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外国人労働者の日本語教育|自社の業務に必要なレベルの決め方と教育の現状・方法を解説

外国人労働者の日本語教育は、「日本語ができるようになってほしい」という漠然とした期待のまま始めると、教材も学習時間も予算も決まりません。出発点になるのは、自社の業務でどの場面の日本語がどこまで必要かを決めることです。

厚生労働省の令和7年外国人雇用実態調査では、外国人労働者を雇用する事業所が挙げた「外国人労働者の雇用に関する課題」(複数回答)のうち「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%と最も高く、2位の「在留資格申請等の事務負担が面倒・煩雑」24.8%を上回りました。

さらに2027年4月施行の育成就労制度では、受入機関に日本語講習の機会提供と費用負担を含む措置が求められます。日本語教育は、採用計画と受け入れ体制に組み込む実務項目へと位置づけが変わりつつあります。この記事では次の順で解説していきます。

  • 統計から見た日本語教育の現状と、学習の受け皿の実情
  • 日本語レベルを測る3つのものさしと対応関係
  • 在留資格・業務別に求められる日本語レベルと決め方
  • 教育方法4つの使い分けと、無料で使える公的教材

出典:令和7年外国人雇用実態調査の概況  

外国人労働者の日本語教育の現状を数字で確認する

日本で働く外国人は増え続けています。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況によると、2025年10月末時点の外国人労働者数は2,571,037人で、前年同期から268,450人(11.7%)増加しました。外国人を雇用する事業所数も371,215所となり、いずれも届出が義務化された2007年以降で最多です。在留資格別では専門的・技術的分野が865,588人(20.4%増)と伸びが大きく、技能実習は499,394人となっています。

出典:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)

受け入れ規模が広がるほど、日本語をめぐる課題は一部の業種だけの話ではなくなります。前述の令和7年外国人雇用実態調査は2025年9月30日現在の状況を調べたもので、日本語能力に起因するコミュニケーションの取りにくさが、事業所の挙げた「外国人労働者の雇用に関する課題」の最上位に位置づけられました。

2位以下の在留資格申請等の事務負担24.8%、文化・価値観・生活習慣等の違いによるトラブル22.4%、生活環境の整備コスト21.9%と比べても、言語をめぐる課題が他の項目を大きく上回っていることがわかります。受け入れ企業の課題認識では、在留資格の手続きや住居の整備よりも先に、日本語でのやりとりが課題として挙がっている状況です。

出典:厚生労働省|令和7年外国人雇用実態調査の概況

外国人労働者の日本語能力分布を確認する

社内では感覚値で議論が進みがちですが、実際の分布を押さえるとレベル帯を設計しやすくなります。構成比は次のとおりです。

読解の水準

割合

会話の水準

割合

母語が日本語または同等

7.2%

母語が日本語または同等

8.5%

JLPT N1レベル

12.7%

幅広い話題について自由に会話できる

16.3%

JLPT N2レベル

14.0%

会話の場面に応じた言葉を使うことができる

12.9%

JLPT N3レベル

20.9%

長い会話に参加できる

8.7%

JLPT N4レベル

21.4%

身近な話題についての会話はできる

13.0%

JLPT N5レベル

16.3%

日常的なことなら短い会話に参加できる

24.9%

日本語はほとんどわからない

6.8%

基本的な挨拶の会話はできる

13.0%

不明

0.7%

会話はほとんどできない・不明

2.6%

読解の区分を合算すると、N4レベル以下(N4・N5・ほとんどわからない)が44.5%、N3レベル以上(母語同等を含む)が54.8%です。手順書や掲示物の内容によっては、ふりがな・図解・やさしい日本語などの補助が必要になる人が一定数いると考えられます。会話面では「日常的なことなら短い会話に参加できる」以下(基本的な挨拶・ほとんどできない・不明を含む)が40.5%です。なお全国の構成比であり、業種や在留資格で分布は変わります。区分名は調査の設問(会話・読解)に沿ったもので、話す・書く力を測ったものではありません。

出典:厚生労働省|令和7年外国人雇用実態調査の概況

日本語教育機関等の学習者は留学が中心で、就労課程の認定機関は少数

日本語学校に通わせる選択肢は、地域によっては取りにくい場合があります。文部科学省の日本語教育実態調査(2024年11月1日現在、報告は2025年10月公表)によると、国内の日本語学習者数は294,198人、日本語教育を行う機関・施設等は2,669でした。

学習者の内訳は留学生が192,525人(65.4%)を占める一方、「ビジネス関係者及びその家族」は19,526人(6.6%)にとどまります。日本語教師等50,309人の53.1%はボランティアで、日本語教育の実施が確認できない空白地域は722市区町村(38.2%)、そこに170,455人の在留外国人が暮らしています。

出典:文部科学省|日本語教育実態調査 令和6年度 報告「国内の日本語教育の概要」

日本語教育機関等で把握された学習者のうち、「ビジネス関係者及びその家族」は6.6%にとどまり、学習の場が留学を中心に構成されていることがうかがえます。同じ傾向は、認定日本語教育機関の申請・認定状況からも確認できます。令和8年度1回目の申請機関数は、留学のための課程226機関に対し、就労のための課程は4機関、生活のための課程は2機関でした。

直近で認定結果が公表された令和7年度2回目(2026年4月30日認定)の32機関も、内訳は留学32機関、就労・生活は0機関です。育成就労では認定日本語教育機関の「就労」課程等での受講が想定されるため、受講先の確保は早めの検討が必要です。なお施行後当分の間は、登録日本語教員による一定の要件を満たした授業も対象とされ、双方向で同時にコミュニケーションを取れることなど一定の要件を満たせばオンラインでの受講も可能です。

出典:文部科学省|認定日本語教育機関の申請機関数/文部科学省|認定日本語教育機関の認定結果

業務に必要な日本語レベルを測る3つのものさし

日本語レベルの議論がかみ合わない原因の一つは、参加者が別々の基準で話していることです。採用担当者はJLPTの級で、現場の管理者は「指示が通じるかどうか」で、制度の担当者は参照枠のレベルで考えている、という状態です。実務で登場する基準は主に3つあり、それぞれ測っている中身が異なります。この違いを共有しておくと、「N4なのに指示が伝わらない」という認識のずれが起きにくくなります。

もう一つ押さえておきたいのは、試験の級は「入口の確認」であって、業務遂行能力そのものの証明ではないという点です。同じN4でも、留学生として2年間日本で生活してきた人と、出国前に集中的に対策した人では、聞き取りや発話の実力に差が出ることがあります。逆に、資格を持っていなくても現場のやりとりに支障がない人もいます。目標設定の際は資格名だけを掲げず、「どの場面で何ができる状態を目指すのか」まで具体化しておくと、教材選びと効果測定の基準がそろいます。次項では、3つの基準がそれぞれ何を測っているのかと、その対応関係を整理します。

JLPT・JFT-Basic・日本語教育の参照枠の対応関係

JLPT(日本語能力試験)は、N5からN1までの5段階で日本語力を認定する試験です。測るのは言語知識・読解・聴解で、2025年第2回(12月)試験から、結果にCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)レベルの参考表示が加わっています。

JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)は、就労目的で来日する人を主な対象としたCBT形式の試験です。2026年7月まではA2.2(A2)のみを測る試験でしたが、2026年8月からはA1・A2.1の判定も可能になりました。判定は145〜174点がA1、175〜199点がA2.1、200〜250点がA2.2(A2)です。

日本語教育の参照枠は、文化審議会国語分科会が2021年10月に報告として取りまとめた共通の指標です。A1からC2までの6段階と493の言語能力記述文(Can do)で「何ができるか」を示し、特定技能・育成就労の日本語要件もこれを基準に設計されています。

出典:文部科学省|日本語教育コンテンツ共有システム「日本語教育の参照枠」/国際交流基金|JFT-Basicとは

JLPTとCEFRの関係は公式の参考表示が基準になります。N3以上は同じ級の合格でも得点で表示レベルが分かれる点が実務上のポイントです。

JLPTの結果公式のCEFRレベル参考表示
N5合格(総合得点80点以上)A1
N4合格(総合得点90点以上)A2
N3合格(95点以上)95〜103点はA2、104点以上はB1
N2合格(90点以上)90〜111点はB1、112点以上はB2
N1合格(100点以上)100〜141点はB2、142点以上はC1

出典:日本語能力試験|CEFRレベル参考表示

C2に対応するJLPTの区分はありません。またこの参考表示は言語知識・読解・聴解にもとづくもので、産出活動(話す・書く)は含まれていません。「N4だからA2、A2だから業務ができる」と単純に読み替えないことが重要です。

N4に合格していても業務で困る場面が残る理由

JLPT N4の認定の目安は、読むことについて「基本的な語彙や漢字を使って書かれた日常生活の中でも身近な話題の文章を、読んで理解することができる」、聞くことについて「日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる」とされています。一方N3では、聞くことが「日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる」となります。

出典:日本語能力試験|N1〜N5:認定の目安

両者の差は「自然なスピード」と「まとまりのある内容」を扱えるかどうかにあります。現場の指示は早口で、複数の条件が一度に示され、専門用語や社内固有の略語を含みます。N4に合格していても、こうした場面では理解が追いつかないことがあります。加えてJLPTには話す・書く力を直接測る科目がありません。資格の有無だけで配属や担当業務を判断せず、実際の業務場面を再現した確認を組み合わせることが適切です。教育計画では、N4からN3への引き上げを一つの中期目標として設定する方法があります。

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在留資格・業務別に求められる日本語レベル

制度が求める水準と、現場で実際に必要な水準は一致するとは限りません。前者は在留資格を得るための入口の要件であり、後者は安全に働き、品質を保つために必要な水準です。両方を並べて把握しておくと、採用要件の設定と入社後の教育計画を切り分けて設計できます。

前提として押さえておきたいのは、日本語教育に関する事業主の努力事項は、すでに現行の外国人雇用管理指針に入っているという点です。令和8年5月29日厚生労働省告示第227号による改正のうち、令和8年(2026年)6月14日から適用されている現行の指針では、次の内容になっています。第四の五の2で、事業主は日本語教育の推進に関する法律の基本理念にのっとり、国等の施策に協力するとともに、「その雇用する外国人労働者及びその家族に対する日本語学習の機会の提供その他の日本語学習に関する支援に努めること」とされ、第四の五の4で「日本語能力に配慮した教育訓練の実施その他必要な措置を講ずるように努める」ことが定められています。

2027年4月から始まる育成就労制度では、対象となる受入機関にさらに具体的な対応が求められる、という段階の違いです。なお第四の五の4は、日本語能力に配慮した教育訓練の実施とあわせて、母国語での導入研修の実施等にも触れています。

出典:厚生労働省|外国人雇用管理指針全文(令和8年6月14日改正)

制度上の要件を在留資格別に整理する

特定技能1号については、出入国在留管理庁の運用要領で、「ある程度の日常会話ができ、生活に支障がない程度の能力を有することを基本としつつ、特定産業分野ごとに業務上必要な日本語能力水準」を試験その他の評価方法により確認するとされています。原則として、JFT-BasicでA2.2(A2)相当以上、またはJLPT N4以上が要件です。技能実習2号を良好に修了している場合は、原則としてN4レベルの試験が免除されます。分野別の上乗せとして、自動車運送業分野(タクシー運転者、バス運転者に限る)および鉄道分野(運輸係員に限る)ではN3レベルが必要とされています。

出典:出入国在留管理庁|特定技能外国人受入れに関する運用要領(令和8年8月)

育成就労制度の日本語能力要件は、参照枠のA1・A2.1・A2.2という区分で段階的に設定されています。受入機関には、「就労」課程等でA2相当の講習を100時間以上受講する機会の提供と、費用の負担を含む必要な措置が求められます。

出典:出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A

タイミング日本語能力の水準
就労開始までA1相当以上の試験合格、または「就労」課程等でA1相当講習100時間以上
就労開始から1年以内A1相当を修得し、試験を受ける
本人意向による転籍時(時期・水準は分野別運用方針による)A2.1相当以上(A1相当以上から特定技能1号移行時の水準までの範囲内で設定)
育成就労修了時(特定技能1号移行時)A2.2相当以上(分野により上乗せ。介護はA2.2相当以上+介護日本語評価試験)

出典:出入国在留管理庁|育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)

水準も、転籍が可能となるまでの就労期間も、分野別運用方針で分野ごとに設定されます。期間は分野により1年と2年があり、介護のように育成の段階から高い水準を求める分野もあるため、自社の分野は運用方針での確認が必要です。

在留資格・分野制度上の日本語要件実務上の留意点
特定技能1号(共通)JFT-BasicでA2.2(A2)相当以上、またはJLPT N4以上技能実習2号の良好修了者は試験免除
特定技能1号(介護)上記に加え介護日本語評価試験記録の読み書きと専門用語
特定技能1号(タクシー・バス運転者、鉄道の運輸係員)JLPT N3レベル乗客対応を伴うため上乗せ
育成就労(2027年4月〜)開始前A1相当、転籍時A2.1相当以上、修了時A2.2相当以上分野別運用方針で設定
技術・人文知識・国際業務明文の日本語要件なし企業が職務内容に応じて設定

業務場面から必要レベルを逆算する

制度要件を満たしていても、配属先で必要な日本語がそろっているとは限りません。そこで有効なのが、資格名ではなく業務場面から必要レベルを逆算する整理です。以下は参照枠の考え方を踏まえた記事独自の整理であり、公的な基準ではありません。

業務場面目安となる水準補い方の例
定型作業の指示を受ける、挨拶・報告の型を使うA1〜A2(JLPT N5〜N4合格)写真付き手順書、定型フレーズ集
作業手順書を読む、体調不良や不具合を自分から報告するA2〜B1(JLPT N4〜N3合格)ふりがな付き文書、報告テンプレート
顧客・利用者と直接やりとりする、記録を書くB1以上(JLPT N3合格104点以上が目安)場面別ロールプレイ、記録様式の統一
後輩指導、複数部署との調整、会議での発言B2以上(JLPT N2合格112点以上が目安)業務語彙の集中学習、議事録の練習

この整理の利点は、教育目標を「N3合格」ではなく「不具合を自分から報告できる」という行動で表せる点にあります。安全に関わる場面は日本語の習得を待たず、図解や掲示の多言語化を併用することが重要です。受け入れ体制全体に不安がある場合は、外国人材の受け入れ支援サービスのような専門事業者に、在留資格に関する情報提供や雇用管理とあわせて相談する方法もあります。

自社での業務に必要なレベルを決める4つのステップ

日本語教育を続けるには、教材や講師の質だけでなく、設計の順序も重要です。次の4ステップを踏むと、限られた予算と時間でも目的に沿った計画を組みやすくなります。

  1. 業務で必要な日本語を場面ごとに棚卸しする:朝礼の連絡事項を理解する、作業指示書を読む、体調不良を報告する、といった行動に分解します
  2. 今の日本語力を業務場面で確認する:資格の有無だけでなく、業務場面を模したロールプレイや社内文書の音読・要約で確認します
  3. 到達目標と期限を決める:育成就労は制度上の期限がそのまま目標になり、他の在留資格では業務内容にもよりますが、B1相当(JLPT N3では104点以上が目安)を中期目標に置く方法があります
  4. 学習時間をスケジュールに組み込む:週1回の時間を業務カレンダーに固定するなど、実施の枠を先に確保します

特に重要なのは1つ目の棚卸しです。ここが曖昧なまま外部に研修を依頼すると、汎用的な会話練習にとどまりがちです。読解はできるが発話が苦手といった偏りは珍しくないため、2つ目の確認で「読む・聞く・話す・書く」を分けて確認すると、力を入れる領域が絞り込めます。

効果測定は試験の合否だけでなく、作業指示の確認回数といった業務指標で見ると、社内説明にも使いやすくなります。

学習時間を労働時間に含めるかを先に決める

実務でよく問われるのが、日本語学習の時間に賃金が発生するかという点です。育成就労制度について出入国在留管理庁は、A2目標講習の受講時間を労働時間として扱うことを義務付けるものではないとしています。

一方で、労働時間に該当するかどうかは実質的に使用者の指揮命令下に置かれているかで判断されます。参加を義務付け、欠席に不利益を伴わせる形の研修は、労働時間と評価される可能性が高くなります。

実務上は、勤務時間内に研修として実施する、自主学習と位置づけて教材費・受験料を会社が負担する、といった方法があります。会社が受講を義務付ける場合は、労働時間に該当するかを確認したうえで、賃金・割増賃金を適切に扱う必要があります。

手当の名称を変えても、指揮命令下で行う研修であれば労働時間性の論点は残ります。いずれの場合も、就業規則や雇用契約書での位置づけを明確にし、本人が理解できる言語で説明しておくことが、後の認識の食い違いを防ぐことにつながります。

日本語教育の方法4つと無料で使える公的教材

教育方法は大きく4つに分けられます。得意な領域が異なるため、レベル帯と目的によって組み合わせる方法があります。基礎的な文法や読み書きは体系的な学習に任せ、業務語彙や場面別の受け答えは社内で扱うという住み分けが機能しやすくなります。なお費用の目安は一例であり、公的な統計にもとづく数値ではありません。費用は講師・機関・受講形態によって異なるため、見積もりで確認してください。

方法費用の目安向いているケース注意点
社内研修(社内担当者が担当)人件費のみ業務に即した用語・手順の習得指導ノウハウがないと体系化しにくい
外部講師の派遣1コマ1〜2万円前後自社業務に特化した実践的な訓練依頼前に必要な場面の整理が要る
日本語学校・認定日本語教育機関月額2〜5万円前後体系的な文法・読み書きの習得勤務シフトとの両立、通学圏の有無
オンライン・eラーニング月額数百円〜1万円前後地方拠点、多拠点、シフト勤務学習継続の管理を別途行う

社内研修は、作業手順書の読み合わせなど、その日から使う日本語に集中できる点が強みです。外部講師の派遣は、事前に「どの場面の日本語が課題か」を整理して依頼すると実務に沿った内容になりやすくなります。

認定日本語教育機関の活用は育成就労を見据えると重要度が高まりますが、就労課程の受け皿は限られます。オンラインは時間と場所の制約が小さく、進捗を数値で管理しやすい選択肢です。

無料で使える公的な教材とサイト

コストを抑えたい場合、公的機関が無償で公開している教材を組み合わせる方法があります。

教材・サイト提供元特徴
いろどり 生活の日本語国際交流基金入門・初級1・初級2・初中級の4段階。テキストPDF、音声、教え方の資料を無料公開
つながるひろがる にほんごでのくらし文部科学省「生活者としての外国人」向けの無料学習サイト。多言語の解説付き
在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン出入国在留管理庁・文化庁日本語話者側の言い換えを学ぶ資料。書き言葉版と話し言葉のポイント

出典:国際交流基金|いろどり 生活の日本語/文部科学省|「生活者としての外国人」のための日本語学習サイト「つながるひろがる にほんごでのくらし」/出入国在留管理庁|在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン

これらは学習者本人だけでなく、指導する担当社員の研修素材としても活用できます。特に「いろどり」は場面ごとのCan doで構成されており、前章の逆算の考え方と相性がよい教材です。地域の国際交流協会やボランティア教室も選択肢ですが、開講頻度には地域差があります。

このうち「在留支援のためのやさしい日本語ガイドライン」は、日本語話者側の伝え方を見直す資料です。一文を短くする(一文に言いたいことは1つだけにする)、「くらい」「ごろ」のような曖昧な時間や数字の表現を多用しない、「結構です」のように複数の意味を持つ表現を使わないといった原則は、朝礼や掲示物の見直しから実践できます。学ぶ側の学習と並行して、伝える側の言い換えを整えることも、職場のコミュニケーション改善につながります。改正指針が求める「日本語能力に配慮した教育訓練」への対応としても、着手しやすい取り組みです。

外国人労働者の日本語教育に関するよくある質問

受け入れ担当者から寄せられることの多い疑問を、制度・レベル設定・費用の観点から整理しました。制度に関する事項は、最新の情報を所管省庁の公表資料であわせて確認してください。

日本語教育は企業の義務ですか

一般の外国人労働者を雇用する事業主については、日本語学習支援等が努力事項として示されています。日本語教育の推進に関する法律の規定にもとづき、外国人労働者およびその家族への日本語学習の機会の提供その他の支援に努めることが、現行の外国人雇用管理指針に定められています。一方、育成就労制度では、受入機関による講習機会の提供や費用負担を含む措置が制度上求められます。

採用時にどのレベルを求めればよいですか

在留資格の要件を満たしたうえで、配属先の業務場面から逆算する方法があります。定型作業が中心であれば、A2(JLPT N4合格)を一つの目安とする場合があります。一方、顧客や利用者と直接やりとりする業務、記録の作成を伴う業務では、B1相当以上を目安にする場合があります。採用時点の水準と入社後に引き上げる幅をセットで決めると、要件を高くしすぎて応募が集まらない事態を避けやすくなります。

育成就労では何時間の日本語講習が必要ですか

就労開始までにA1相当の試験に合格するか、認定日本語教育機関の就労課程でA1相当の講習を100時間以上受講する形が求められます。さらに3年間のうちにA2相当の講習を100時間以上受講する機会を受入機関が提供し、費用の負担を含めた必要な措置を取ることとされています。

修了時はA2.2相当以上が基本で、分野別運用方針により水準が異なります。受講先は、施行後当分の間は登録日本語教員による一定要件を満たした授業も対象とされ、オンライン受講も一定の要件のもとで可能です。

日本語教育に使える助成金はありますか

厚生労働省の人材開発支援助成金は、職務に関連した知識・技能を習得させる職業訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。職務に関連した専門用語等を習得させる訓練であれば対象となり得る一方、日常会話程度の日本語の習得のみを目的とする講習は助成対象となりません。コースごとに訓練時間数や計画届の提出期限などの要件もあるため、申請の可否は管轄の労働局に事前に確認してください。

出典:厚生労働省|人材開発支援助成金 事業主様向けQ&A

まとめ

外国人労働者の日本語教育は、制度対応と現場改善の両面から設計する段階に入っています。押さえておきたい点を整理します。

  • 事業所が挙げた課題では「日本語能力等のためにコミュニケーションが取りにくい」が46.2%と最多になっている
  • 読解の水準はN4レベル以下が44.5%を占め、手順書や掲示物にはふりがな・図解などの補助が要る人が一定数いる
  • 日本語教育機関等の学習者は留学生が65.4%、「ビジネス関係者及びその家族」は6.6%で、就労課程の認定機関も限られる
  • 制度要件は特定技能1号でJFT-BasicのA2.2(A2)相当以上またはJLPT N4以上、タクシー・バス運転者と鉄道の運輸係員でN3レベル、育成就労は開始前A1相当・修了時A2.2相当以上
  • 教育計画は資格名ではなく業務場面から逆算し、学習時間の労務上の扱いを先に決めておく

最初の一歩は、自社の業務で必要な日本語を場面ごとに書き出し、整理することです。そこが定まれば、教材の選定も講師への依頼も助成金の検討も筋の通ったものになります。

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