介護施設が外国人介護士を採用する理由|選ばれる施設の条件と定着のポイント - GTN MAGAZINE
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介護施設が外国人介護士を採用する理由|選ばれる施設の条件と定着のポイント

外国人介護人材の受け入れは2008年度のEPAに始まり、2017年には在留資格「介護」と技能実習の介護職種が加わりました。介護施設の採用担当者にとって、外国人介護士は「検討するかどうか」の段階から「どう受け入れ、どう定着させるか」の段階へ移りつつあります。

制度の解説は数多くありますが、人事が実際に判断に迷うのは、自施設が受け入れ側の要件を満たしているか、入職後の現場運用をどう設計するかという部分が課題になってきているのではないでしょうか。

本記事では、在留資格の比較解説ではなく、外国人介護士を「採用する理由」と「受け入れ後の運用設計」に絞り、官公庁や公的調査の一次情報をもとに解説いたします。

介護施設が外国人介護士の採用に動く理由

外国人介護士の採用が広がる背景には、単純な「人手が足りないから」という以上の事情があります。募集をかけても応募が集まらない、採用できても年齢構成が偏る、訪問系サービスの担い手を確保できないといった課題が重なり、採用チャネルを国内の求人媒体だけに依存する体制そのものを見直す動きが出てきているためです。

期待する効果としては、応募者数の確保や、シフト編成の安定などが挙げられます。一方で、採用から就労開始までには在留資格の申請手続きなどの期間が必要になるため、急な欠員補充の手段としては設計しにくい点も、経営層と現場に共有しておきたいところです。

ここでは、採用に踏み切る理由を公的調査の数値で確認します。数字の裏付けは、上長や現場、法務・コンプライアンス部門への説明材料になります。

採用難の実態を示す数値

公益財団法人介護労働安定センターの令和7年度介護労働実態調査によると、従業員の過不足について「不足」と感じている事業所は全体で65.8%でした。職種別では、訪問介護員は82.9%、介護職員は69.8%と、直接処遇に携わる職種ほど不足感が強く出ています。同調査の事業所調査は令和7年10月1日を基準日とし、回収数は8,955件(回収率53.1%)です。上記の割合は、回答のあった8,899事業所のうち、該当する職種の従業員がいる事業所を母数としています。

同調査では、離職率(訪問介護員・介護職員の2職種計)は12.4%で前年度と同率でした。一方、採用率は14.6%と前年度から0.3ポイント上昇したものの、低い水準が続いています。定着支援とあわせて、新たな人材を確保する取り組みも必要と考えられます。

出典:介護労働安定センター|令和7年度介護労働実態調査結果(プレスリリース)

調査回答事業所の18.6%が外国籍労働者を受け入れ

同じ令和7年度調査では、外国籍労働者を受け入れている事業所の割合は18.6%で、前年度から2.8ポイント上昇しました。5事業所に1事業所近くが受け入れている水準まで来ており、先行事例を参照しやすい環境が整いつつあると考えられます。

この広がりは、外国人労働者全体の伸びとも重なります。厚生労働省の「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末現在)では、外国人労働者数は2,571,037人で、前年比268,450人(11.7%)の増加でした。産業別に見ると「医療,福祉」の対前年増加率は25.6%で、全体の増加率を上回るペースです。

出典:厚生労働省|「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末現在)

「まだ早いのではないか」という社内の慎重論に対し、一定の広がりがある事実を数値で示せることは、検討を進めるうえで有効です。

外国人介護士とはどのような人材か

「外国人介護士」と一括りにされがちですが、入職してくる人材の背景は制度ごとに異なります。どの国・地域から、どの程度の日本語力と知識を持った人が入職するのかを具体的に把握しておくことは、配属先の検討や教育計画の設計に関わります。

厚生労働省は、EPA(経済連携協定)、在留資格「介護」、技能実習、特定技能「介護」の4つの受け入れルートを示しています。このうち受け入れ数の多い特定技能「介護」では、実務で受け入れた職員の資格取得を支援し、在留資格「介護」への移行を目指すキャリア設計が中心になります。

なお、技能実習制度に代わる育成就労制度は令和9年(2027年)4月1日から運用開始とされており、技能実習制度には経過措置があります。例えば、施行日時点で現に技能実習を行っている人は、一定の条件のもとで引き続き技能実習を行うことができます。施行日前に技能実習計画の認定の申請をしている人も、施行日以後に技能実習生として入国できる場合があるため、個別の条件は出入国在留管理庁の案内を確認してください。

出典:厚生労働省|外国人介護人材の受入れについて/出入国在留管理庁|育成就労制度の概要(令和8年7月改訂)/出入国在留管理庁|育成就労制度Q&A

国籍構成はインドネシア・ミャンマーが上位

厚生労働省の資料によると、介護分野の特定技能外国人の国籍は、令和7年6月末時点で次の構成です。

順位

国籍

人数

1インドネシア16,249人
2ミャンマー15,046人
3ベトナム9,713人
4フィリピン5,122人
5ネパール4,713人

出典:厚生労働省|外国人介護人材の受入れの現状と今後の方向性について

参考として、出入国在留管理庁の特定技能在留外国人数(令和7年12月末・速報値)では、特定技能1号の総数382,341人のうち介護分野は67,871人(構成比17.8%)でした。上の表とは基準日が異なるため、単純な比較はできません。

出典:出入国在留管理庁|特定技能在留外国人数(令和7年12月末)のポイント

国籍の構成は、受け入れ体制を考えるうえでの材料にもなります。同じ国の出身者が複数名在籍すると母語で相談できる相手ができ、生活面の準備も先輩職員の経験を活用しやすくなります。母語で相談できる環境と、業務に必要な日本語を学び使う機会の両方を整えることが適切と考えられます。

入職時に求められる日本語と技能の水準

特定技能「介護」で入職するには、原則として介護特定技能評価試験(技能)と介護特定技能評価試験(日本語)の合格が求められます。日本語能力については、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格、または日本語能力試験(JLPT)N4以上が求められます(2026年9月時点)。

出典:厚生労働省|介護分野における特定技能外国人の受入れについて

なお、これらの試験は、介護職種の第2号技能実習を良好に修了した方、介護福祉士養成施設を修了した方、EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方について免除されます。EPAの場合は在留期間の満了だけでなく、直近の介護福祉士国家試験で合格基準点の5割以上の得点があり、すべての試験科目で得点があることという要件も定められています。

出典:厚生労働省|EPA介護福祉士候補者としての在留期間満了(4年間)の方に関する技能試験・日本語試験の免除の具体的な要件

押さえておきたいのは、日本語能力を確認する試験が測っているのは主に読解と聴解であり、話す・書く技能を直接測定するものではない点です。採用面接では、申し送りの聞き取りや記録の記入など、自施設で実際に発生する場面に即した確認を行うことが有効です。

介護福祉士を目指すキャリアの道筋

介護福祉士の国家資格取得は、在留資格「介護」への移行につながる節目です。在留資格「介護」には在留期間の更新回数に上限がなく、家族帯同も認められているため、長く働き続けたい本人にとって目標になりやすい資格といえます。

第38回介護福祉士国家試験(2026年1月実施)の受験者数は78,469人、合格者数は54,987人、合格率は70.1%でした。

出典:厚生労働省|第38回介護福祉士国家試験合格発表について

このうちEPA介護福祉士候補者は、受験者数1,196人、合格者数380人、合格率31.8%です。国籍別ではインドネシア30.7%(受験者602人・合格者185人)、フィリピン20.0%(受験者461人・合格者92人)、ベトナム77.4%(受験者133人・合格者103人)でした。

出典:厚生労働省|第38回介護福祉士国家試験におけるEPA介護福祉士候補者の試験結果

施設側が学習機会を整えることも、資格取得を支える取り組みの一つです。

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採用前に確認したい施設側の要件

外国人介護士の募集を始める前に確認しておきたいのが、自施設が受け入れ側の要件を満たしているかどうかです。採用活動を進めた後で要件を満たしていないことがわかると、本人にも施設にも負担が生じます。

確認すべき項目は、対象施設への該当性、受け入れ人数の上限、協議会への加入、訪問系サービスに従事させる場合の追加要件の4点です。このうち対象施設への該当性と人数の上限は、実際に配属する事業所ごとに確認します。一方、協議会への加入は受け入れ法人が行い、受入事業所の情報を登録したうえで手続きを進めます。在留資格ごとに規定は異なるため、技能実習や育成就労で受け入れる場合は、それぞれの制度の要領を別途確認してください。

ここでは特定技能「介護」を例に整理します。介護分野の要件は、2026年1月23日に閣議決定された分野別運用方針に定められています。

出典:出入国在留管理庁|介護分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針及び育成就労に係る制度の運用に関する方針

対象施設と任せられる業務の範囲

まず確認するのは、自施設が受け入れの対象施設に該当するかどうかです。特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、介護医療院、有料老人ホームなどの施設系サービスのほか、障害者支援施設、児童福祉法関係の施設、病院・診療所なども対象に含まれます。複数の事業所を運営する法人では、どの事業所で受け入れるのかを先に決めておくことが出発点です。

業務の範囲は、分野別運用方針で「身体介護等(利用者の心身の状態に応じた入浴、食事、排せつの介助等)業務」と定められており、これに付随する関連業務にも従事できます。ただし、関連業務のみに専ら従事させることは認められません。

出典:出入国在留管理庁|特定技能1号の各分野の仕事内容(Job Description)/法務省・厚生労働省|特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領-介護分野の基準について- 

制度上の業務範囲を踏まえた職務分掌を文書化し、どの業務をいつから任せるのかを段階的に設計しておくと、現場の混乱を避けやすく、本人も見通しを立てやすくなります。

受け入れ人数の上限と協議会への加入

分野別運用方針では、受け入れられる1号特定技能外国人は「事業所単位で、日本人等の常勤介護職員の総数を上限とすること」とされています。採用計画を立てる前に、自事業所の常勤介護職員数を確認しておくことが出発点になります。

協議会については、介護分野の外国人材を受け入れる法人が「介護分野における特定技能・育成就労協議会」の構成員となります。協議会申請システムに法人情報と受入れ予定の事業所情報を登録し、在留資格の諸申請を行う前に、受入事業所の情報が明記された入会証明書の発行を受ける必要があるため、申請スケジュールから逆算して着手します。

制度全体の枠も示されています。介護分野の1号特定技能外国人の受け入れ見込数は12万6,900人で、令和10年度末までの5年間の受け入れの上限として運用されます。育成就労については、令和9年度から2年間で3万3,800人とされています。

訪問系サービスに従事させる場合の追加要件

外国人介護人材の訪問系サービスへの従事は、技能実習が令和7年4月1日から、特定技能が同年4月21日から可能になりました。ただし施設系サービスと同じ条件ではなく、本人側にも事業所側にも追加の要件が設けられています。なお、在留資格「介護」とEPA介護福祉士は、令和7年4月以前から訪問系サービスに従事できます。

本人側の要件は、介護職員初任者研修課程等を修了していること、および介護事業所等での実務経験が原則1年以上あることです。事業所側には、次の遵守事項が定められています。

  • 訪問介護等の業務の基本事項等に関する研修を行うこと
  • 一定期間、責任者等が同行する等により必要な訓練を行うこと
  • キャリアアップ計画を作成すること
  • ハラスメント防止のために相談窓口の設置等の必要な措置を講ずること
  • 情報通信技術の活用を含めた必要な環境整備を行うこと

あわせて、利用者・家族への事前説明と本人の意向等の確認を行い、これらを適切に履行できる体制・計画等について、事前に巡回訪問等実施機関へ報告書を提出し、適合確認書の発行を受けます。

出典:厚生労働省|外国人介護人材の訪問系サービスへの従事について

訪問系での活用を視野に入れるなら、採用の段階から初任者研修の受講機会を計画に織り込んでおくことが適切と考えられます。

外国人介護士の採用を進めるときのポイント

要件の確認が済んだら、具体的な採用活動に入ります。押さえておきたいのは、採用後のミスマッチや定着の状況は、選考そのものよりも、その前後の準備に左右される部分が大きいということです。

採用方法は、国内に在留している人材を採用する方法と、海外から呼び寄せる方法に大きく分かれます。国内在住者の採用は在留資格の変更手続きが中心で比較的短い期間で進めやすく、海外からの採用は在留資格認定証明書の交付申請や入国の手配が必要です。どちらの場合も、選考の前に配属計画と受け入れ体制が決まっていることが前提になります。

以下、人材像の設定、労働条件の設計、生活面の準備の3点を整理します。

求める人材像と配属計画を先に決める

最初に整理したいのは、「どの部署で」「どの業務を」「いつから」担ってほしいのかという点です。夜勤に入ってもらう前提なのか、日勤帯の身体介護を中心に任せるのか、将来的にリーダー層を目指してほしいのかによって、重視すべき条件は変わります。

日本語力も、必要な水準を業務から逆算して設定すると判断しやすくなります。記録の記入頻度が高い部署か、口頭での申し送りが中心かによって、求められる技能は異なるためです。「日本語が上手な人」という曖昧な条件ではなく、自施設の業務に即した場面で確認することが、採用後のミスマッチを減らすことにつながります。

受け入れ人数と配属先の分散も検討したい項目です。1名だけの受け入れでは本人が相談相手を見つけにくくなるおそれがあり、同じフロアに集中させると指導役の負担が偏る可能性があります。複数名を採用し、フロアや勤務帯を分けて配属する方法が選択肢の一つです。

賃金・労働条件の設計

特定技能外国人の報酬額は、日本人が従事する場合の報酬額と同等額以上であることが求められます。これは制度上の要件であると同時に、採用競争力を左右する要素でもあります。近隣施設と比べて条件が見劣りすると応募が集まりにくくなる点は、日本人採用と変わりません。

賃金以外の条件も、あらかじめ整理しておくと説明がしやすくなります。夜勤の開始時期、住宅補助や社宅の有無、日本語学習や資格取得支援の内容、昇給の基準といった項目です。

労働時間や割増賃金の取扱いも事前に確認したい点です。日本語学習や研修を勤務時間外に実施する場合は、その時間が労働時間に該当するかどうかを確認し、賃金・割増賃金を適切に取り扱う必要があります。名称の付け方で判断するのではなく、実態に即して労働時間該当性を確認するという整理が適切です。

住居と生活基盤の整備

特定技能1号で受け入れる場合、受入機関には支援計画に基づく支援が求められます。義務的支援には、住居確保・生活に必要な契約支援、生活オリエンテーション、公的手続等への同行、日本語学習の機会の提供、相談・苦情への対応などが含まれます。任意の取り組みではなく制度上必要な支援であるため、募集前に実施体制を決めておく必要があります。

出典:出入国在留管理庁|1号特定技能外国人支援・登録支援機関について

そのうえで、社宅や借り上げ住宅の準備、保証の取扱い、家賃補助といった独自の福利厚生をどう設計するかが、施設ごとの差になります。後述する調査データでも、住宅や寮の確保は課題の上位に挙げられています。

特定技能1号の支援は、出入国在留管理庁に登録された登録支援機関へ委託することもできます。これらを自前で担うと人事部門の負荷が大きくなるため、外部の専門サービスと連携する方法もあります。GTNの外国人材受入れ支援サービス(※ご利用には所定の審査や条件があります)のような仕組みを活用すれば、社内の負担を抑えながら支援体制を整えやすくなります。

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受け入れ後の現場運用

採用が決まった後、定着を左右するのは現場運用の設計です。入職後に生じる困りごとには、本人の努力だけに頼らず、業務の設計を変えることで軽減できるものがあります。

ここで取り上げる3つの設計は、日本語の負荷を業務の側で下げること、指導役の負担を分散すること、キャリアと学習機会を示すことです。

既存の手順書や教育体制、シフト設計の見直しから着手できるものもあり、その効果は新人職員や短時間勤務の職員にも及びます。受け入れを機に業務の標準化を進める機会として位置づけると、社内の理解も得やすくなります。

日本語の負荷を業務設計で下げる

介護の現場では、申し送り、記録、家族対応、緊急時の連絡など、日本語を使う場面が連続します。入職時の日本語要件を満たしていても、専門用語や略語、方言、書き言葉が混ざると、理解に時間がかかる場面が出てきます。

本人への学習支援とあわせて、情報の伝え方を見直す契機として捉えることが重要です。手順書にふりがなや図解を添える、記録システムの入力を選択式にする、申し送りの要点を文字でも残す、略語の一覧を掲示するといった方法があります。

多言語対応や翻訳ツールの導入よりも先に、日本語そのものを分かりやすくする取り組みから着手する方法が考えられます。

指導役の負担を分散する

令和7年度介護労働実態調査では、「外国籍労働者の仕事上のサポート役の負担が大きい」が35.7%と、3番目に多く挙げられています。特定の職員に指導が集中すると通常業務が圧迫され、結果として指導の質にも影響が出ます。

対策としては、教育担当を複数名で分担する、指導内容をチェックリスト化して属人化を防ぐ、指導担当に手当等で処遇上の評価を反映するといった方法があります。「誰が」「何を」「いつまでに」教えるのかを事前に文書化しておくことが、負担の偏りを抑えるうえで有効だと考えられます。

指導役の職員に対し、受け入れの目的や本人の背景を説明しておくことも大切です。制度の概要や入職時点で身に付けている知識を共有しておくと、現場で生じる疑問に施設として答えやすくなります。

キャリアと学習機会を示す

特定技能1号の在留期間は原則として通算5年です。介護分野には特定技能2号がないため、長期就労に向けた主な道筋は、介護福祉士資格を取得し、在留資格「介護」へ移行することになります。

なお、通算5年に達する直前の国家試験で全パートを受験し、1パート以上の合格と合格基準点の8割以上の得点に加え、翌年度の受験誓約や学習計画の提出などの要件を満たす場合、最長1年間の延長が認められる措置があり、第38回国家試験から適用されています。

出典:厚生労働省|介護福祉士国家試験のパート合格による特定技能1号の通算在留期間の延長に関する措置について

受験資格については、実務経験者の採用の場合、実務経験に加えて実務者研修の修了が必要です。実務経験には従業期間と従事日数の両方の条件があり、シフトの組み方が受験できる年に影響します。

出典:社会福祉振興・試験センター|受験資格(資格取得ルート図)実務経験+実務者研修

学習支援としては、勤務シフト内に学習時間を設ける、母語の対訳がある教材を用意するといった取り組みがあります。厚生労働省も介護の専門用語集や国家試験の一問一答を多言語で公開しています。

調査データにみる現場の声と課題

介護の現場では、外国人介護士の受け入れについてどのような課題が挙げられているのでしょうか。受け入れによるメリットと課題の双方を事前に把握しておくことが、現場の納得感を高め、受け入れ後の評価を安定させることにつながります。

全国老人福祉施設協議会「外国人介護人材に関する実態調査」(令和6年度)では、回答した会員施設のうち外国人介護人材を受け入れている824施設の57.4%が、今後の方針を「増やしたい」「やや増やしたい」と回答しています。

一方で、受け入れには課題もあります。介護労働安定センターの令和7年度介護労働実態調査は、介護事業所を対象とした全国規模の調査であり、特定の施設の体験談ではなく業界全体の傾向として課題を読み取れる点が特徴です。社内で受け入れを提案する際も、個別の事例より調査に基づく数値のほうが根拠として使いやすいでしょう。

出典: 公益社団法人 全国老人福祉施設協議会|外国人介護人材に関する実態調査結果(令和6年度)

課題は意思疎通・住宅・指導負担

次の数値は、受け入れの有無を問わず、介護事業所が外国籍労働者の受け入れについて感じている課題です。令和7年度介護労働実態調査では、次の項目が上位に挙げられています。

課題

割合

利用者や他の従業員との意思疎通(日本語能力及びコミュニケーション)が難しい49.1%
受け入れのための住宅や寮などを確保することが困難39.6%
外国籍労働者の仕事上のサポート役の負担が大きい35.7%

出典:介護労働安定センター|令和7年度介護労働実態調査結果(プレスリリース) 

この3項目は、前章で取り上げた「日本語の負荷」「住居と生活基盤」「指導役の分散」に対応しています。これらの課題に対して、受け入れを検討する段階で対応方針を決めておくことが重要です。

特に最初の1〜2名の受け入れでは社内に前例がないため、すでに受け入れている法人の事例や外部の支援機関のノウハウを早めに取り入れる進め方が適していると考えられます。

訪問系サービスへの受け入れは慎重な姿勢が多数

訪問系サービスへの従事が可能になったことを受け、令和7年度調査では、訪問系サービスを実施している事業所(2,934事業所)に訪問系サービスにおける外国籍労働者の 今後の受け入れ方針を尋ねています。結果は「受け入れる予定はない」が47.2%、「わからない」が27.4%、「現在、検討している」が13.1%でした。

制度上は可能になったものの、現場では様子見の姿勢が多数を占めていることがうかがえます。初任者研修の修了と原則1年以上の実務経験という要件に加え、同行訓練や環境整備、報告書の提出と適合確認書の取得が求められるため、準備に一定の期間が必要になることが背景にあると考えられます。

もっとも、訪問介護員の不足感が82.9%と最も高い職種であることを踏まえると、施設系サービスで経験を積んだ人材を訪問系へ段階的に広げていく選択肢は、中期的な人員計画のなかで検討する価値があります。

介護施設の外国人介護士採用に関するFAQ

Q1. 外国人介護士を採用すると、すぐに人手不足は解消しますか?

A. 採用から就労開始までには在留資格の申請などの期間が必要なため、急な欠員補充の手段としては設計しにくいのが実情です。特定技能で受け入れる場合も、今後の育成就労で受け入れる場合も共通します。中期的な人員計画に組み込む進め方が適しています。

Q2. 外国人介護士に夜勤を任せることはできますか?

A. 一般の介護施設で受け入れる場合、制度上、夜勤に従事すること自体は可能です。ただし緊急時の連絡手順や記録の方法を確認し、日勤帯で実務経験を積んだ段階から段階的に移行する方法が考えられます。人員配置基準上の取扱いは在留資格によって異なるため、受け入れ前に確認してください。なお、技能実習で受け入れる場合は、夜勤など少人数での業務を行わせる際に、利用者の安全確保のための措置を講じることが固有要件として定められています。

Q3. 1つの事業所で何人まで受け入れられますか?

A. 特定技能「介護」については、事業所単位で日本人等の常勤介護職員の総数が上限とされています。まず自事業所の常勤介護職員数を確認することが出発点です。これは特定技能に関する規定であり、他の在留資格には別の考え方が適用されます。

Q4. 訪問介護に従事してもらうには何が必要ですか?

A. 本人が介護職員初任者研修課程等を修了し、介護事業所等での実務経験が原則1年以上あることが要件で、特定技能および技能実習の外国人介護人材に共通します。事業所側には、基本事項に関する研修、同行による訓練、キャリアアップ計画の作成、相談窓口の設置等、環境整備という遵守事項があります。あわせて、利用者・家族への事前説明と本人の意向確認を行い、報告書を提出して適合確認書の発行を受けます。

Q5. 日本語はどの程度できる人が来ますか?

A. 在留資格によって入口の基準は異なります。特定技能「介護」の場合は、国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-Basic)の合格または日本語能力試験(JLPT)N4以上に加え、介護特定技能評価試験(日本語)の合格が基準です。ただしこれらの日本語試験は主に読解と聴解を測るもので、話す・書く技能を直接測定するものではありません。記録の記入や電話対応は、入職後の業務設計と学習支援で伸ばす前提で考えると計画が立てやすくなります。

Q6. 5年経ったら帰国してしまうのではないですか?

A. 特定技能1号の在留期間は原則として通算5年で、長期就労に向けた主な道筋は在留資格「介護」への移行です。介護福祉士の資格を取得して移行すれば、在留期間の更新回数に上限はありません。なお、通算5年に達する直前の国家試験でパート合格などの要件を満たす場合、最長1年間の延長が認められる措置もあります。EPA介護福祉士候補者は原則4年の在留期間中に合格を目指す仕組みで、制度ごとに前提が異なります。

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