外国人雇用の補助金・助成金【2026年度】国の制度・自治体の例と申請前に確認したい要件 - GTN MAGAZINE
日本語
日本語
English

外国人雇用の補助金・助成金【2026年度】国の制度・自治体の例と申請前に確認したい要件

「外国人を雇うと補助金が出る」「1人当たり72万円もらえる」といった話を聞き、自社でも使えるのか調べている方もいるのではないでしょうか。外国人雇用に関わる公的な支援には、厚生労働省の助成金と、都道府県や市区町村が独自に設けている補助金・助成金があり、対象となる取組や申請のタイミングは制度ごとに異なります。

この記事では、外国人雇用で使える国の助成金と自治体の制度の例、2026年8月に公示された外国人労働者就労環境整備助成コースの見直し案、申請の順番を間違えないための注意点を、厚生労働省や自治体の公表資料をもとに整理します。採用から定着までのどの段階でどの制度が関わるかを、架空の場面に当てはめた例もあわせてご紹介いたします。なお、この記事の内容は2026年9月時点の情報です。 

目次

外国人を雇用すると補助金・助成金はもらえる?最初に押さえたい仕組み

国の助成金は「外国人を雇ったこと」だけでは支給されない

外国人雇用に関わる国の助成金として、厚生労働省は人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)を設けています。厚生労働省は、外国人労働者は日本の労働法制や雇用慣行などに関する知識の不足や言語の違いなどから、労働条件・解雇などに関するトラブルが生じやすい傾向にあるとしています。この助成金は、外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成するものです。

主な受給要件には、認定を受けた就労環境整備計画に基づいて、雇用労務責任者の選任や就業規則等の多言語化などの就労環境整備措置を新たに導入し、外国人労働者に対して実施することが含まれています。そのため、外国人を雇い入れただけでは、この助成金の要件を満たすことにはなりません。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年9月時点)

外国人にも使えるほかの国の助成金も、それぞれの制度が定める要件を満たした場合に支給されます。キャリアアップ助成金の「正社員化コース」は、有期雇用労働者等を正規雇用労働者に正社員転換した場合に事業主に助成する制度です。人材開発支援助成金は、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)は、職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を試行雇用する事業主に助成する制度で、対象労働者の要件や、ハローワーク等の紹介により雇い入れることなどが条件です。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金(正社員化コース)のご案内」(令和8年4月8日版)/厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」(令和8年8月3日版)/厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」(2026年9月時点)

国の助成金を検討するときは、「外国人を何人雇うか」よりも、「自社がどの制度の要件に当てはまる取組を、いつ始めるか」から整理すると、使える制度を絞り込みやすくなります。

「外国人を1人雇うと72万円」は何の金額か

インターネット上では「外国人を1人雇うと72万円」といった説明を見かけることがあります。72万円という数字は、外国人労働者就労環境整備助成コースの以前の支給額に出てくる金額です。

厚生労働省が令和6年4月1日から令和7年3月31日までに計画を提出した事業主向けに掲載しているリーフレットでは、支給額は賃金要件を満たした場合は支給対象経費の2/3(上限額72万円)、要件を満たしていない場合は支給対象経費の1/2(上限額57万円)とされていました。支給対象経費として挙げられていたのは、通訳費、翻訳機器導入費、翻訳料、弁護士・社会保険労務士等への委託料、社内標識類の設置・改修費です。72万円は、外国人1人ごとに支給される額ではなく、就労環境の整備にかかった経費に対する上限額でした。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年9月時点)/厚生労働省「外国人労働者の職場定着のために助成金を活用しませんか?」(令和6年4月1日版)

令和7年4月1日以降に計画を提出する場合の支給額は、**1制度導入につき20万円(上限80万円)**で、令和8年4月1日以降に計画を提出する場合も同じです。この助成金は事業主単位(企業単位)で支給され、事業所単位で支給するものではないとされています。外部の機関や専門家に委託した場合は、通訳費や翻訳料などが支給対象経費として考えられるとされています。Q&Aでは、自社職員が就業規則の多言語化(翻訳)を行った場合も、適切に導入・実施が行われれば支給対象経費になると回答されています。なお、この支給額は、2026年8月に公示された省令案で見直しが示されています(後述)。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年9月時点)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和7年4月1日現在)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)

助成金と補助金の違いは「実施する機関」と「申請の順番」で確かめる

「助成金」と「補助金」は、名称だけで制度の中身を見分けにくい言葉です。たとえば、この記事で紹介する自治体の制度のうち、東京都の制度の名称は「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」、横浜市の制度の名称は「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金」です。

制度を比べるときは、誰が実施していて、どの順番で手続きを進めるかを確かめると整理しやすくなります。

項目国の助成金(例:外国人労働者就労環境整備助成コース)自治体の制度(例:横浜市・東京都)
申請先本社の所在地を管轄する都道府県労働局(ハローワークに提出できる場合もある)各自治体(横浜市、東京都など)
手続きの順番計画の作成・提出 → 措置の導入・実施 → 支給申請 → 支給交付申請 → 交付決定 → 事業の実施 → 実績報告 → 受領
予算との関係予算の範囲内で支給される横浜市は予算上限に達した場合に受付を締め切り、先着順で受け付ける
対象就労環境整備措置1つの導入につき20万円(上限80万円)採用にかかる経費(横浜市)、日本語教育等の経費(東京都)など制度ごとに定められている

どちらにも共通するのは、手続きと取組の順番を守らないと、支給・交付の対象にならない点です。国の外国人労働者就労環境整備助成コースでは、計画を都道府県労働局等に提出するよりも前に措置に係る業務を外部機関等に委託した場合や、費用の一部又は全部を支払っている場合は支給対象となりません。横浜市の制度では、補助金交付決定以前に特定技能外国人の就労が開始している場合は補助対象外です。一方、登録支援機関との契約は、令和8年4月1日以降に着手(契約)したものであれば、交付申請の前でも対象です。東京都の制度では、助成対象期間は交付決定の日から始まります。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金 申請の手引き」(令和8年度)/東京都産業労働局「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」(令和8年度)

外国人雇用で使える主な国の助成

外国人雇用で使える国の助成金には、外国人労働者を対象にした外国人労働者就労環境整備助成コースと、外国人に限らず対象になる一般の雇用関係助成金があります。一般の助成金は外国人だけを対象にしたものではありませんが、在留資格によって対象外になる場合がある点に注意が必要です。主な制度を表にまとめます。

助成金・コース支給の対象になる取組支給額外国人に関する主な注意点
人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)雇用労務責任者の選任、就業規則等の多言語化など1制度導入につき20万円(上限80万円)雇用保険の被保険者である外国人労働者の雇用が前提。2026年10月公布予定の省令案で見直しが示されている
キャリアアップ助成金(正社員化コース)有期雇用労働者等の正社員転換中小企業が有期雇用労働者を転換した場合、1人当たり40万円(重点支援対象者は80万円)外国人技能実習生と在留資格「特定技能第1号」の人は対象とならない
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練人材育成訓練(中小企業の正規雇用労働者等)は経費助成45%、賃金助成1人1時間当たり800円日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習は助成対象とならない
トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)就職が困難な求職者等の試行雇用支給対象者1人につき月額4万円(最長3か月)ハローワーク等の紹介による雇入れが条件。紹介日に学校に在籍している人は対象労働者に当たらない

金額や要件は年度ごとに改定されることがあります。最新の情報は公式サイトでご確認ください。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「キャリアアップ助成金(正社員化コース)のご案内」(令和8年4月8日版)/厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A」(令和8年7月29日)/厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」(令和8年8月3日版)/厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」(2026年9月時点)

人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)

外国人労働者の職場定着に向けた就労環境の整備を支援する助成金です。事業主が助成金を受給するには、「雇用労務責任者の選任」と「就業規則等の多言語化」の2つの措置に加え、「苦情・相談体制の整備」「一時帰国のための休暇制度の整備」「社内マニュアル・標識類等の多言語化」のいずれかの措置を導入し、実施することが必要です。

支給額は1制度導入につき20万円(上限80万円)です。計算上、必須の2つと選択の1つを導入・実施すると60万円、選択を2つにすると80万円になります。対象になる外国人労働者は、雇用保険の被保険者であることなどが条件で、在留資格にかかわらず対象となります。Q&Aでは、雇用している外国人労働者(雇用保険被保険者)が1人の場合でも計画を提出でき、大企業と中小企業のいずれも利用できると回答されています。

なお、この助成金は2026年8月15日に省令案が公示され、支給額などの見直しが予定されています。要件の詳細、申請のスケジュール、見直しの内容は、次の章で説明します。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)

キャリアアップ助成金(正社員化コース)

有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者を含む、いわゆる非正規雇用労働者を正規雇用労働者に正社員転換した場合に助成する制度です。1人当たりの助成額は次のとおりです。

対象者・企業規模有期雇用労働者から転換無期雇用労働者から転換
重点支援対象者・中小企業80万円(40万円×2期)40万円(20万円×2期)
重点支援対象者・大企業60万円(30万円×2期)30万円(15万円×2期)
上記以外・中小企業40万円(40万円×1期)20万円(20万円×1期)
上記以外・大企業30万円(30万円×1期)15万円(15万円×1期)

重点支援対象者とは、雇入れから3年以上の有期雇用労働者、雇入れから3年未満で過去5年間に正規雇用労働者であった期間が合計1年以下かつ過去1年間に正規雇用労働者として雇用されていない有期雇用労働者、派遣労働者・母子家庭の母等・人材開発支援助成金の特定の訓練修了者のいずれかに該当する人です。受給には、正規雇用労働者に転換する前日までに「キャリアアップ計画」を作成・提出していること、転換制度を就業規則などに規定していること、転換後6か月間の賃金を転換前6か月間より3%以上増額させていることの3つの条件を満たす必要があります。

外国人については、キャリアアップ助成金のQ&Aで、正社員化コースでは外国人技能実習生は「帰国することが前提の制度であるため」対象とならないとされています。在留資格「特定技能第1号」の人も、在留期間5年(更新不可)の制限があり帰国が前提となっているため、対象とならないとされています。一方、就労目的で在留が認められる外国人、在留資格「永住者」「定住者」「特定技能第2号」の人は、対象となり得るとされています。

出典:厚生労働省「キャリアアップ助成金(正社員化コース)のご案内」(令和8年4月8日版)/厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A」(令和8年7月29日)

人材開発支援助成金(人材育成支援コース)

雇用する労働者に、職務に関連した知識・技能を習得させるための訓練を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。人材育成支援コースには、人材育成訓練、認定実習併用職業訓練、有期実習型訓練、中高年齢者実習型訓練の4つの訓練メニューがあります。このうち人材育成訓練は、職務に関連した知識・技能を習得させるための10時間以上の訓練(OFF-JT)が対象です。

人材育成訓練の経費助成率は、正規雇用労働者等の場合は45%(中小企業以外は30%)、有期契約労働者等の場合は70%です。賃金助成は1人1時間当たり800円(中小企業以外は400円)です。1労働者1訓練当たりの経費助成には限度額があり、中小企業では実訓練時間数が10時間以上100時間未満で15万円、100時間以上200時間未満で30万円、200時間以上で50万円です。職業訓練実施計画届は、訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間に各都道府県労働局へ提出します。

外国人への訓練について、人材開発支援助成金のQ&Aでは、訓練対象者が外国人であるか否かにかかわらず、支給要件を満たすものであれば支給対象となると回答されています。ただし、外国人技能実習生は、OJTへの実施助成を含むもの(認定実習併用職業訓練、有期実習型訓練)は対象外です。日本語の訓練については、職務に関連した専門用語等を習得させるための訓練であれば対象となり得ますが、日常会話程度の日本語の習得のみを目的とする講習は助成対象となりません。

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」(令和8年8月3日版)/厚生労働省「人材開発支援助成金事業主様向けQ&A(人材育成支援コース)」(令和6年11月版)

トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)

職業経験の不足などから就職が困難な求職者等を、無期雇用契約へ移行することを前提に、一定期間試行雇用(トライアル雇用)する事業主に助成する制度です。ハローワークまたは民間の職業紹介事業者等の紹介により雇い入れ、原則3か月のトライアル雇用をすることが条件です。

対象労働者は、たとえば紹介日の前日から過去2年以内に2回以上離職や転職を繰り返している人、離職している期間が1年を超えている人など、厚生労働省が定める要件に該当する人に限られます。紹介日において学校に在籍している人は対象労働者に当たりません。要件の中に国籍は挙げられていないため、雇い入れる外国人がこれらの要件に当てはまるかどうかを個別に確認することになります。

支給額は支給対象者1人につき月額4万円(母子家庭の母等または父子家庭の父の場合は5万円)で、雇入れの日から1か月単位で最長3か月間を対象に、各月の月額の合計額がまとめて1回で支給されます。

出典:厚生労働省「トライアル雇用助成金(一般トライアルコース)」(2026年9月時点)

特定技能人材をお探しの企業様へ即戦力となる特定技能人材をご紹介します介護・外食業・宿泊業・飲食料品製造業など無料外国人材のご相談はこちら ›アクティブ登録支援者数約2,000人海外から人材紹介できる国10カ国

外国人労働者就労環境整備助成コースの要件と申請の流れ

対象になる事業主と「外国人労働者」の範囲

ガイドブックでは、助成金の対象事業主として次の要件が示されています。

  • 雇用保険の適用事業の事業主であること
  • 外国人雇用状況届出を適正に届け出ている事業主であること
  • 認定された就労環境整備計画に基づき、計画期間内に就労環境整備措置を新たに導入し、対象事業所の外国人労働者に対して実施した事業主であること
  • 過去にこの助成金を受給している場合、最後の支給決定日の翌日から起算して3年間が経過していること
  • 就労環境整備計画期間の初日の前日から起算して6か月前の日から計画期間の末日までの期間に、全ての事業所で雇用保険被保険者である外国人労働者を解雇等していないこと
  • 外国人労働者の離職率の目標を達成していること(詳しくは後述)

ここでいう「外国人労働者」は、外国人雇用状況届出の対象となる者であること、事業主に直接雇用され労働契約を締結していること、雇用保険の被保険者(短期雇用特例被保険者、日雇労働被保険者を除く)であることの全てに該当する労働者で、在留資格にかかわらず対象となります。外国人雇用状況届出の対象となるのは日本国籍を有しない方で、特別永住者と在留資格「外交」「公用」の方は含まれません。

Q&Aでは、技能実習生も含まれること、正社員以外でも雇用保険の被保険者となる場合は対象となること、雇用している外国人労働者(雇用保険被保険者)が1人でも計画を提出できること、大企業も利用できることが示されています。一方、現在外国人を雇用していない場合は計画を提出できず、採用内定している外国人労働者がいる場合は、雇入れ後に計画の提出を検討するよう案内されています。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)

必須メニューと選択メニュー、特定技能外国人を雇う事業所の注意点

就労環境整備措置のうち、必須の2つの内容は次のとおりです。

  • 雇用労務責任者の選任:雇用労務責任者を事業所ごとに選任して氏名を掲示するなどで外国人労働者に周知し、計画期間中に外国人労働者と1回以上の面談(テレビ電話による面談を含む)を行って結果を書面にまとめ、法令違反を受けた場合に相談できる関係行政機関(労働基準監督署等)の案内を周知する
  • 就業規則等の多言語化:就業規則、労働協約、労働条件通知書、雇用契約書のいずれかを、外国人労働者の母国語その他の使用する言語、または平易な(やさしい)日本語で記載し、計画期間中に周知する

雇用労務責任者は、その事業所で雇用されている労働者から選任する必要がありますが、専任である必要はなく、外国人雇用管理業務を担当する人事課長等が兼任してもよいとされています。

選択の措置は、「苦情・相談体制の整備」「一時帰国のための休暇制度の整備」「社内マニュアル・標識類等の多言語化」の3つです。このうち「一時帰国のための休暇制度の整備」は、外国人労働者が一時帰国を希望した場合に必要な有給休暇を取得できる制度を、就業規則又は労働協約の変更により新たに定めるものです。この有給休暇は、労働基準法第39条に定める年次有給休暇として与えられるものとは別のもので、1年間に1回以上の連続した5日以上の有給休暇が取得できる内容である必要があります。

特定技能外国人を雇用している事業所、または雇用しようとしている事業所は、「苦情・相談体制の整備」ではなく、「一時帰国のための休暇制度の整備」か「社内マニュアル・標識類等の多言語化」を選択するよう案内されています。新たに整備された苦情・相談体制が、特定技能外国人を雇用する事業所に設けられたものである場合は、就労環境整備措置の対象とならないためです。技能実習の監理団体、または監理団体になる予定がある事業所も同じ扱いです。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)

離職率の要件と外国人労働者雇用労務責任者講習

支給を受けるには、次の2つの目標に該当する必要があります。

  • 外国人労働者の離職率が15%以下であること(離職率算定期間の初日における外国人労働者数が2人以上10人以下の場合は、算定期間における外国人労働者離職者数が1人以下であること)
  • 離職率算定期間の末日まで継続して雇用している外国人労働者が1人以上いること

「離職率算定期間」は、就労環境整備措置の実施日の翌日から起算して6か月を経過するまでの期間です。離職者数には、定年退職、重責解雇、期間の定めがあり当初より更新がない契約の満了による離職、在留期間の上限を満了したことに伴い母国等に帰国した人などは含まれません。在留期間に上限がある在留資格として、「特定技能1号」「技能実習」などが挙げられています。

一方、「外国人労働者雇用労務責任者講習」を受講し、就労環境整備措置の実施日の前日から起算して6か月前までの期間に雇用保険被保険者である外国人労働者を解雇等していない場合は、上の2つの目標に該当することの確認は不要とされています。この場合は、措置の実施日の翌日から2か月以内に支給申請ができます。ただし、計画期間の末日までの解雇等の有無を確認する必要があるため、支給決定は就労環境整備計画期間の末日以降になります。

なお、講習の受講による離職率の要件の免除は、2026年8月に公示された省令案で廃止が示されており、離職率の算定期間も「就労環境整備計画期間の末日の翌日から6か月」に変更することが示されています(後述)。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)

この講習はオンラインで開催され、受講料は無料、受講時間は約3時間30分です。厚生労働省の指針では、外国人労働者を常時10人以上雇用する事業者は外国人労働者雇用労務責任者を選任することとされていますが、講習は常時10人に満たない事業所の方も受講できます。

出典:厚生労働省「外国人労働者雇用労務責任者講習(オンライン講習サイト)」(令和8年度)

計画の提出期限から支給申請までのスケジュール

就労環境整備計画の計画期間は3か月以上1年以内で、計画開始日は、計画申請時に最初に就労環境整備措置を導入するとした月の初日です。計画は、計画期間の初日からさかのぼって6か月前の日から1か月前の日までに、本社の所在地を管轄する都道府県労働局に提出します(ハローワークに提出できる場合もあります)。計画は一度に1つずつ提出する決まりで、次の計画は、前の計画に係る支給決定日の翌日から起算して3年が経過した日などから提出できます。

ガイドブックには、次のような例が示されています。

手続き日付の例
計画書の認定申請2026年6月1日
就労環境整備計画期間2026年8月1日〜2027年7月31日
就労環境整備措置の実施日2027年6月30日
外国人労働者離職率の算定期間2027年7月1日〜2027年12月31日
支給申請期間2028年1月1日〜2028年2月29日

この例では、計画の提出から支給申請期間まで1年半以上あります。計画を出してから支給を受けるまでの期間を見込んで、資金計画を立てておくことが大切です。

外部機関等に委託する場合は、就労環境整備計画期間の初日から末日までの間に支払いが完了している必要があります。計画期間の末日の翌日に支払った翻訳費用は、支給対象経費になりません。計画を提出するよりも前に委託した場合や、費用と認められる金銭(預かり金を含む)の一部又は全部を支払っている場合も、支給対象となりません。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)

2026年10月公布予定の省令案で示された見直しの内容

厚生労働省は2026年8月15日、外国人労働者就労環境整備助成コースの支給額等を見直す「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案」を公示し、9月13日まで意見を募集しました。改正の趣旨は、「今後、より多くの事業主が就労環境整備に取り組み、外国人労働者の職場定着の促進が図られるよう、支給額等について見直しを行うため」とされています。公布日は令和8年(2026年)10月(予定)、施行期日は公布の日とされています。

項目現行制度省令案(2026年10月公布予定・公布の日に施行予定)
措置1 雇用労務責任者の選任、2 就業規則等の多言語化に加え、3 苦情・相談体制の整備、4 一時帰国のための休暇制度の整備、5 社内マニュアル・標識類等の多言語化のいずれかを選択1 雇用労務責任者を選任し、当該責任者による苦情・相談対応、2 就業規則・社内マニュアル等の多言語化に加え、3 一時帰国のための休暇制度の整備を講じた場合は上乗せ
支給額措置を1つ講じるごとに20万円(上限80万円)1と2の措置で20万円、あわせて3の措置を講じた場合は追加で5万円(合計最大25万円)
離職率の要件外国人労働者雇用労務責任者講習受講証明書を提出した事業主は、離職率の要件を要しない講習受講による免除規定を廃止
離職率の算定期間措置の実施日の翌日から6か月計画期間の末日の翌日から6か月

経過措置として、この省令の施行前に就労環境整備計画を都道府県労働局長に提出した事業主には、改正前の要件・支給額により支給することとされています。計画を提出した日が施行日の前か後かで、適用される要件と支給額が変わる見込みです。

これらは2026年8月15日に公示された案の内容で、公布日と最終的な内容は今後確定します。計画の提出を検討している場合は、厚生労働省の発表と管轄の都道府県労働局で最新の取扱いを確認してください。

出典:厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)

自治体の外国人雇用の補助金・助成金の例

自治体の制度は、それぞれの自治体が独自に設けているもので、この記事で紹介する横浜市と東京都の制度でも、対象になる在留資格、費用、申請期間はそれぞれ異なります。ここでは、採用段階の費用を補助する横浜市の制度と、雇用後の日本語教育などを助成する東京都の制度を例に、確認しておきたい点を整理します。事業所の所在地の自治体に同じような制度があるかどうかは、各自治体の公式サイトや担当窓口で確認してください。

横浜市:特定技能外国人の採用にかかる費用の補助

「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金」は、市内中小企業者等における外国人材の雇用と定着を促進することを目的に、登録支援機関を活用して特定技能外国人を雇用する際に要する経費の一部を補助する制度です。

補助対象者は、横浜市内に1年以上事業所(本社)を置く中小企業者等で、行政機関等が主催する外国人材の雇用や定着に係るセミナー等に参加していること、横浜市の脱炭素取組宣言制度に基づき脱炭素取組宣言を行っていることの全てに合致する必要があります。

補助対象経費は、人材紹介契約等に基づき登録支援機関に支払う手数料、内定者日本語学習・受入サポート等に係る費用のほか、証明に応じて、在留資格認定証明書交付代行料などの在留資格の取得等に係る費用や、特定技能外国人が日本へ渡航する際の航空機費用も対象です。国や他の地方公共団体の補助金等を補助対象経費の一部に充当した場合は、その額を控除した額が補助対象経費になります。

補助額は、補助対象経費(消費税及び地方消費税相当額を除く)の1/3以内で、20万円が上限です。予算の範囲内での交付となるため、補助率は変更となる場合があるとされています。交付を受けられるのは1社当たり1回、1人までです。

令和8年4月1日以降に着手(契約)した事業が対象ですが、補助金交付決定以前に特定技能外国人の就労が開始している場合は補助対象外で、就労開始は2027年3月31日までに完了する必要があります。申請受付期間は2026年6月12日から2027年2月26日まで(予定)で、予算上限に達した場合は受付が締め切られ、受付は先着順です。交付申請の審査には、申請書の受理後2週間程度かかるとされています。

出典:横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金」(2026年8月27日更新)/横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金 申請の手引き」(令和8年度)

東京都:外国人従業員の日本語教育などの研修費用の助成

「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」は、中小企業における外国人従業員の定着を促進するとともに、ウクライナ避難民の就労を後押しするため、外国人従業員への日本語教育等に要する経費を助成する東京都の事業です。一般コースとウクライナ避難民採用企業コースがあります。

一般コースの対象は都内中小企業等で、対象になる外国人従業員は、助成事業実施期間中に継続して直接雇用され、常時勤務する事業所の所在地が都内の人です。在留資格は、入管法別表第1の2と別表第1の5に定める在留資格のうち日本での就労が可能なものが対象で、「高度専門職」「経営・管理」「法律・会計業務」「医療」「研究」「教育」「企業内転勤」「興行」「介護」の人や、資格外活動許可を受けて就労している人などは対象外とされています。

助成対象事業は、日本語能力試験おおむねN2レベル以下の外国人従業員を対象とした、ビジネスに必要な日本語教育等です。日本語教員による日本語教育、日本語教材の作成、ビジネスマナー講座、異文化理解に係る講座が対象で、ビジネスマナー講座と異文化理解講座は、日本語教員による日本語教育か日本語教材の作成と組み合わせて実施する必要があります。標準プランは50時間以上、短時間プランは30時間以上です。

コース助成率上限額
一般コース経費の1/2標準プラン25万円、短時間プラン15万円
ウクライナ避難民採用企業コース経費の10/10標準プラン50万円、短時間プラン30万円

令和8年度の募集期間は2026年4月9日から2027年1月14日までです。助成対象期間は交付決定の日から2027年3月31日までで、交付申請から交付決定までは1か月程度かかるとされています。国の人材開発支援助成金では日常会話程度の語学の習得のみを目的とする講習は対象外ですが、東京都の制度はビジネスに必要な日本語教育を対象にしている点が異なります。

出典:東京都産業労働局「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」(令和8年度)/東京都「令和8年度 中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金募集の受付を開始します!」(2026年4月9日)/厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」(令和8年8月3日版)

自社の地域の制度を探すときに確かめたいこと

自治体の制度を探すときは、都道府県と市区町村の両方の公式サイトで、産業振興や雇用・労働を担当する部署の情報を確認する方法があります。制度が見つかったら、横浜市と東京都の例から分かるように、次の点を募集要項や申請の手引きで確かめておくと、申請の時期を逃しにくくなります。

  • 対象になる在留資格:横浜市は特定技能外国人の雇用が対象で、東京都は一部の在留資格が対象外です
  • 申請と取組の順番:横浜市は交付決定前に就労が始まると対象外になり、東京都は交付決定の日から助成対象期間が始まります
  • 予算と受付方法:横浜市は予算上限に達すると受付を締め切り、先着順で受け付けます
  • 回数・人数の上限:横浜市は1社当たり1回、1人までです
  • ほかの補助金等との関係:横浜市は国や他の地方公共団体の補助金等を充当した額を補助対象経費から控除します

国の外国人労働者就労環境整備助成コースのガイドブックでも、支給対象となる措置の導入等に対して他の助成金等を受けている場合は、この助成金の支給を受けられないか、どちらか一方を選択する場合があるとされています。国と自治体の制度を組み合わせるときは、取組ごとに対象を分けたうえで、それぞれの窓口に確認することが大切です。

出典:横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金 申請の手引き」(令和8年度)/東京都産業労働局「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」(令和8年度)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)

場面別に見る:採用から定着までの制度の組み合わせ

ここでは、採用から定着までのどの段階でどの制度が関わるかを、架空の場面に当てはめて説明します。いずれも制度の仕組みを説明するための架空の例で、実在の企業の事例ではありません。実際に支給されるかどうかは、各制度の窓口が個別に審査して判断します。

例1:横浜市内の中小企業が特定技能外国人を初めて1人採用する場合

横浜市内に1年以上本社を置く食品製造の中小企業が、登録支援機関を通じて特定技能外国人を初めて1人採用する場面を想定します。この企業は、横浜市の補助金の補助対象者の要件(セミナー等への参加、脱炭素取組宣言など)を満たしているものとします。

採用の段階で検討できるのは、横浜市の補助金です。国の外国人労働者就労環境整備助成コースは、計画を提出する段階で外国人を雇用している必要があるとQ&Aで示されているため、雇入れの後に検討します。横浜市の補助金では、登録支援機関に支払う人材紹介の手数料などが補助対象経費になり、たとえば補助対象経費が60万円の場合、計算上はその1/3の20万円で、上限の20万円に収まります。補助金交付決定以前に就労が開始していると補助対象外になるため、就労開始日は、交付決定の後、2027年3月31日までの間に設定する必要があります。

雇い入れた後は、外国人雇用状況の届出を行います。雇用保険の被保険者となる場合は、雇用保険被保険者資格取得届を雇入れの翌月10日までに提出することで届出を行ったことになります。

定着の段階では、外国人労働者就労環境整備助成コースを検討できます。特定技能外国人を雇用している事業所なので、現行制度では、選択メニューは「一時帰国のための休暇制度の整備」か「社内マニュアル・標識類等の多言語化」を選びます。計画を出せるのは雇入れの後になるため、2026年10月公布予定の省令案が案どおりに施行された後に計画を出す場合は、案では最大25万円(雇用労務責任者の選任と苦情・相談対応、多言語化の措置で20万円、一時帰国のための休暇制度を加えると追加で5万円)です。施行の前に計画を出せた場合は、現行制度で必須の2つと選択の1つを導入・実施すれば、計算上は60万円です。なお、在留資格「特定技能第1号」の人は、キャリアアップ助成金の正社員化コースの対象とならないとされています。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)/横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金 申請の手引き」(令和8年度)/厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年9月時点)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)/厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A」(令和8年7月29日)

例2:都内のIT企業が外国人エンジニア3人の定着に取り組む場合

東京都内に本社を置く中小のソフトウェア開発会社が、都内の事業所で在留資格「技術・人文知識・国際業務」で働く外国人エンジニア3人(いずれも雇用保険の被保険者)を雇用している場面を想定します。

外国人労働者就労環境整備助成コースでは、雇用労務責任者を選任し、就業規則を英語に多言語化し、一時帰国のための休暇制度を新設すると、3つの措置の導入・実施になり、現行制度では計算上60万円です。省令案が施行された後に計画を提出する場合は、案では最大25万円になります。離職率算定期間の初日の外国人労働者数が2人以上10人以下なので、現行制度での目標は「算定期間における外国人労働者離職者数が1人以下」になります。

日本語でのコミュニケーションを支える研修には、東京都の研修等支援助成金を検討できます。「技術・人文知識・国際業務」は東京都の制度で対象外として挙げられている在留資格に含まれていないため、日本語能力試験おおむねN2レベル以下の社員に、日本語教員による50時間以上の日本語教育を行う場合は、標準プランとして経費の1/2(上限25万円)が助成の対象になり得ます。助成対象期間は交付決定の日から始まるため、研修の開始日は交付決定の後に設定します。

業務で使う専門用語を学ぶ研修であれば、国の人材開発支援助成金の対象となり得ます。複数の制度を使う場合は、どの研修をどの制度で申請するかを分けて計画し、併用できるかどうかをそれぞれの窓口に確認しておくことが大切です。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)/東京都産業労働局「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」(令和8年度)/厚生労働省「人材開発支援助成金事業主様向けQ&A(人材育成支援コース)」(令和6年11月版)

特定技能人材をお探しの企業様へ即戦力となる特定技能人材をご紹介します介護・外食業・宿泊業・飲食料品製造業など無料外国人材のご相談はこちら ›アクティブ登録支援者数約2,000人海外から人材紹介できる国10カ国

申請前に確認したい共通の注意点

取組を始める前に計画・交付申請を出す

次の制度は、取組・支出・就労開始の前に、決められた手続きを済ませておく必要があります。

制度取組の前に必要な手続き
外国人労働者就労環境整備助成コース計画期間の初日の6か月前の日から1か月前の日までに計画を提出。計画提出前の委託や支払いは支給対象外
キャリアアップ助成金(正社員化コース)正規雇用労働者に転換する前日までにキャリアアップ計画を作成・提出
人材開発支援助成金(人材育成支援コース)訓練開始日から起算して6か月前から1か月前までの間に職業訓練実施計画届を提出
横浜市の補助金特定技能外国人の就労開始は補助金交付決定の後(2027年3月31日まで)。登録支援機関との契約は、2026年4月1日以降なら交付申請の前でも対象
東京都の研修等支援助成金助成対象期間は交付決定の日から

取組を先に始めてしまうと、要件を満たしていても支給の対象にならない場合があります。また、人材開発支援助成金のパンフレットでは、計画届を提出したことをもって助成金が確実に支給されるものではないとされています。外国人の採用や研修の予定が決まった段階で、使う予定の制度の手続きの期限を逆算して確認しておくことが大切です。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「キャリアアップ助成金(正社員化コース)のご案内」(令和8年4月8日版)/厚生労働省「人材開発支援助成金(人材育成支援コース)のご案内」(令和8年8月3日版)/横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金 申請の手引き」(令和8年度)/東京都産業労働局「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」(令和8年度)

雇用保険の加入と外国人雇用状況の届出

外国人雇用状況の届出は、外国人の雇入れと離職の際に、全ての事業主が届け出る必要があります。対象は外国人労働者(在留資格「外交」「公用」と特別永住者を除く)で、届出を怠ったり虚偽の届出を行ったりした場合は、30万円以下の罰金の対象となります。

区分届出の方法期限
雇用保険の被保険者となる外国人雇用保険被保険者資格取得届・資格喪失届の提出で届出を行ったことになる雇入れは翌月10日まで、離職は翌日から起算して10日以内
雇用保険の被保険者とならない外国人外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出雇入れ・離職とも翌月末日まで

ほかの会社から転職してきた外国人を雇い入れるときも、退職したときも、この届出の対象です。届出の際は、外国人労働者の在留カード又は旅券等の提示を求め、届け出る事項を確認します。外国人労働者就労環境整備助成コースでは、外国人雇用状況届出を適正に届け出ていることが対象事業主の要件になっています。

雇用保険は、1週間の所定労働時間が20時間以上で、31日以上の雇用見込みがあれば、パートやアルバイトという名称にかかわらず被保険者として加入する必要があります。なお、2024年に成立した改正雇用保険法により、週所定労働時間の要件は2028年(令和10年)10月1日から「10時間以上」に変更されます。

出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」(2026年9月時点)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/東京労働局「被保険者に関するQ&A」(2026年9月時点)/厚生労働省「雇用保険法等の一部を改正する法律(令和6年法律第26号)の概要」(令和6年5月10日成立)

留学生のアルバイトと資格外活動の時間制限

留学生をアルバイトとして雇う場合は、資格外活動許可と雇用保険の扱いを確認しておく必要があります。

在留資格「留学」の人が、**1週について28時間以内(教育機関の長期休業期間にあっては、1日について8時間以内)**の報酬を受ける活動を行う場合は、資格外活動の包括許可が必要です。勤務時間を決めるときは、資格外活動許可を受けているかどうかと、勤務時間がこの範囲に収まるかどうかを確かめておくことが大切です。

雇用保険については、資格外活動許可を受けて働いている外国人留学生のうち、「昼間学生」に該当する人は原則として被保険者となりません。夜間学部等へ通う学生は「昼間学生」ではないため、週所定労働時間が20時間以上かつ31日以上の雇用見込みを満たしている場合は被保険者に該当します。

外国人労働者就労環境整備助成コースの「外国人労働者」は雇用保険の被保険者であることが条件のため、雇用保険の被保険者とならない留学生アルバイトは、この助成金の対象の外国人労働者には含まれません。

出典:出入国在留管理庁「「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について」(2026年9月時点)/東京労働局「被保険者に関するQ&A」(2026年9月時点)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)

支給までの期間と不正受給への措置

外国人労働者就労環境整備助成コースのガイドブックでは、この助成金は予算の範囲内で支給されるものとされ、確認項目が多いため支給可否の決定までに時間がかかる場合があるとされています。提出書類だけでなく、措置の実施確認や経費の支払い状況について原本などを確認することもあり、支給申請書や添付書類の写し等は、支給決定日の翌日から起算して5年間保管するよう求められています。

ガイドブックでは、不正受給は犯罪ですと明記されています。偽りその他不正行為により助成金の支給を受け、又は受けようとした場合は、助成金は不支給、又は支給を取り消され、すでに支給された助成金の全部又は一部の返還が必要になり、事業主名等は原則公表されます。キャリアアップ助成金のページでは、不正に受給した助成金の全額返還に加え、延滞金と不正受給した額の2割に相当する額の納付が必要になること、不正受給決定日から5年間は不正受給を行った以外の助成金を含めて雇用関係助成金を受給できないことが示されています。

書類と実態を一致させ、取組の記録や支払いを証明する書類を残しておくことが大切です。金額や要件は改定されることがあるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「キャリアアップ助成金」(2026年9月時点)

助成金・補助金を前提にした採用計画で気をつけたいこと

外国人労働者就労環境整備助成コースの計画は雇入れの後に出す

これから外国人を採用する企業にとって注意が必要なのは、国の外国人労働者就労環境整備助成コースは、外国人を雇用している事業所であることが前提になっている点です。Q&Aでは、就労環境整備計画を提出する段階で外国人を雇用し、外国人雇用状況届出を適正に届け出ている事業所である必要があるとされ、採用内定している外国人労働者がいる場合は、雇入れ後に計画の提出を検討するよう案内されています。

内定を出した後の取扱いにも注意が必要です。厚生労働省の解説では、採用内定の法的性格は事案により異なるものの、採用内定通知のほかに労働契約締結のための特段の意思表示が予定されていない場合には、始期付、解約権留保付の労働契約が成立したと認められることが多いと考えられており、その場合、採用内定取消は解雇に当たり、労働契約法第16条の解雇権の濫用についての規定が適用されるとされています。採用内定取消が有効とされるのは、原則として、取消事由が採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であり、その事実を理由に取り消すことが客観的に合理的と認められ社会通念上相当として是認できる場合に限られると考えられています。経営状況の悪化による採用内定取消の有効性は、整理解雇の場合に準じて判断されると考えられています。

助成金や補助金を受けられるかどうかは、採用の判断とは切り分け、内定を出す前に制度の要件と手続きの時期を確認しておくことが大切です。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省 スタートアップ労働条件「内定や内々定を取り消す時また、内定や内々定を辞退された時は、どのような点に留意すればよいのでしょうか?」(2026年9月時点)

採用にかかる費用は国の助成金とは別に見込む

外国人労働者就労環境整備助成コースで、外部機関等に委託した場合の支給対象経費として挙げられているのは、通訳費、翻訳機器導入費、翻訳料、弁護士・社会保険労務士等への委託料、社内標識類の設置・改修費です。人材紹介の手数料や在留資格の申請手続きの費用といった採用段階の費用は、この一覧には含まれていません。

採用段階の費用を対象にした制度としては、横浜市の補助金のように、登録支援機関に支払う人材紹介の手数料などを補助する自治体の制度があります。ただし、横浜市の制度の補助額は補助対象経費の1/3で上限20万円、交付は1社当たり1回、1人までです。

このため、外国人の採用を検討するときは、人材紹介や登録支援機関への委託などの採用にかかる費用を別に見込んだうえで、公的な支援で賄える部分を差し引いて比べると、実際の負担を把握しやすくなります。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)」(2026年9月時点)/横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金 申請の手引き」(令和8年度)

外国人労働者の雇用管理について相談したい場合は、厚生労働省の「外国人雇用管理アドバイザー」を利用する方法もあります。外国人労働者の雇用管理の改善や職業生活上の問題などについて、専門的な知識や経験を持つアドバイザーが相談・指導を行う制度で、相談料は無料です。申込みはハローワークで受け付けています。助成金の手続きの詳細や不明な点については、外国人労働者就労環境整備助成コースのガイドブックで、最寄りの都道府県労働局等に問い合わせるよう案内されています。

出典:厚生労働省「外国人雇用管理アドバイザー」(2026年9月時点)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)

よくある質問

外国人を1人雇うと、助成金はいくらもらえますか?

外国人労働者就労環境整備助成コースの支給額は、雇った外国人の人数ではなく、導入した就労環境整備措置の数で決まり、1制度導入につき20万円(上限80万円)です(2026年8月に公示された省令案では、施行後に計画を提出する場合は最大25万円とされています)。この助成金は事業主単位(企業単位)で支給されます。一方、キャリアアップ助成金の正社員化コースは、正社員転換した人1人当たりの助成額が定められています(在留資格によっては対象外)。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)/厚生労働省「キャリアアップ助成金(正社員化コース)のご案内」(令和8年4月8日版)

アルバイトの外国人も助成金の対象になりますか?

外国人労働者就労環境整備助成コースでは、正社員以外の方でも、雇用保険の被保険者となる場合には対象となります。一方、資格外活動許可を受けて働く留学生のうち「昼間学生」に該当する人は、原則として雇用保険の被保険者とならず、被保険者とならない場合は、この助成金の対象の外国人労働者には含まれません。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)/東京労働局「被保険者に関するQ&A」(2026年9月時点)

特定技能や技能実習の外国人を雇っている場合も使えますか?

外国人労働者就労環境整備助成コースでは、雇用保険の被保険者であれば在留資格にかかわらず対象となり、技能実習生も含まれます。ただし、特定技能外国人を雇用している事業所は、選択メニューで「苦情・相談体制の整備」ではなく、「一時帰国のための休暇制度の整備」か「社内マニュアル・標識類等の多言語化」を選ぶよう案内されています。一方、キャリアアップ助成金の正社員化コースでは、外国人技能実習生と在留資格「特定技能第1号」の人は対象となりません。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)ガイドブック」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)/厚生労働省「キャリアアップ助成金Q&A」(令和8年7月29日)

外国人をまだ雇っていなくても申請できますか?

国の外国人労働者就労環境整備助成コースでは、計画を提出する段階で外国人を雇用し、外国人雇用状況届出を適正に届け出ている必要があり、採用内定の段階では雇入れ後に計画の提出を検討するよう案内されています。一方、横浜市の補助金のように採用にかかる経費を対象にする自治体の制度では、補助金交付決定以前に就労が開始していないことが条件になっています。

出典:厚生労働省「人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)Q&A」(令和8年4月1日現在)/横浜市「横浜市特定技能外国人雇用促進支援補助金 申請の手引き」(令和8年度)

日本語研修の費用は助成金の対象になりますか?

国の人材開発支援助成金では、職務に関連した専門用語等を習得させるための訓練であれば対象となり得ますが、日常会話程度の日本語の習得のみを目的とする講習は助成対象となりません。一方、東京都の研修等支援助成金は、都内中小企業等が日本語能力試験おおむねN2レベル以下の外国人従業員に行う、ビジネスに必要な日本語教育等を対象にしています。

出典:厚生労働省「人材開発支援助成金事業主様向けQ&A(人材育成支援コース)」(令和6年11月版)/東京都産業労働局「中小企業の外国人従業員に対する研修等支援助成金」(令和8年度)

省令案の見直しが施行された後に計画を出すと、支給額はどうなりますか?

2026年8月15日に公示された省令案では、施行後に計画を提出する場合の支給額は、雇用労務責任者を選任してその責任者が苦情・相談に対応する措置と、就業規則・社内マニュアル等の多言語化の措置を講じた場合に20万円、あわせて一時帰国のための休暇制度を整備した場合は追加で5万円(合計最大25万円)とされています。施行前に計画を都道府県労働局長に提出した事業主には、経過措置として改正前の要件・支給額が適用される案になっています。公布日と最終的な内容は、厚生労働省の発表で確認してください。

出典:厚生労働省「雇用保険法施行規則の一部を改正する省令案に関する御意見の募集について」(2026年8月15日公示)

まとめ

この記事で紹介した国の助成金は、外国人を雇ったことだけでは支給されず、就労環境の整備、正社員化、職務に関連した訓練、就職が困難な求職者等の試行雇用といった、制度ごとの要件を満たす取組に対して支給されます。外国人労働者就労環境整備助成コースは外国人を雇用していることが前提で、2026年10月公布予定の省令案では支給額などの見直しが示されています。採用段階の費用には、横浜市のように自治体が補助制度を設けている例があります。

外国人労働者就労環境整備助成コース、キャリアアップ助成金、人材開発支援助成金、横浜市や東京都の制度は、計画や交付申請と、取組・支出・就労開始の順番が制度ごとに決められており、在留資格によって対象外になる場合もあります。採用から定着までのどの段階でどの制度を使えるかを整理し、要件と期限を各制度の窓口で確かめながら進めていくことが大切です。

GTN 特定技能人材紹介サービス

特定技能人材の採用は、GTNにご相談ください。
アクティブ登録支援者数は約2,000人※。インドネシア・ミャンマー・ネパールの現地教育機関で学んだ人材を中心に、国内在住の人材も含めて、外食・介護・飲食料品製造などの企業様へご紹介しています。

※2026年9月2日時点のGTNキャリアにおける支援中人数です(入社前の方は含みません)。

 

関連記事

おすすめ記事