日本語能力試験(JLPT)の難易度を解説|日本語検定との違いやレベル別問題例 - GTN MAGAZINE
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日本語能力試験(JLPT)の難易度を解説|日本語検定との違いやレベル別問題例

履歴書に書かれた「N1」「N2」「N3」が、業務でどの程度の日本語力を意味するのか。日本語を母語とする日本人の採用担当者にとって、日本語能力試験(JLPT)の難易度は感覚でつかみにくいテーマです。

JLPTは国際交流基金と日本国際教育支援協会が実施する試験で、2025年は第1回(7月)と第2回(12月)の合計で1,940,852人が応募し、1,645,713人が受験しました。応募者数は2024年の1,718,943人から増えており、級の意味を把握しておくことは受入企業の実務にも役立ちます。

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 過去の試験のデータ」(2026年9月時点)

この記事では、主催者の公表資料と官公庁の一次情報をもとに、次の順で整理します。

  • N1からN5までの認定の目安と例題、試験時間・合格点から見た難易度
  • 2025年の認定率(合格率)データと、その読み方
  • 日本語検定との違いと、日本人が難易度を判断するときの注意点
  • 在留資格制度でのN1・N2・N3の扱いと、採用選考での確認ポイント
  • 2026年の試験日程と実施地域(国内・海外)
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日本語能力試験の難易度はN1からN5の5段階

日本語能力試験は、母語が日本語でない人を対象に、日本語能力を測定して認定する試験です。レベルはN1、N2、N3、N4、N5の5つで、N5が最もやさしく、N1が最も難しいレベルとされています。

主催者は、レベルごとの位置づけを次のように説明しています。N4とN5は主に教室内で学ぶ基本的な日本語を、N1とN2は現実の生活の幅広い場面での日本語を、どの程度理解できるかを測るものです。N3は、その間をつなぐ「橋渡し」のレベルと位置づけられています。

測定の対象は、文字・語彙・文法といった言語知識だけではありません。その知識を利用して、コミュニケーション上の課題を遂行できるかどうかもあわせて測るとされています。

一方で、試験科目は「言語知識」「読解」「聴解」の3つで、会話や作文の試験は設けられていません。受入企業が難易度を読むときは、「何を測り、何を測っていない試験か」を先に押さえておくことが重要です。

難易度を確認する材料は、主催者が公表している「認定の目安」、試験時間や合格点といった試験の仕様、そして回ごとの認定率です。この章ではレベルごとの認定の目安を例題とあわせて確認し、試験の仕様までを扱います。認定率は次の章で扱います。

各レベルの説明では、2025年第2回(12月)試験から成績書類に加わったCEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)レベルの参考表示もあわせて示します。同じ級の合格者でも、総合得点によって表示されるレベルが分かれます。この参考表示は読む・聞くの能力にもとづくもので、JLPTが測定していない「産出活動(話す・書く)」「やりとり」の能力は含まれていません。不合格の場合は表示されず、C2に対応する表示もありません。

各レベルの認定の目安は要旨を示しています。正確な文言は公式サイトでご確認ください。

各レベルの例題は、認定の目安を参考にこの記事で独自に作成したもので、実際の試験問題ではありません。 出題範囲や難易度を正確に示すものではないため、実際の問題例は主催者の公式サイトでご確認ください。

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 N1〜N5:認定の目安」(2026年9月時点)/国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 4つの特徴」(2026年9月時点)/国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 よくある質問」(2026年9月時点)/国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 CEFRレベル参考表示」(2026年9月時点)/国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 問題例に挑戦しよう」(2026年9月時点)

N1の難易度|論理的にやや複雑な文章まで理解するレベル

N1は、5つのレベルの中で最も難しいレベルです。認定の目安は「幅広い場面で使われる日本語を理解することができる」で、読むことについては、幅広い話題について書かれた新聞の論説や評論など、「論理的にやや複雑な文章」や抽象度の高い文章を読んで理解できる水準とされています。

聞くことについては、自然なスピードのまとまりのある会話やニュース、講義を聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係や内容の論理構成などを理解できる水準です。

例題(この記事で独自に作成したもの)

(  )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。

新しいシステムの導入で、書類の処理にかかる時間が(  )に短くなった。

選択肢:1 抜群、2 格段、3 著名、4 鮮明

意味の近い語の中から、文脈に合う1語を選ぶ力が問われる形式です。

CEFRの参考表示では、N1合格のうち総合得点100点から141点はB2、142点以上はC1と表示されます。採用の場面では、読む・聞くの力が5つのレベルの最上位に達していることの確認に使える一方、話す・書く力は面接などで別に確かめることになります。

N2の難易度|論旨が明快な新聞記事や評論を理解するレベル

N2の認定の目安は「日常的な場面で使われる日本語の理解に加え、より幅広い場面で使われる日本語をある程度理解することができる」です。読むことについては、新聞や雑誌の記事・解説、平易な評論など、「論旨が明快な文章」を読んで内容を理解できる水準とされています。

聞くことについては、自然に近いスピードのまとまりのある会話やニュースを聞いて、話の流れや内容、登場人物の関係を理解できる水準です。N1との違いは、扱う文章の複雑さにあります。

例題(この記事で独自に作成したもの)

(  )に入れるのに最もよいものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。

採用試験の結果は、来週メールで(  )します。

選択肢:1 通知、2 通報、3 通過、4 通用

CEFRの参考表示では、N2合格のうち総合得点90点から111点はB1、112点以上はB2と表示されます。総合得点111点までのN2合格者と、104点以上のN3合格者は、同じB1の表示になります。「N2以上」という採用要件を設ける場合も、総合得点まで確認すると候補者の現在地を把握しやすくなります。

N3の難易度|日常場面と幅広い場面をつなぐ「橋渡し」のレベル

N3の認定の目安は「日常的な場面で使われる日本語をある程度理解することができる」です。読むことについては、日常的な話題について書かれた具体的な内容の文章を理解でき、新聞の見出しなどから情報の概要をつかめる水準とされています。難易度がやや高い文章は、言い換え表現が与えられれば要旨を理解できる、という位置づけです。

聞くことについては、日常的な場面で、やや自然に近いスピードのまとまりのある会話を聞いて、話の具体的な内容を登場人物の関係などとあわせてほぼ理解できる水準です。N2との違いは、場面の広さと聞き取る速さにあります。

例題(この記事で独自に作成したもの)

(  )の言葉に意味が最も近いものを、1・2・3・4から一つ選びなさい。

会議の資料は、(あらかじめ)準備しておいてください。

選択肢:1 前もって、2 もう一度、3 急いで、4 あとで

CEFRの参考表示では、N3合格のうち総合得点95点から103点はA2、104点以上はB1と表示されます。同じN3合格でも、得点によってA2とB1に分かれる点は、配属先の業務に必要な水準を検討するときの手がかりになります。

N4の難易度|基本的な語彙・漢字で書かれた身近な文章を理解するレベル

N4の認定の目安は「基本的な日本語を理解することができる」です。読むことについては、基本的な語彙や漢字を使って書かれた、日常生活の中でも身近な話題の文章を理解できる水準とされています。

聞くことについては、日常的な場面で、ややゆっくりと話される会話であれば、内容がほぼ理解できる水準です。

制度面では、特定技能1号の日本語能力水準を確認する試験として、JFT-Basicとあわせて日本語能力試験N4以上が示されています。分野・業務区分によって求められる水準が異なる場合があり、詳しくは後述します。

出典:出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」(令和8年8月)

例題(この記事で独自に作成したもの)

(  )の ことばは どう かきますか。1・2・3・4から いちばん いい ものを ひとつ えらんで ください。

あしたの (かいぎ)は 3時からです。

選択肢:1 会議、2 会義、3 回議、4 会儀

CEFRの参考表示では、N4合格(総合得点90点以上)はA2と表示されます。社内のマニュアルや掲示物を、N4の水準の方にも読みやすくしたい場合は、ふりがなを付ける、漢字の使用を控えるといった工夫をする方法があります。

N5の難易度|ひらがな・カタカナと基本的な漢字を理解するレベル

N5は、5つのレベルの中で最もやさしいレベルです。認定の目安は「基本的な日本語をある程度理解することができる」で、読むことについては、ひらがなやカタカナ、日常生活で用いられる基本的な漢字で書かれた定型的な語句や文、文章を理解できる水準とされています。

聞くことについては、教室や身の回りなど日常生活の中でよく出会う場面で、ゆっくり話される短い会話であれば、必要な情報を聞き取れる水準です。

例題(この記事で独自に作成したもの)

(  )の ことばは ひらがなで どう かきますか。1・2・3・4から いちばん いい ものを ひとつ えらんで ください。

まいにち (電車)で かいしゃに いきます。

選択肢:1 でんしゃ、2 でんしや、3 てんしゃ、4 てんしや

CEFRの参考表示では、N5合格(総合得点80点以上)はA1と表示されます。なお、認定の目安には、各レベルの合格に必要な学習時間は示されていません。学習時間は母語や学習環境によって変わるため、この記事でも時間数の目安は扱っていません。

出典:問題例に挑戦しよう | 日本語能力試験 JLPT 

試験時間と合格点から見る難易度

難易度は、試験時間と合格の条件にも表れています。N1の試験時間は合計165分で、N5の85分と比べて80分長く設定されています。

レベル試験時間(合計)総合得点の範囲合格点得点区分ごとの基準点
N1165分0点から180点100点言語知識19点、読解19点、聴解19点
N2155分0点から180点90点言語知識19点、読解19点、聴解19点
N3130分0点から180点95点言語知識19点、読解19点、聴解19点
N4110分0点から180点90点言語知識・読解38点、聴解19点
N585分0点から180点80点言語知識・読解38点、聴解19点

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 試験科目と試験時間」(2026年9月時点)/国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 得点区分・合否判定・結果通知」(2026年9月時点)

合格には、総合得点が合格点以上であることに加え、各得点区分の得点が基準点以上であることが必要です。1つでも基準点に達していない得点区分がある場合は、総合得点が高くても不合格になります。

読解だけ、あるいは聴解だけの得点が伸びていても、他の得点区分が基準点に届かなければ認定されません。合格者は、各得点区分で基準点以上の得点を取っていることになります。

認定率(合格率)データで見るN1・N2・N3の難易度

難易度を数字で確認したいときに参照されるのが、一般に合格率と呼ばれる「認定率」です。主催者は試験の回ごとに、レベル別の応募者数・受験者数・認定者数・認定率を公表しています。認定率は、受験者数に対する認定者数の割合です。

2026年9月時点で公式サイトに掲載されている直近のデータは、2025年第2回(12月)試験です。この回の受験者数は国内・海外の合計で876,484人、認定者数は297,582人、全レベル合計の認定率は33.9%でした。

レベル別では、N1の認定率が29.8%で、5つのレベルの中で最も低い水準でした。2025年第1回(7月)試験でもN1は28.0%で、同じく5つのレベルの中で最も低くなっています。

ただし、認定率はそのまま難易度の順位を表す数字ではありません。レベルごとに受験者の層が異なり、国内受験と海外受験でも数値に差があるためです。

たとえば2025年第2回のN2は、国内の認定率が25.4%、海外が40.9%でした。同じレベルでも、どの範囲の数字を見るかで印象が変わります。以下で、データと読み方を順に確認します。

2025年の認定率をレベル別に確認する

2025年の2回分の認定率を、国内・海外・合計に分けて整理すると次のとおりです。受験者数には、一部の試験科目だけを受験した人の数が含まれます。

レベル

第1回(7月)国内

第1回 海外

第1回 合計

第2回(12月)国内

第2回 海外

第2回 合計

N1

24.9%

30.1%

28.0%

24.0%

34.2%

29.8%

N2

27.6%

39.2%

33.9%

25.4%

40.9%

33.0%

N3

37.9%

38.1%

38.0%

26.2%

37.5%

31.2%

N4

37.7%

36.2%

36.8%

33.6%

35.3%

34.6%

N5

57.8%

50.3%

50.8%

53.5%

50.0%

50.2%

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 2025年第1回(7月)データ」/国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 2025年第2回(12月)データ」

国内受験に限ると、2025年第2回の認定率はN1が24.0%、N2が25.4%、N3が26.2%で、3つのレベルの差は2.2ポイントでした。

受験者数にも特徴があります。2025年第2回の国内受験者は、N3が139,328人、N2が118,354人、N4が87,608人、N1が52,291人、N5が4,647人でした。このデータでは、国内の受験者数はN3が5つのレベルの中で最も多く、次いでN2でした。

認定率だけで難易度を比べられない理由

認定率を読むときに確認しておきたい点は3つあります。

1つ目は、レベルごとに受験者の層が異なることです。各レベルの受験者は、自分の力に合わせてそのレベルを選んだ人です。2025年第2回の合計では、N3の認定率(31.2%)がN2(33.0%)を下回りましたが、これはN3のほうがN2より難しいことを意味するものではありません。

2つ目は、得点が「尺度得点」で算出されていることです。主催者は、試験の回によって問題の難易度が変わっても、同じ能力であれば同じ得点になるよう、素点ではなく尺度得点を採用していると説明しています。回ごとの認定率の上下は、合格に必要な水準が変わったことを示すものではないと考えられます。

3つ目は、前述の基準点です。総合得点が合格点に達していても、得点区分のいずれかが基準点に届かなければ認定されません。

社内説明で認定率を使う場合は、「N1の認定率は29.8%」という数字だけを切り出さず、認定の目安とセットで示すと、レベルの意味が伝わりやすくなります。

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日本語能力試験(JLPT)と日本語検定の違い|日本人が受けられるのはどちらか

日本語の力を測る試験には、日本語能力試験のほかに「日本語検定」があります。名称が似ているため、履歴書や社内資料で取り違えないよう、対象と測定内容の違いを押さえておくと確認がしやすくなります。

JLPTは、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し認定する試験として、1984年に始まりました。公式サイトで公表されている受験者数や認定率も、この対象者の結果を集計したものです。

一方の日本語検定は、日本語を使うすべての人を対象としています。日本語を母語とする社員の敬語や表記の力を確認する目的でも使われる検定で、JLPTとは想定している受験者が異なります。

JLPTの対象は、国籍ではなく母語で決まります。日本国籍でも日本語が母語でなければ受験でき、日本語を母語とする人も例外的に受験できる場合があります(詳しくは次項で説明します)。そのため、「日本人がJLPTを受けたらどの程度か」という比べ方で難易度を測ろうとすると、級の意味を取り違えることがあります。 

採用選考では、提出された証明書がどちらの試験のものかを最初に確認することになります。級の呼び方が「N1」と「1級」で異なるとはいえ、資料に「1級」とだけ書かれている場合は判別できないためです。

以下では、2つの試験の違いと、日本人が問題例を見て難易度を判断するときの注意点を確認します。

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 目的と沿革」(2026年9月時点)

対象・レベル・測定内容の違いを比較する

受験資格について、JLPTの主催者は「母語が日本語でない人なら、だれでも受験できます。日本国籍を持っているかどうかは関係がありません。年齢制限もありません」と説明しています。

基準は国籍ではなく母語です。日本国籍であっても母語が日本語でない人は受験でき、反対に、日本語を母語とする人は試験の対象として想定されていません。

2つの試験の違いを整理すると、次のとおりです。

項目日本語能力試験(JLPT)日本語検定
主催国際交流基金、日本国際教育支援協会特定非営利活動法人日本語検定委員会
対象母語が日本語でない人日本語を使うすべての人
レベルN1からN5の5段階1級から7級(各級に準級の認定あり)
測定内容言語知識、読解、聴解敬語、文法、語彙、言葉の意味、表記、漢字の6領域と総合問題

出典:日本語検定委員会「日本語検定とは?」(2026年9月時点)/日本語検定委員会「受検概要」(2026年9月時点)

レベルの区分も対応していません。JLPTがN1からN5の5段階であるのに対し、日本語検定は1級から7級の7段階で、各級に準級の認定があります。測定する領域も、日本語検定は敬語・文法・語彙・言葉の意味・表記・漢字の6領域と総合問題で構成され、JLPTの言語知識・読解・聴解とは範囲が異なります。

日本語検定は受検の目安を学齢・職位で示しており、1級は社会人上級、3級は高校卒業から社会人基礎とされています。日本語を母語とする社員の文書作成や敬語の力を確認する用途であれば、こちらが対象になります。

外国人材の日本語力の証明として提出されるのは、JLPTのほか、JFT-Basic(国際交流基金日本語基礎テスト)やBJTビジネス日本語能力テストなどです。どの試験の、どのレベル・点数なのかを書類で確認することが、選考の出発点になります。

日本人の感覚で難易度を判断するときの注意点

採用担当者が自分で問題例を解いてみることは、レベルを理解する方法として有効です。前述の例題は記事独自に作成したものですが、主催者は公式サイトで、実際の出題形式に沿ったN1からN5までの問題例を公開しています。

そのうえで、次の2つの受け止め方には注意が必要です。

1つは、「日本人には易しいから、N1でも特別な水準ではない」という受け止め方です。N1の読解が対象とする新聞の論説や評論は、日本語を母語とする人にとっては新聞や雑誌で目にする機会のある種類の文章です。一方、学習者の側から見ると、その文章を自然なスピードの聴解とあわせて処理できる状態は、5つのレベルの最上位にあたります。

もう1つは、「N1なら日本人と同じように話せる・書ける」という受け止め方です。JLPTには会話・作文の試験がなく、前述のCEFRレベルの参考表示でも、N1合格のうち総合得点141点まではB2、142点以上がC1と整理されています。

問題例を解くときは、「自分にとって易しいか」ではなく、「このレベルの人は、どの種類の文章と、どの速さの音声を扱えるのか」という視点で見ると、配属先の業務との照らし合わせに使いやすくなります。

N1・N2・N3は在留資格制度と採用でどう扱われるか

 

JLPTの級は、企業の採用基準だけでなく、在留資格に関する制度の中でも基準として使われています。難易度を理解しておくと、制度が求める水準と、自社の業務で必要な水準を分けて考えやすくなります。

押さえておきたいのは、制度によって使われ方が異なる点です。N1・N2が加点や要件として扱われる制度がある一方、特定技能1号ではN4以上が基本の水準です。在留資格によっては、JLPTの級が要件として定められていないものもあります。

また、制度上の日本語要件を満たすことと、在留資格が許可されることは同じではありません。許可・不許可は、学歴や職務内容、受入れ機関の状況などを踏まえて出入国在留管理庁が個別に判断します。

制度の内容は改正されることがあります。この記事の記載は2026年9月時点の公表資料にもとづくため、申請や採用計画の検討にあたっては、出入国在留管理庁の最新の資料をご確認ください。

以下では、JLPTのレベルが明示されている主な制度と、それぞれの日本語能力に関する扱いを確認します。

在留資格制度でのN1・N2・N3の位置づけ

JLPTのレベルが明示されている主な制度は、次のとおりです。

制度日本語能力に関する扱い
高度専門職(高度人材ポイント制)日本語能力試験N1またはBJT480点以上で15点、N2またはBJT400点以上で10点が加点対象
特定活動(本邦大学等卒業者)日本語能力試験N1またはBJT480点以上の成績証明書(外国の大学で日本語を専攻した人は卒業証書等でも可)
特定技能1号JFT-Basicまたは日本語能力試験N4以上など。自動車運送業分野(タクシー運転者、バス運転者に限る)と鉄道分野(運輸係員に限る)はN3レベル
育成就労(令和9年4月1日から運用開始)就労開始までにA1相当以上の試験(JFT-Basic、JLPTのN5等)に合格、またはそれに相当する日本語講習を受講

出典:出入国在留管理庁「高度人材ポイント制の加点対象となる日本語能力一覧」(2026年9月時点)/出入国在留管理庁「在留資格『特定活動』(本邦大学等卒業者及びその配偶者等)」(2026年9月時点)/出入国在留管理庁「育成就労制度の概要」(令和8年7月改訂)

高度人材ポイント制の加点は、他の項目との重複の可否などの条件があります。申請を検討する場合は、出入国在留管理庁のポイント計算表で確認してください。

特定活動(本邦大学等卒業者)は、日本の大学・大学院を卒業・修了した人などを対象とする在留資格で、日本語要件のほかに学歴などの要件があります。

特定技能1号では、技能実習2号を良好に修了している場合、原則として日本語能力の試験による証明は不要とされています。ただし分野により取扱いが異なるため、自社の分野の運用要領で確認が必要です。

採用選考でJLPTの級を見るときの3つの確認ポイント

ここまでの内容を踏まえると、JLPTの級は「日本語力の入口の確認」として有用である一方、級の名称だけで配属や担当業務を決めるには情報が足りないことがわかります。

厚生労働省の「令和7年外国人雇用実態調査」は、統計法にもとづく一般統計調査で、事業所調査と労働者調査の2つで構成されています。日本語能力は労働者調査の設問で、外国人労働者を雇用する事業所で働く外国人労働者本人が回答したものです(令和7年9月30日現在の状況を調査し、令和8年8月31日に結果を公表)。

事業主からの届出を集計した「外国人雇用状況」の届出状況とは別の統計で、日本語能力の設問はこの実態調査に含まれています。読解の構成比は、「JLPT日本語能力試験N1レベル」が12.7%、「N2レベル」が14.0%、「N3レベル」が20.9%、「N4レベル」が21.4%でした。

出典:厚生労働省「外国人雇用実態調査 調査の概要」(2026年9月時点)/厚生労働省「令和7年外国人雇用実態調査の概況」(令和7年9月30日現在)

採用要件をN1に限定するか、N2・N3まで含めて入社後の学習支援と組み合わせるかによって、出会える候補者の範囲は変わると考えられます。職務内容に照らして、どの水準を入口とするかを検討する方法があります。

選考の場面では、次の3つの確認ポイントを組み合わせると、級の情報を実務に結びつけやすくなります。

  1. 得点区分別の得点を確認する:成績書類には総合得点のほか、言語知識・読解・聴解の得点区分別得点が記載されます。電話応対や口頭での指示が中心の業務であれば聴解、文書やメールを扱う業務であれば読解の得点が参考になります
  2. 認定の時期を確認する:JLPTの認定に有効期限はありません。認定から時間が経っている場合は、その後の日本語の使用状況や学習歴をあわせて尋ねると、現在の状態を把握しやすくなります
  3. 話す力・書く力を別の方法で確認する:JLPTが測定していない技能は、面接でのやりとりや、業務を想定した短い文章作成などで確認します

1つ目の得点区分別の得点は、同じ級の候補者を比べるときだけでなく、入社後にどの技能を伸ばすかを決める材料にもなります。

2つ目の認定の時期は、候補者を評価するためではなく、現在の日本語力をお互いに確認するための質問として扱うことが適切です。

3つ目の話す力・書く力の確認は、国籍を問わず、職務に必要なコミュニケーション能力を確かめる選考手順の一つとして設計します。確認する内容は、実際の業務場面に沿ったものにすると、候補者にとっても入社後の仕事を具体的に想像しやすくなります。

入社後の日本語学習支援まで含めて検討する場合は、外部サービスを利用する方法もあります。GTNの場合は、受入れ企業向けの人材支援サービス(※ご利用には所定の審査や条件があります)のなかで、日本語学習プログラムやJLPT対策講座を案内しています。提供内容や利用条件は契約内容などにより異なるため、詳細はGTNの人材支援サービスでご確認ください。

2026年の試験日程と実施地域

日本語能力試験は、7月と12月の年2回実施されます。2026年は、第1回が7月5日(日)、第2回が12月6日(日)です。候補者に受験を案内する場合は、この2回の日程を前提に採用スケジュールを組むことになります。

国内試験には、受験対象者に関する条件が定められています。海外にいる候補者が日本国内で受験できるかどうかに関わるため、受入企業が押さえておきたい点です。

海外は幅広い国・地域で実施されていますが、実施の予定は時点によって変わります。送り出し国を検討する段階では、その時点の公表情報を確認しておくと、候補者への案内を進めやすくなります。

申込みの窓口と問い合わせ先も、国内実施と海外実施で分かれています。候補者が国内で受験するのか、現地で受験するのかによって、案内先が変わる形です。

在留資格の要件として日本語試験の合格が必要な場合は、内定から入社までの間にどちらの回で受験できるかを確認しておくと、要件を満たす時期を見通しやすくなります。

以下では、国内の日程・会場・受験対象者と、海外の実施国・地域を分けて確認します。

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 日本で受験する」(2026年9月時点)

国内試験の会場の決まり方と受験対象者

国内試験は、全国47都道府県での実施が予定されています。ただし、受験者が会場を選ぶ仕組みではありません。

主催者は、試験会場について「直前まで確定しないため、受験者に『受験票』でお知らせします」と説明しています。あわせて「応募の状況等により、隣接都府県の試験会場になるなど、希望に添えない場合があります」とされています。

勤務地から離れた会場になる場合もあるため、シフトの調整が必要なときは、受験票が届いた時点で確認する流れになります。

受験対象者については、2026年第2回試験の実施案内に「本試験は、原則として、日本語を母語とせず、日本の在留管理制度における中長期在留者及び特別永住者を対象とした試験です」と記載されています。申込みにあたっては、在留カード等の番号および有効期限の登録が必須項目とされ、観光等の短期滞在など、在留カードを所持していない人は受験できないとされています。

採用の場面では、来日前の候補者が日本国内で受験することは想定されていない点を踏まえ、海外にいる候補者には現地での受験を案内する形になります。受験料は7,500円(消費税を含む)です。金額・申込方法・受験対象者の取扱いは変更されることがあるため、最新の情報は公式サイトでご確認ください。

出典:日本国際教育支援協会「2026年第2回試験実施案内」(2026年9月時点)/日本国際教育支援協会「2026年 受験申込上の注意」(2026年9月時点)/日本国際教育支援協会「よくある質問」(2026年9月時点)

海外で試験が実施される国・地域

海外の実施国・地域は、主催者が一覧で公表しています。次は2026年9月11日時点の予定として掲載されている国・地域です。

地域国・地域
東アジア韓国、中国、モンゴル、台湾
東南アジアインドネシア、カンボジア、シンガポール、タイ、東ティモール、フィリピン、ブルネイ、ベトナム、マレーシア、ミャンマー、ラオス
南アジアインド、スリランカ、ネパール、パキスタン、バングラデシュ、ブータン、モルディブ
大洋州オーストラリア、ニュージーランド、パプアニューギニア、フィジー
北米カナダ、アメリカ
中南米コスタリカ、メキシコ、アルゼンチン、ウルグアイ、エクアドル、エルサルバドル、コロンビア、チリ、ドミニカ共和国、トリニダード・トバゴ、パナマ、パラグアイ、ブラジル、ベネズエラ、ペルー、ボリビア
西欧アイルランド、イタリア、イギリス、オーストリア、オランダ、ギリシャ、スイス、スウェーデン、スペイン、デンマーク、ドイツ、ノルウェー、フィンランド、フランス、ベルギー、ポルトガル(休止中)
東欧アゼルバイジャン、アルメニア、ウクライナ、ウズベキスタン、カザフスタン、キルギス、ジョージア、スロベニア、セルビア、タジキスタン、チェコ、トルクメニスタン、ハンガリー、ブルガリア、ベラルーシ、ポーランド、ボスニア・ヘルツェゴビナ、モルドバ、リトアニア、ルーマニア、ロシア
中東アラブ首長国連邦、イスラエル、イラン、カタール、サウジアラビア、トルコ、ヨルダン
北アフリカアルジェリア、エジプト、チュニジア、モロッコ
アフリカガーナ、ケニア、コートジボワール

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 海外の実施都市・実施機関一覧」(2026年9月11日時点の予定)

一覧は国・地域の単位です。同じ国でも都市によって実施が休止している場合があり、2026年9月11日時点ではポルトガルと、イギリスのカーディフが休止中と記載されています。実施回が7月のみ、12月のみとなる国・地域もあるため、候補者の居住国で受験できるかどうかは、都市単位で確認することが必要です。

国・地域ごとの実施年や試験会場は、実施機関への問い合わせで確認できます。問い合わせ先は、国内実施と海外実施で分かれています。

区分問い合わせ先
日本での実施日本語能力試験(日本国内)受付センター(日本国際教育支援協会)。電話03-6686-2974(海外からは+81-3-6686-2974)、受付時間は月曜日から金曜日(土日祝日を除く)の9時30分から17時30分(日本時間)。国内実施についてはメールでの問い合わせには応じていない
海外での実施国際交流基金日本語試験センター(jlptinfo@jpf.go.jp)、または受験する都市の実施機関。問い合わせは日本語か英語で行う

出典:国際交流基金・日本国際教育支援協会「日本語能力試験 問い合わせ」(2026年9月時点)

まとめ

日本語能力試験の難易度は、級の名称だけでなく、認定の目安・認定率・得点の3つをあわせて読むと理解しやすくなります。要点を整理します。

  • レベルはN1からN5の5段階で、N1は新聞の論説や自然なスピードの講義まで理解できる水準、N3は日常場面とより幅広い場面との「橋渡し」のレベル
  • CEFRの参考表示では同じ級でも総合得点によって表示が分かれ、N2合格の一部とN3合格の一部は同じB1になる
  • 2025年第2回(12月)試験の認定率は、合計でN1が29.8%、N2が33.0%、N3が31.2%。レベルごとに受験者の層が異なるため、認定率だけで難易度を比べない
  • JLPTの対象は母語が日本語でない人で、日本人が受けられるのは日本語検定。日本人の感覚で「易しい・難しい」を判断すると、級の意味を取り違えるおそれがある
  • 高度人材ポイント制ではN1・N2が加点対象、特定技能1号はN4以上が基本で、一部の分野・業務区分ではN3レベルが求められる
  • 会話・作文は測定対象外のため、採用選考では得点区分別の得点、認定の時期、話す力・書く力の確認を組み合わせる

試験の仕様や認定率、在留資格制度の要件は更新されるため、社内資料に引用する際は公表時点をあわせて記載しておくと、後からの確認がしやすくなります。

級は、候補者がこれまで積み重ねてきた学習の成果を示す指標の一つです。その意味を正確に読み取ることが、配属や入社後の学習支援を検討するうえでの土台になると考えられます。

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