなります。一度に多くを尋ねず、必要な情報を一つずつ確認することがポイントです。

  • 本人や同居人にけがはないか
  • 現在どこにいるか
  • 部屋や建物に被害はないか
  • 電気・ガス・水道は使えるか
     

やさしい日本語を使う場合は、「けがは ありますか」「いま どこに いますか」「へやは だいじょうぶですか」のように、一つの質問を短くして伝える方法があります。

可能であれば部屋の状況を写真で送ってもらうと、言葉だけでは伝えにくい被害の確認にも役立ちます。

発災直後に想定される問い合わせへの備え

災害が発生した直後は、「部屋の壁にひびが入ったが、このまま住んでも大丈夫か」「水が出ないが、いつ復旧するのか」「避難所はどこにあり、自分も利用できるのか」といった、平常時とは異なる問い合わせが寄せられることがあります。外国人入居者からも、こうした相談が複数の言語で寄せられる可能性があります。

必要な情報をわかりやすく届けることは、平常時から意識しておきたいポイントといえます。非常時だけ新たな多言語対応を用意するのではなく、普段の窓口を災害時にも活用できるようにしておけば、入居者にとっても連絡先を判断しやすくなります。

自社で対応するか、外部のサポートを活用するか

外国人入居者への対応は、すべてを自社で行うだけでなく、業務の内容に応じて外部のサポートを活用する方法もあります。判断する際の目安の一つが、その業務がどのくらいの頻度で発生するかです。

たとえば、防災案内の作成・配布やハザードマップの案内などは、普段の管理業務に組み込みながら自社で対応しやすい業務といえます。一方、日常的に発生する問い合わせや設備トラブル、ライフラインに関する手続きなどを複数の言語で対応する場合は、担当者の負担も考える必要があります。

こうした日常対応の一部に外部のサポートを取り入れ、平常時から連絡を受けられる体制を整えておくことも、災害時の対応を考えるうえで一つの選択肢になります。

多言語対応を無理なく続けるための管理体制については、管理会社が取り組みたい業務改善とは?入居者対応の効率化につながる管理体制づくりのポイントで詳しく紹介しています。

GTN 家賃保証サービス

GTNの家賃保証サービスは、日本で賃貸契約をする外国人向けの保証・サポートサービスです。

連帯保証人がいなくても契約が可能で、言語の壁や生活上の不安を解消する多言語サポートを提供し、入居者と貸主双方に安心を届けます。

入居前から退去まで幅広い支援を行っています。

※一部お申込みプランにおいて連帯保証人(代表者)が必要になります。

 

 

運営会社 株式会社グローバルトラストネットワークス(Global Trust Networks Co., Ltd.)
公式HP https://www.gtn.co.jp/business/realestate/rent-guarantor

まとめ

防災週間を、入居者向けの案内を見直すきっかけに。

外国人入居者への防災案内では、資料を多言語化するだけでなく、言語、災害の経験、日本の制度、生活習慣などにも目を向けながら、必要な情報をわかりやすく伝えることが大切です。

また、防災対応を新しい業務として追加するだけでなく、契約時にハザードマップを一緒に確認する、鍵渡しの際に避難場所を案内する、入居時に普段利用している連絡手段を確認するなど、日頃の管理業務の中に取り入れる方法もあります。

すべてを一度に整える必要はありません。まずは、防災週間などをきっかけに、現在の案内内容や連絡方法を確認し、取り入れやすいところから見直してみてはいかがでしょうか。

GTNでは、外国人入居者の言語や文化の違いを踏まえた対応を行っています。日常的な多言語対応や入居者対応の体制づくりについて、お困りのことがありましたら、お気軽にお問い合わせ・ご相談ください。

 

出典一覧

本記事での使用箇所資料名発行元

※¹

不動産取引時における水害ハザードマップの説明義務化について 国土交通省

*制度・サービスの内容は変更される場合があります。最新の情報は各公式サイトでご確認ください。

 

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