物流倉庫で特定技能の外国人を活用!倉庫管理・ピッキング業務を解説 - GTN MAGAZINE
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物流倉庫で特定技能の外国人を活用!倉庫管理・ピッキング業務を解説

物流・倉庫業界の人材採用担当者にとって、2026年は大きな転換点の年となっています。長らく特定技能の対象外だった倉庫内作業が、2026年(令和8年)1月23日の閣議決定によって特定産業分野および育成就労産業分野に追加されたからです。

しかし現場から寄せられる質問の多くは「では、実際にいつから雇えるのか」に集約されます。分野に追加されたことと、明日から在留資格の申請ができることは同じではありません。制度の枠組みは整いつつある一方で、受け入れの前提となる評価試験や分野別協議会の準備は2026年8月時点でも進行中です。

本記事では、特定技能「物流倉庫」の追加スケジュールを一次情報ベースで整理し、受け入れ要件、試験、育成就労制度との関係、現場配属時の注意点までを解説します。

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特定技能「物流倉庫」はいつから受け入れできる?結論と最新スケジュール

先に結論をまとめます。制度上の分野追加は2026年1月23日に完了しており、出入国在留管理庁は特定技能1号での受け入れについて「省令等の準備が整い次第受入れが可能となります」と案内しています。一方、育成就労での受け入れは育成就労制度そのものの施行日である2027年(令和9年)4月1日以降です。

つまり「いつから」の答えは1つではなく、特定技能ルートと育成就労ルートで時期が分かれます。さらに、特定技能1号については技能評価試験の開始時期が公表されていないため、実務上の解禁時期は試験実施と協議会加入受付のアナウンスに連動します。

項目

時期

状態

分野別運用方針の閣議決定(分野追加)2026年1月23日完了
特定技能・上乗せ基準告示の公布2026年6月26日完了
運用要領別冊(物流倉庫分野)の制定未定(調整中)未実施
特定技能1号評価試験の開始未定(調整中)未実施
分野別協議会の設置・加入受付未定(調整中)準備中
育成就労・上乗せ基準告示の施行2027年4月1日施行前
育成就労技能評価試験の開始2027年4月以降を予定未実施

出典:国土交通省|物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて

2026年1月23日の閣議決定で特定産業分野に正式追加

物流倉庫分野は、2026年1月23日の閣議決定によって、特定産業分野・育成就労産業分野に追加されました。この閣議決定では従来の制度運用方針が再編され、特定技能と育成就労の方針を分野ごとに一体的に定める「分野別運用方針」という新しい形式が採用されています。

同じタイミングで追加されたのは物流倉庫分野だけではありません。資源循環分野、リネンサプライ分野を含めた3分野が新規追加され、特定産業分野は合計19分野となりました。倉庫内作業は技能実習の対象職種にも含まれていなかったため、物流倉庫分野の追加は「倉庫業で初めて正面から外国人材の就労が制度化された」という意味を持ちます。

なお、平成30年(2018年)12月25日の閣議決定による従前の運用方針は、この決定をもって廃止されています。社内資料に古い運用方針を引用している場合は、差し替えが必要です。

出典:出入国在留管理庁|分野別運用方針の主要記載事項

上乗せ基準告示は2026年6月26日公布、育成就労分は2027年4月1日施行

閣議決定の次に来るのが、所管省庁による分野固有ルール(上乗せ基準告示)の整備です。物流倉庫分野については、国土交通省が2026年6月26日に2本の告示を公布しました。

  • 特定技能に係る上乗せ基準告示(国土交通省告示第787号):公布の日から適用
  • 育成就労に係る上乗せ基準告示(国土交通省告示第788号):2027年4月1日から施行

ここが実務上のポイントです。特定技能側の告示はすでに効力を持っており、事業者が満たすべき基準は確定している一方、育成就労側は制度施行日を待つ構造になっています。要件は公表済で、あとは試験と協議会という運用インフラの立ち上がりを待つ段階、というのが正確な現状認識です。

出典:国土交通省|物流倉庫分野に係る特定技能上乗せ基準告示

受け入れ開始のカギは「評価試験」と「協議会」の準備状況

実際の稼働開始時期を左右するのは、次の2つです。

1つ目は技能評価試験。国土交通省は、育成就労技能評価試験について「試験開始は2027年4月の育成就労制度開始以降を予定」とし、特定技能1号技能評価試験については「試験開始時期は現在調整中であり未定」と説明しています(2026年6月時点)。海外在住者を新規に招へいする場合、この試験の実施が実質的なスタートラインになります。

2つ目は分野別協議会。物流倉庫分野の協議会は特定技能・育成就労ともに設置調整中で、加入要件や加入受付の開始時期は決定次第公表とされています。後述のとおり協議会の構成員であることは受け入れの必須要件のため、協議会の受付開始が実際の受け入れ開始時期を左右する重要な要素となります。

現時点で採用計画を立てるなら、試験と協議会の告知を国土交通省のページで定期的に確認しつつ、社内の受け入れ体制づくりを並行して進めるのが現実的です。

出典:国土交通省|物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて

なぜ物流倉庫が追加されたのか|人手不足の実態と受入れ見込数

分野追加の背景には、統計で裏づけられた深刻な人手不足があります。政府が示した根拠を押さえておくと、社内での投資判断や採用予算の説明がしやすくなります。「なんとなく人が足りない」ではなく、公表数値で語れる状態にしておくことが重要です。

分野別運用方針では、物流倉庫分野の人材不足は令和6年(2024年)時点で約1万9,000人と見積もられています。

さらに令和10年度には34万人程度の就業者が必要になる一方、生産性向上と国内人材確保の取り組みによって3万6,800人程度の不足が緩和されても、なお1万8,300人程度の人手不足が残ると見込まれています。自動化やマテハン機器の導入だけでは埋めきれない規模であることが、外国人材の受け入れ解禁につながりました。

令和6年時点で約1万9,000人不足、求人数/応募人数は2.54

人手不足の深刻さを示す指標として、運用方針では2つのデータが挙げられています。

1つはハローワーク経由の「求人数/応募人数」が2.54(令和6年1月〜12月)という数値です。応募者1人に対して2.5件超の求人がある状態で、採用競争が常態化していることを示します。

もう1つは普通倉庫における従業員1人あたりの所管面積、つまり従業員1人が受け持つ倉庫の広さです。令和元年度の633平方メートルから令和5年度には674平方メートルへと約6%拡大しました。EC市場の拡大で取扱量が増える一方、人員が追いつかず、1人あたりの負担が増え続けている実態が読み取れます。

こうした数値は、社内で外国人材の受け入れを提案する際の客観的な裏づけになります。現場の体感ではなく、国が公表した一次情報として引用できる点が強みです。稟議書や役員説明の資料にも、出典を添えてそのまま引用できます。

3年間で1万8,300人という受入れ見込数の意味

物流倉庫分野の受入れ見込数は、令和8年度からの3年間(令和11年3月末まで)で合計1万8,300人と設定されました。内訳は次のとおりです。

区分

受入れ見込数

対象期間

特定技能1号11,400人令和8年度から3年間
育成就労6,900人令和9〜10年度の2年間
合計18,300人令和11年3月末まで

受入れ見込数は「上限として運用する」性格の数字です。つまり全国の需要がこの枠を食い合う構造であり、制度開始初期に動いた企業ほど枠を確保しやすいことを意味します。特に特定技能1号の1万1,400人は、令和8年度分から算入される枠として設定されている点に注目してください。

なお、全分野の合計では令和11年3月末までに特定技能80万5,700人、育成就労42万6,200人、合わせて123万1,900人が見込まれています。

出典:出入国在留管理庁|分野別運用方針における受入れ見込数等

同時追加の資源循環・リネンサプライと比べた枠の大きさ

2026年1月に追加された3分野の枠を並べると、物流倉庫分野の位置づけがよく分かります。

分野

特定技能1号

育成就労

分野全体

物流倉庫11,400人6,900人18,300人
リネンサプライ4,300人3,400人7,700人
資源循環900人3,600人4,500人

新規3分野の中では物流倉庫が最大の枠を確保しており、政府が倉庫内作業の人手不足を優先度高く見ていることが分かります。

参考までに、令和7年12月末時点の特定技能在留外国人は全国で39万296人、うち飲食料品製造業が9万5,644人(24.5%)、介護が6万7,871人(17.4%)です。先行分野では制度開始後に採用競争が急速に激化しており、物流倉庫分野でも早期の体制整備が採用の成否を分けると考えられます。

出典:出入国在留管理庁|分野別運用方針における受入れ見込数等出入国在留管理庁|特定技能制度運用状況(令和7年12月末現在)

特定技能「物流倉庫」で任せられる業務と受け入れ事業者の3類型

受け入れを検討する際、最初に確認すべきは「自社が対象事業者に該当するか」と「任せたい業務が対象業務に含まれるか」です。ここを取り違えると、在留資格の不許可や、在留資格で認められていない業務に従事させる資格外活動違反に問われるリスクにつながります。

物流倉庫分野は業務範囲が明確に限定されており、他分野のような幅広い解釈は想定されていません。配属先の業務内容を洗い出し、対象業務と照合する確認を採用前に済ませておきましょう。また、雇用形態にも明確な制約があります。業務範囲・事業者類型・雇用形態の3点セットで判定するのが、確実な進め方です。

従事できる業務範囲は倉庫内作業に限定

分野別運用方針では、従事する業務を「物流倉庫において、倉庫内で行われる貨物の入出庫、保管その他の倉庫内各種作業」と定めています。具体的には、貨物の受け渡しと検品、庫内での移動、格納、ピッキング、流通加工などが該当します。流通加工とは、物資を流通させるために適した状態にするための加工を指し、国土交通省のFAQは代表例として小分け・再包装、タグ取付け、ラベル貼り、セット組みを挙げています。一方、商品そのものの機能を完成させたり性能を向上させたりすることは製造工程の一環となり、流通加工には含まれません。倉庫内で行う作業であっても、この線を越えれば資格外活動違反に問われるおそれがあります。 

加えて、日本人が通常従事する関連業務への付随的な従事は認められます。報告や連絡といった事務作業、整理整頓や清掃、悪天候時の対応などがこれにあたります。ただし付随業務のみに従事させることはできません。あくまで主たる業務は倉庫内作業である点が前提です。

一方で、トラックでの配送そのものは自動車運送業分野の領域であり、物流倉庫分野の業務区分には含まれません。倉庫と配送の両方を手がける企業では、どちらの分野で受け入れるかを事業実態に合わせて判断することになります。

出典:出入国在留管理庁|分野別運用方針(別紙・物流倉庫分野)

受け入れ事業者の3類型

物流倉庫分野で外国人を受け入れられるのは、次の3類型です。

① 倉庫業法に基づく登録を受けた倉庫業者で、倉庫作業を自ら実施する者

② ①の倉庫業者との業務委託に基づき、当該倉庫業者が占有する営業用倉庫で倉庫作業を実施する者

③ 一般貨物自動車運送事業または特定貨物自動車運送事業の許可を受け、その占有する倉庫で倉庫作業を自ら実施する者、またはその運送事業に関連して他人の需要に応じ、有償で倉庫作業を実施する者

②の事業者が特定技能所属機関となる場合は、外国人の雇用継続について委託元倉庫業者と共同で責任を持つ内容の書面を作成し、取り交わす必要があります。分野別運用方針では、この書面を「協議書」としています。具体的な様式は、今後公表される運用要領別冊等で確認してください。

出典:国土交通省|物流倉庫分野に係る特定技能上乗せ基準告示国土交通省|物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて

派遣は不可、直接雇用に限られる

物流倉庫分野では、特定技能・育成就労のいずれも雇用形態は「直接雇用に限る」と明記されています。上乗せ基準告示でも、労働者派遣の対象とすることを内容とする契約は認められません。

これは実務上、非常に大きな制約です。倉庫業界では繁閑差を人材派遣で吸収する運用が広く定着していますが、その枠組みでは特定技能外国人を受け入れられません。繁忙期のスポット需要ではなく、通年で安定稼働する定常業務に配置する前提で採用計画を組む必要があります。

農業分野や漁業分野のように派遣形態が認められる分野と混同しないよう、社内説明時には明確に区別してください。受け入れ体制の設計段階から、雇用契約の主体を自社に置くことを前提に検討を進めましょう。

出典:出入国在留管理庁|分野別運用方針(別紙・物流倉庫分野)

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受け入れ要件を整理|試験・日本語・事業者に課される上乗せ基準

物流倉庫分野の受け入れ要件は、外国人本人に課される要件受け入れ企業に課される上乗せ基準の2層構造です。前者は試験と日本語能力、後者はシステム利活用と協議会加入が中心になります。

特にシステム利活用要件は他分野にあまり例のない条件で、倉庫管理システム(WMS)を導入していない事業者は受け入れ自体ができない可能性があります。設備投資の検討を含め、早めの確認が欠かせません。

また、特定技能ルートと育成就労ルートでは求められる水準が段階的に異なるため、どちらで採用するかによって準備すべき教育プログラムも変わります。以下、本人側と企業側の要件を順に見ていきます。

特定技能1号は評価試験と日本語A2.2相当

特定技能1号として受け入れるには、外国人本人が次の2つを満たす必要があります。

  • 技能水準物流倉庫分野特定技能1号評価試験に合格
  • 日本語能力水準:「日本語教育の参照枠」A2.2相当以上

「日本語教育の参照枠」は、CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を日本語教育向けに整理した能力指標です。A2.2相当について、国土交通省のページでは日本語能力試験(JLPT)のN4等が目安として示されています。ただし具体的にどの試験のどのスコアが対応するかは、試験開始の告知とあわせて確認しておきたいところです

なお、物流倉庫分野で受け入れられるのは育成就労と特定技能1号のみで、特定技能2号の受け入れは設定されていません。特定技能1号の在留期間は通算5年が上限のため、長期定着を前提とする場合はこの上限を織り込んだ設計が必要です。

物流倉庫に対応する技能実習2号の職種・作業は設定されていないため、技能実習の良好修了を理由として物流倉庫分野の技能評価試験が免除されるルートはありません。

ただし、他職種の技能実習2号修了者が物流倉庫分野特定技能1号評価試験に合格し、国内で在留資格を変更することは可能です。技能実習2号を良好に修了している場合は、原則として日本語試験が免除されます。留学生など国内在留者も、技能・日本語要件を満たせば採用候補となります。

出典:国土交通省|物流倉庫分野における特定技能外国人・育成就労外国人の受入れについて出入国在留管理庁|分野別運用方針(別紙・物流倉庫分野)

育成就労ルートの試験・日本語・転籍制限

育成就労は、3年間で特定技能1号の水準まで人材を育成する制度です。物流倉庫分野では、次の段階ごとに要件が設定されています。

タイミング

技能要件

日本語要件

就労開始時設定なしA1相当以上、または認定日本語教育機関等での講習受講
1年経過時物流倉庫分野育成就労評価試験(初級)A1相当以上
本人意向の転籍時物流倉庫分野育成就労評価試験(初級)A2.1相当以上
育成就労終了時物流倉庫分野特定技能1号評価試験A2.2相当以上

物流倉庫分野の転籍制限期間は1年に設定されています。この期間の経過に加え、分野が定める技能・日本語水準の修得、転籍先が優良な育成就労実施者(受け入れ企業)であることなどの条件を満たす場合に、本人意向による転籍が認められます。

受け入れ企業にとって重要なのは、育成期間中の教育投資が転籍によって流出しうる点です。日本語学習支援や資格取得支援を含めた定着施策をセットで設計しなければ、コストだけが残る結果になりかねません。

出典:国土交通省|物流倉庫分野に係る分野別運用方針

受け入れ企業(所属機関)に課される上乗せ基準

受け入れ企業側には、一般的な特定技能の基準に加えて分野独自の条件が課されます。主なものは次のとおりです。

  • 入庫管理、在庫管理および出庫管理の機能を有する情報システムの利活用
  • 生産性および労働安全衛生の向上に資する機器または情報システムの継続利活用と、その状況の報告(協議会加入日から1年以内)
  • 分野別協議会の構成員であること、および協議会の決定事項の遵守・協力
  • 国土交通大臣が行う調査・指導への協力
  • 外国人に対する実務経験証明書の交付
  • 類型②の場合は、雇用継続責任に関する協定書の作成

特に1つ目のシステム要件は、紙とスプレッドシートで在庫を管理している中小事業者にとってハードルになり得ます。受け入れ準備は「求人」からではなく「システムと協議会」から始まると考えるのが正確です。

生活支援や届出などの支援業務を自社だけで担うのが難しい場合は、登録支援機関への委託が選択肢になります。採用から定着までを一貫して支援するサービスとしては、GTNの受入れ団体支援サービスのように、行政書類の作成支援や24時間多言語での生活サポートまで含めて対応できる体制もあります。自社の人員体制と照らして、どこまで内製するかを早期に決めておきましょう。

出典:国土交通省|物流倉庫分野に係る特定技能上乗せ基準告示

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育成就労制度との関係|2027年4月以降の受け入れルートを設計する

物流倉庫分野を語るうえで、育成就労制度の理解は避けて通れません。2027年4月1日の施行によって技能実習制度は育成就労制度へ移行し、外国人材受け入れの入口そのものが変わります。

物流倉庫分野は技能実習の対象ではなかったため、他分野のような「技能実習生をそのまま特定技能へ」というルートが使えません。その分、育成就労が長期的な人材供給ルートの中心になります。制度開始当初は特定技能1号での即戦力採用が先行しますが、継続的に人材を確保したい企業ほど、育成就労を前提とした中長期の育成計画が重要になると考えられます。以下では、在留期間の設計と申請スケジュールの2点から、実務上の逆算方法を整理します。

育成就労から特定技能1号へのキャリアパス

育成就労制度は、出入国管理及び難民認定法等の改正法(2024年6月21日公布、法律第60号)に基づき創設され、一部の規定を除き2027年(令和9年)4月1日から施行されます。在留期間は原則3年で、試験不合格の場合は最長1年の延長が認められます。

物流倉庫分野では、育成就労で3年間の実務を積み、物流倉庫分野特定技能1号評価試験と日本語A2.2相当の要件を満たすことで特定技能1号へ移行します。標準的なキャリアパスは、育成就労3年と特定技能1号5年を合わせた8年間です。ただし、育成就労終了時に特定技能1号への移行に必要な試験に不合格となった場合は、一定の要件のもと、再受験に必要な範囲で最長1年間、育成就労を継続できる可能性があります。

この延長が認められた後に特定技能1号へ移行した場合、合計在留期間が8年を超えることもあります。なお、物流倉庫分野には現時点で特定技能2号がないため、育成就労および特定技能1号で認められる期間を超えて雇用を継続するには、本人が要件を満たす別の在留資格への移行が必要です。

出典:出入国在留管理庁|育成就労制度の制度概要・関係法令

申請受付のスケジュールと社内準備の逆算

育成就労制度では、施行日より前に手続きの受付が始まっています。監理支援機関の許可申請は2026年4月15日から受付が始まっており、育成就労計画の認定申請は2026年9月1日から受付が開始されます。

つまり、2027年4月の初回受け入れを狙う企業は、2026年秋の時点で送出機関の選定や監理支援機関との契約、育成就労計画の骨子づくりを終えておく必要があります。逆算すると、社内稟議や予算確保は2026年夏から秋にかけて完了させておきたいところです。

監理支援機関については、外部監査人の設置義務や債務超過の禁止など、従来の監理団体より要件が大幅に強化されました。取引先の監理団体が新制度で許可を取得できるかどうかは、受け入れ計画そのものを左右します。早めに確認しておきましょう。

受け入れの注意点|フォークリフト資格・労働安全・現場コスト

制度要件をクリアしても、現場での運用でつまずくケースは少なくありません。特に倉庫現場では、資格要件と労働安全衛生が最大のリスク要因になります。ここを軽視すると、労災による稼働停止や行政指導という形で跳ね返ります。

在留資格があることと、特定の機械を操作できることは別問題です。また、受け入れコストは初期費用だけでなく、支援や教育にかかる継続費用まで含めた見積もりが欠かせません。採用の可否ではなく「配属してから半年間、安全に働いてもらえる体制があるか」を基準に準備すると、見落としが減ります。以下の3点は、配属前のチェックリストに必ず含めてください。

フォークリフトは最大荷重1トンで必要な資格が変わる

倉庫作業でほぼ必ず論点になるのがフォークリフトです。労働安全衛生法に基づき、必要な資格は最大荷重によって次のように分かれます。

  • 最大荷重1トン以上のフォークリフトの運転業務(道路上の走行運転を除く):技能講習修了者であることが必要
  • 最大荷重1トン未満のフォークリフトの運転業務(道路上の走行運転を除く):特別教育修了者であることが必要

特定技能の在留資格を持っていても、これらの資格がなければフォークリフトは運転できません。技能講習は日本語で実施されるのが一般的で、学科試験も日本語です。外国人向けに通訳を配置したコースを設けている教習機関もありますが、受講枠や実施地域が限られるため、採用決定後すぐに受講計画を立てるのが確実です。

また、日本語能力がA2相当の段階では、専門用語を含む安全講習の理解に支障が出ることもあります。受講前の予習支援や母国語教材による補足が、合格率と定着率を左右します。

出典:厚生労働省 山口労働局|労働安全衛生法の資格等一覧

倉庫現場の労災リスクと多言語の安全教育

倉庫内作業は、労働災害の発生件数が多い領域です。厚生労働省が令和8年5月27日に公表した令和7年の労働災害発生状況によると、休業4日以上の死傷者数は全体で13万5,333人でした。倉庫作業を含む陸上貨物運送事業では1万5,632人が被災しており、業種別で4番目に多い水準です。

事故の型別では、転倒が3万7,195人(前年比2.2%増)と最多で、動作の反動・無理な動作が2万2,166人、墜落・転落が2万864人と続きます。いずれも倉庫内で起こりやすい類型であり、荷役作業や高所ラックからの取り出しなどが典型です。

外国人材の場合、危険を伝える掲示や口頭指示が理解されないことが事故につながるケースがあります。ピクトグラムの活用、母国語版の作業手順書、動画による安全教育など、日本人従業員と同じ内容を確実に伝える工夫が不可欠です。実施記録を残しておくことは、万一の際のコンプライアンス対応としても有効です。

出典:厚生労働省|令和7年の労働災害発生状況を公表

コストと社内体制の作り方

特定技能外国人の受け入れには、給与以外にも継続的なコストが発生します。主な費目は、支援計画の実施費用(自社実施または登録支援機関への委託費)、住居確保にかかる費用、渡航費、各種届出の事務コスト、日本語学習支援の費用などです。

ここで注意したいのは、支援コストを削ることが離職リスクに直結するという点です。特定技能1号では、事前ガイダンス、住居確保・生活に必要な契約支援、生活オリエンテーション、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応、定期的な面談など10項目が義務的支援として定められており、形式だけの対応では定着しません。制度上は同一分野内での転職が可能な点も見落とせません。

出典:出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について

現実的な進め方としては、まず受け入れ人数を絞ってパイロット導入し、教育資料や多言語マニュアルを整備してから拡大する方法が有効です。「1人目の受け入れで作った仕組みが、10人目のコストを下げる」という発想で、初期の体制構築に投資する価値があります。

いまから着手すべき準備|2026年後半のアクションプラン

試験や協議会の開始時期が未定である以上、「発表を待ってから動く」という判断も一見合理的に見えます。しかし受入れ見込数は上限として運用されるため、準備が整っている企業から順に枠を確保していく展開が想定されます。2026年後半に着手できる準備を、優先度順に整理しました。

優先度

準備項目

内容

自社の類型判定①・②・③のいずれに該当するか、許認可の有無を確認
システム要件の確認入出庫・在庫管理機能を持つ情報システムの導入状況を点検
対象業務の棚卸し配属予定ポストの作業内容が倉庫内作業に収まるか照合
雇用形態の見直し派遣・請負に依存している工程を直接雇用へ切り替え可能か検討
支援体制の設計自社実施か登録支援機関委託かを決定し、費用を予算化
安全衛生・資格計画フォークリフト資格の取得計画と多言語安全教育の準備
情報収集の仕組み化国土交通省ページの定期確認と社内共有ルートの整備

特にシステム要件と雇用形態の見直しは、決定から実装まで数か月を要する項目です。試験開始が公表されてから着手したのでは間に合わない可能性が高いため、先行して進めることをおすすめします。

一方で、送出機関との契約や本格的な求人活動は、試験制度の詳細が固まってから判断しても遅くありません。確定情報が必要な領域と、社内で先行できる領域を切り分けることが、無駄のない準備につながります。

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